大きくなってしまった私は。
急に大きくなりました。
そして統也以外のキャラ登場です。
「真尋!」
「統也。なんですか?」
「今日から中等部だからな。お前に悪い虫がつかないとも限らない」
「何言ってるんですか…」
くすくすと笑いながら、統也と二人、桜の咲き誇る道を歩く。
出会ってから早9年、幼馴染兼婚約者様はずいぶん過保護になってしまった。
ゲームではここまで過保護ではなかったと思うのだが…やりこんだとはいえ流石に10年以上前のことだ、そこまで詳しくは覚えてない。
私が覚えてるのは、攻略キャラとイベントくらいだ。
ゲームの真尋と同じように、私は学校へ男装して通っている。
理由は隣にいるこの男だ。
よく分からないが、私を取られたくないらしい。
学校は本当の性別を申告し、許可を取ってある。
金持ちってすごい。
「…真尋、何を考えている?」
「ふふ、学校生活のことですよ。まあ貴方がいるのであまり心配はしてません」
「っ、あたりまえだ!」
ほんのり顔を赤くして、そっぽを向いた統也。
それがなんだか可愛くて、またくすくす笑う。
そんなことを繰り返しながら校舎へ向かっていると、どこからか私を呼ぶ声が聞こえた。
「真尋!」
「…四山、真尋に何の用だ」
「お前には用はない、一宮。真尋、入学おめでとう」
「有難うございます竜太。…あ、先輩をつけるべきでしょうか」
「いや、かまわない」
「そうですか?なら、お言葉に甘えて」
私は真尋なのだからと始めた敬語は、今やすっかり染みついている。
統也の前ではたまに外れるときもあるが、その時の統也はとてもいい表情をしている。
優越感に浸る子供のような。
ちなみに今は、竜太を睨みつけている。
四山竜太。隠しキャラにして真尋の友。そしてのちの風紀委員長だ。
統也とは犬猿の中で、反対に私とは仲がいい。
統也が唯一、子供っぽい喧嘩をする相手だ。
「竜太、何か用でしたか?」
「いや、真尋が見えたから走ってきた。どうせなら一緒に行こう」
「なぜお前なんかと一緒に行かなければいけない」
「嫌ならお前は先に行けばいいだろ?」
…ああ、二人の間に火花が見える。
このまま放っておいてもいいが、後がめんどくさそうだ。
二人の手を掬うようにとって手をつなぐ。
きょとんとする二人に、優しく笑いかけた。
「ほら、行きましょう?入学式に遅刻してしまいます」
「…真尋が言うなら」
「ほんと、お前には適わねえなあ」
「褒め言葉として受け取っておきますね」
ちなみに、攻略キャラとはみんな会った。
そして、なぜかみんなに懐かれた。なぜだ。
私の雰囲気が同年代とは思えないからだろうか。
自分で言っててへこむんだが。
「真尋?」
「、なんでもありません。急ぎましょう」
統也の声で我に返り、足を動かした。
4年。あと4年で物語が始まる。
それまで私は何をしたらいいのだろうか。
大事な幼馴染はもちろん、みんなも幸せになれればいい。
たとえ、その中に私がいなかったとしても。
…なんて格好つけてみたけれど、私も幸せにはなりたいな。
次回は物語を始めたいですね。
幼少期編や中学編、出会い編は後々番外編か外伝とかでやりたいと思います。
いまさらですが、二番煎じならすみません。