トラッシュマウンテン

　国から〝ごみ処理地区〟として指定された村は、戦災で残されたがれきや都会から送られるごみを処理することで成り立っていた。大人たちは機械を走らせ、ごみ山を積み上げることを繰り返し、結果今までそれなりの発展を果たしてきた。村の女の子、ユバエはずっと村で育ち、村の外のことはほとんど知らず、村の中学校へ登校する退屈で変わりばえのない日々を送っていた。けれど生活の中、だんだん学校のクラスメイトたちとの関わりを深めていき、彼らの話を傍聴するようになっていく。クラスメイトたちは、都会に憧れるもの、大人たちを嫌悪するもの、今の生活に不安を抱くものと様々にいた。そして彼らは共通して村の歪みに気づいていて、ユバエだけがまだ何も知らなかった。