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異世界の国からこんにちわ!  作者: あかべこ


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第1話

2020年代、東京と異世界の小さな国が繋がる道が作られた事で地球は新しい時代を迎えた。


……とメディアは盛んに取り上げるが過半数の人々にとって異世界など外国のように遠い場所の出来事でしかない。


まして東京から遠く離れた大阪の下町の住宅街では尚のこと遠いことでしかない。


『本日から東京・麻布十番に金羊国の地球における外交拠点となる大使館が設置されることを踏まえ、昨日皇居で信任状捧呈式が行われました』


白くふわふわしたうさぎの獣人女性と天皇陛下が向き合っての儀式の光景がテレビに流れていく。


それを俺はぼんやり眺めながら作り置きのよく冷えた麦茶をちびちびと飲んでいる。


「伊緒奈いおなぁ、朝飯ピロシキでええ?」


台所をガサガサと漁っていた妹が俺の方を向いてそう聞いてくる。


「なんでピロシキ」


「礼歩れふが余った奴昨日持って来たから、早めに食わな駄目んなるなーって」


「そう言うことな、焼いといて」


「はーい」


雑な返答と共にオーブントースターにピロシキが放り込まれると、妹もテレビの方に視線を向けた。


テレビの話題は大使館設置を急ぐきっかけとなった現在の金羊国の情勢の話へと切り替わっていく。


「お、話題のモフすぎる大使さんや」


「モフ過ぎるって何やねん」


「金羊国の大使さんってうさぎやろ?もふもふしたなるって話題よ?」


「アホくさ、確かに可愛いけど公務員やぞ」


「どういう僻み?」


「公務員がモテるなら俺がモテてもええやろが」


焼き戻されたピロシキが古新聞に包まれて妹から手渡されながら、残念そうな顔で「伊緒奈は隠しきれない大阪人がロシアンハーフ顔を台無しにしてるから……」と切り捨ててくる。


「しばくぞ」


「まーまー、しばかんといてよ。せめて関西万博終わるまではさ」


「万博なぁ」


テレビが次の話題へと切り替わると、万博のマスコットキャラクターの評判についての話になった。


出来損ないの赤いポンデリングみたいなビジュアルがキモ可愛いと話題になってることでグッズが結構売れてるという話の後に、建設が始まった万博会場予定地で微量の可燃性ガスが見つかった問題にも触れた。


「こんな問題だらけなのに?」


「それを上手いこと終わらせるのが仕事やん」


府庁から万博事務局へ移動になってこの春で3年、色々なトラブルに巻き込まれ過ぎてもう既に不安を感じている。


さっさと府庁に戻してくれと言う気持ちはあれど、自分の一存では決められない。宮仕えの面倒なところだ。


ピロシキを包んでいた古新聞をゴミ箱に放り込むと出勤の時間だ。


「ぼちぼち行くわ」


「行ってらー、ついでに醤油切れそうだから帰り買っといてー」


「お前が行けニート」


今日も憂鬱な仕事が始まる





*****




大阪市臨海エリアのビルの上層階、かつて万博事務局の手書き看板の横にはあのキモかわマスコットがどんと鎮座している。


その一番奥の窓際は万博参加国との折衝を担う運営課のスペースだ。


「お、橘君ちょうどええわ。きみに新しい仕事や」


南海みなみ課長がちょいちょいと俺を手招きして来た途端にめちゃくちゃ嫌な予感がした。


「おはようございます、朝一番になんですの」


「橘くん、コモンズF館出展予定の国まだ2カ国しか無かったよな?」


「そうですね」


内輪の話だが、最近急に情勢悪くなったとこや国内のゴタゴタがでて来たいくつかの国と企業が参加撤退も検討していることを少し前から耳打ちされていた。


パビリオンを作るにもお金はかかるし、ある程度はやむなしだが本決まりとなればまた万博のイメージは落ちるだろう。


「なら、万博に金羊国のブース作る余裕はあるな?」


南海課長がニヤリと笑いながら俺に言う。


「……本気で言うてます?」


「局長命令や、橘」





「金羊国に関西万博参加交渉してこい」

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