世界をどうにかしたい神々のテコ入れ
とある御使たちの日常である。
「せんぱぁい、鍛治神マグラフ様が実装はよ、って言ってるんですけどぉ」
「申請は却下です、とお伝えして」
「え〜でもでもぉ、仕様書もちゃんと書いてるしすぐやれるだろって、すっごいおこなんですよー」
「確かに、設計書も別添されてますし、完璧な仕様書ですね。ですが……」
「ですが?」
「FPSの最先端ステルス戦闘機を剣と魔法の世界に持ち込めるわきゃねえだろが!! 誰が調整すると思ったんだあたま鉄でできてんのかあの神はよ!!!」
「先輩、口調がヤバヤバになっちゃってますよぉ」
「はっ!? いけませんね……そんなわけなので、却下。以上です」
「はぁい」
「音楽神メルルオー様の希望されているリズムゲー実装の件なのですが」
「あー、あれね。あの、あれでしょ? 上から降って来るマークのタイミングで反応するってやつ。どうしたもんかねえ」
「ですです。本人の脳内だけで表示されるようにしたらいけませんかね」
「おー、アリだな。新世界に入れる前に一回試しとくか」
「じゃあ旧世界の適当な……あっ、あの辺はまだ人が残ってますね。ええと、神託からの、実装と」
「結果出たら報告してー」
「はい、了解です」
「戦神ザオルグ様が格闘ゲームも担当したいとおっしゃっているのですが、どうしましょう」
「あの方は戦略SLG担当でいらっしゃったはずでは?」
「それが……やっぱり拳と拳の肉弾戦も最高だよな! などと供述を」
「はぁ、困りましたねえ。RPGにも格闘家はいるのですよね。そこと差別化するのか、という問題もありますけれど」
「RPGは主神様がメインでお引き受けされていたのではなかったですか?」
「そうですね、ザオルグ様にズィールゥ様とまずはお話し合い下さいとお伝えしましょう」
「わかりました、主神様に丸投げですね!」
「いいえ、又聞きの伝言ゲームは危険なのです」
「仕事も減りますしね!」
「こら」
「だーかーらーあ! なんでAI搭載ドローンならオッケーだと思えるんだよこのクソボケぇ!!」
「はぁい、却下ですねー」
「あれ、おーい! BGMなしでリズムゲー入れちゃってるよ。これ音楽神様の意図と違ってるんじゃないか?」
「あっ……吟遊詩人とか近くに居たら…どうです、かね…」
「旧世界の文化は廃れまくってるからなー。一応、検索かけてみて。脳内表示は上手くいきそうか?」
「…………歌うのが好きな幼馴染の存在が確認できたんで、そっちにも神託下ろしときます。表示自体はいけてるっぽいです」
「よし、それが上手くいったら、演奏家か歌い手とニコイチで実装するようにしちゃってよ」
「双子とか、いいかもですね」
「おっ、いいね!」
「戦車もダメに決まってんだろがい!!」
「あっ、2次案もらってまーす」
「……キャンピングカー……急にランクを下げて実装を狙ってきましたわね……」
「ガソリンは魔力とかぁ、魔石に替えたらどうか? ってぇ」
「まあ、これなら調整だけでいけますから採用で大丈夫ですわ。オプションのバルカン砲はナシで」
「りょでっす」
「うむむむ、MMORPGの魔力リソースがバカにならん」
「しょうがないですよ。主神様の大好物ですもの」
「って言ってもなあ、経営ゲームも増やしたいのになあ」
「RPGだけじゃダメってことですか?」
「ダメってわけじゃないが、色々あったほうが発展はするだろうさ」
「発展、ですか」
「そりゃあ、停滞したら旧世界みたいになっちまうからな。どんどこ放り込んで進めたいんだろう」
「いやこれ、乙女ゲーのシナリオも織り込めって、無理だろ」
「転生者だらけにすればいいじゃない、って事みたいです」
「はあ? 一国丸ごと転生者で埋めろって? 愛の神サマは脳内もおピンクで染まってるのかねえ」
「……………」
「あっ、おい! 告げ口やめろ下さい!」
「気づいちゃったんですけど…」
「どうした?」
「リズムゲーでどうやったらこの先生き残れるんですかね…」
「……バッファーって事にするか」
「バッファー…主神様のところと揉めませんかね…」
「ま、まあバフなんてなんぼあってもいいだろ、多分」
「大変です! 農業神様と都市神様が発展ゲームの区分を巡って争っています!」
「なんだって!? もう何度目だと思ってるんだ、苦肉の策で『村作り』と『街作り』でお分けし合うってことで了承されてただろう」
「それが、『街作り』の農業成分が多いものについて、農業神様が権利をご主張なさって…」
「欲張りさんかよ」
「大変です!」
「今度はなんだ!?」
「18禁の叡智なゲームが混入しています!」
「な、なんだってーーー!!!?」
「まずいぞ、世界の法則が乱れる前に隔離を!」
「あっ! 主神様より至急の入電が」
「ええい、この忙しい時に!」
「『それもまたよし』だそうです」
「ほな、ええか」
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「追加移住のご依頼入りましたー!」
「まだ100年かそこらしか経ってないのだが?」
「最近、せっかくいい感じに世界が回っているというのに……しばらく様子見ではいけないのでしょうか」
「それがですねえ、新ジャンルをお試しになりたいそうです」
「新ジャンル? そんな話聞いてたか?」
「ほら、格ゲーですよ、格ゲー。ようやくズィールゥ様とザオルグ様とのお話し合いがついたそうで」
「まだその話やっとったんか」
「あとは、人類存続メーターの数値があんまり良くないみたいで、そろそろテコ入れをなさりたいそうです」
「はあ、また説明会を開かなくてはいけませんね。今度は別の方にお願いしたいです。あ、これ前回の議事録」
「そんじゃせっかくだしな、新人にまかせてみるか。人数はどうすっかな」
「まずは10人ほど入れて、足りないようでしたら同じ人数を追加されては」
「まあそれが無難か。おーい! 10人追加で頼む!」
「はぁい!」
「管理調整するこちらの身にもなって頂きたいものですわ」
「まあそう言うな。これはこれで楽しい仕事だ……って、おいおいおい! 俺は10人って言ったよな?」
「えー? 10人用の網ですよぉこれ……あっ、いっけね! これ100人用みたいでっす!」
「ああああああ! なにしてくれとんじゃーーー!!!」
「………はぁ…しばらく残業が続くのですね……」
「テヘペロ☆」
そんな感じの大乱闘するかどうかは分からない異種混合ご都合異世界転生を考えて遊んでいました。




