第3話 ゆめのなかの現実
急に戦わせたくなったそうです。
私は目を覚ました。
それも、最悪な目覚め方で。
「えっと……その手に持ってるナイフをしまってくれないかな?」
目の前の少女は誰から見ても私に強い殺意を向けていた。
「…ねぇ。神様が貴方に死んで欲しいんだって。」
ああーそうですか。
「そもそも貴方が神を殺したとしても世界が許さない。」
うん。そうでしょうね?
…でもそれってあなたが言う言葉じゃないよね。
「貴方はだれなの?」
私はできるだけ刺激しないように彼女に訊いた。
彼女——いや、バケモノと呼ぶべきかしら?
彼女は少し微笑みながら答える。
「私?私は——あなた。この世界ではね。」
何を言っているの?全く意味がわからない…
——その瞬間、私は後悔した。
ほんの一瞬油断——
ほんの瞬きしただけで、喉を斬られるところだったから。
「…貴方はなんなの。私を殺して、何になるの?」
「もう、答えることなんてないさ。
私にはバッドエンドしかない。
だからお前から奪い取るだけ。」
彼女は言った瞬間、私めがけて突進してきた!
私は本能のままに枕を掴んで——それを盾にして、羽毛の詰まった柔らかいそれが、意外にも彼女の剣を受け止めた。
枕って案外戦闘にも使えるんだ…関心した。
まさか、羽毛に命を救われる、なんてね。
「この枕高かったのに….。」
私は咄嗟にこんな馬鹿みたいなことを言った。
だって、もし私が”殺す”側だったら、
そんな素っ頓狂な台詞を言われたら、少し戸惑うでしょ?
命を賭けるには…希望的観測でしかないけれど。ね?
案の定、彼女の動きが、ほんの少し遅れた。
私は、その隙に、いつも使っている杖を手に取った。
けど、もっとも、彼女からしたら大した問題じゃなかったみたいだけれど。
彼女は、美しい白い羽を音もなく広げ、大空へ飛び立っていった。
まるで天使みたい…。
…なんて、一瞬見惚れてしまったけど、
——そんなのは関係なしで、私めがけてナイフが飛んでくる。
「えー…朝から物騒な…」
私はほっぺに少し擦ってしまったけど、避け切った。
そんな私にまたもや同じ攻撃が降り注ぐ。
「またぁ…キリがないわね」
見た目は天使なのに、攻撃はまるで悪魔ね。
せめて逆だったらいいのに?
まあ、どっちでも変わらないか。
……
…
その瞬間、視界がぐにゃりと歪んで..
————
「…」
視界が上手く定まらない。
「すーはー…」
大きく息を吸いそして吐く。
そうすると、いずれいつもと同じ天井が見え始めた。
「夢…?」
…何も変わらないように見える世界。
「リアルすぎる..」
もし、あの子がそんな子だったとしたら…。
…考えたくもない。
ふと時計を見る。
「もう2時!?あの子は大丈夫かな?」
私はいつもより慌ただしく着替えて、って
「…昨日お風呂入り忘れた。最悪。」
ていうか…
私いつ寝巻きに着替えたっけ?
まあ考えても仕方ないか。
あれれれ?「血?何でほっぺが切れてるの?」
包帯…どこだっけ。
まあこの程度なら苦手だけど回復魔法で——
「よし!治せた!」
何か忘れているよーな?
…
「そうだあの子の様子見に行くんだった!」
私は慌ただしくも冷静に彼女の居る部屋へ向かった。
ドアを蹴り飛ばし、彼女の居る部屋へ入った。
「入るわよ..はおかしいか。入ったわよ。」