番外編 今日は私が、あなたを守る番
久しぶりの長距離調査帰り。
レオンは夕暮れの屋敷に戻るなり、ソファに倒れ込んだ。
「……ダメだ、もう動けねぇ」
剣こそ置いてきたが、疲労は全身にまとわりついていた。
そこに現れたのは――エプロン姿のアマーリエ。
「おかえりなさい。今日は、お風呂も夕食も、もう用意してあるから」
「……天使か?」
「違うわよ。あなたの奥さんよ」
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アマーリエの特製スープは、生姜とハーブが香るやさしい味。
「これ……うまいな」
「うん、ちゃんと栄養も考えたの。あなたが無茶するって分かってたから」
「う……罪悪感が増す」
「気にしないの。今日は“あなたをだめにする日”って決めてるから」
そのあと、髪を乾かすのも、肩を揉むのも、ぜんぶ彼女がやってくれた。
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寝室で毛布をかけられたレオンが、ちょっと照れたように言う。
「……なあ、アマーリエ。こうされると、俺、どんどん甘ったれになるぞ」
「いいのよ。いつもあなたが私を守ってくれてる。
だから、あなたが崩れそうな日は、私がぜんぶ受け止める」
「……甘えていいのか?」
「今日は命令。甘えてください、レオン・フェリクス」
レオンは彼女の腕を引いて、ベッドに引き寄せた。
「じゃあ、横で一緒に寝てくれ。……そばにいてくれりゃ、何よりの癒しだ」
「はいはい、甘え上手になったわね」
ふたりはそのまま静かに目を閉じる。
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誰かを守ってきた人が、守られる日。
焔を背負う背中が、今日はやさしさに包まれて眠る。




