表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/27

番外編 きみに甘くなる日

 王都の喧騒から少し離れた丘の上。

 春の陽気に誘われて、ふたりはひさしぶりの休暇を過ごしていた。


 レオンが用意したのは、木陰の下の小さな敷物と、手作りのサンドイッチ。


 「これ……あなたが作ったの?」


 アマーリエが少し驚いたように問いかけると、レオンは鼻を鳴らした。


 「俺だって料理ぐらいできるさ。火の扱いなら慣れてる」


 「そういう問題?」


 そう言いながらも、アマーリエは一口かじって、ふっと笑った。


 「……おいしい。くやしいけど」


 「くやしいってなんだよ」


 ふたりはのんびりとした午後の時間を過ごし、木漏れ日を浴びながら並んで横になる。



---


 「ねえ、レオン」

 アマーリエがぽつりと呟く。


 「こういう日がずっと続いたらいいのに、って……考えちゃうの、最近」


 レオンは隣で目を閉じながら答えた。


 「続くさ。俺が続けさせる。

  誰がなんと言おうと、お前の平穏は、俺の剣で守ってやる」


 「……ずるいこと言うの、うまくなったわね」

 「誰のせいだと思ってる」


 ふたりは目を合わせて、ふっと笑い合った。



---


 帰り道、夕日が差すなか、アマーリエは唐突に言った。


 「手、つないでいい?」


 レオンは無言で彼女の手を取ると、指を絡めて、ぎゅっと握った。


 「“いい?”じゃなくて、“つないで”って言え。甘えるときは遠慮すんな」


 「……じゃあ、もう一つ甘えていい?」


 「なんだ?」


 「……抱きついてもいい?」


 レオンは目を細めて、照れくさそうに肩をすくめた。


 「……今なら、いつでもいい」


 アマーリエは、まっすぐレオンの胸に飛び込んだ。

 ふたりの影が、夕日の中でひとつになった。



---


火の中で出会ったふたりが、今は陽だまりのなかで。

傷を知るふたりだからこそ、こんな日々が、何より愛しい。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ