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プロローグ〜青
とある寺院の紋章が付いた青い幌と青いマントは、誰も襲撃してはならない。
その寺院の僧侶とプラドにのみ与えられる鮮やかな青いマントは、協調の証。どこの国にも許可なく入ることができる。
プラドと言っても3種類ある。
1つ目は、人々の糧となる羊を育てる遊牧民。
2つ目は、食料や薬を運ぶ商人。
そして、もうひとつは、戦いに加担せず中立を守り通す、寺院の僧侶と功労者だ。
それは、その寺院が認めた者にしか与えられない。
その寺院の信者でありながら、ブライス王国と隣国ペシャリス王国は、ここ百年にも渡って断続的に闘いを繰り広げている。
寺院の最高指導者達も頭を抱えている。
特にここ20年間の闘いは、報復に報復を重ね終わる気配はない。
多くの兵士が死に、その度に近隣の町や村から男だけではなく、いまや女子供も闘いに駆り出される。
農地は戦場と化し、人が減り、畑を耕す者も減り、食糧難にも陥っている。
なのに、なぜ闘いは終わらない?
そんな愚かな世界を、俺は青いマントを羽織り、ただ見ていることしか出来ないのだろうか?
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