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とある牧師の娘と御曹司のオカルト事件簿〜牧師の娘、御曹司とエクソシストはじめました〜  作者: 地野千塩
第四部 宇宙人少年エクソシスト事件

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番外編短編・ご先祖の謎

「へー。教会なんて初めて来たけど、ちっとも観光地感がないわ。普通に学校みたい」


 今日、花岡は初めて琴羽達の教会にきていた。琴羽と親しくなるうちに興味を持ってもらい、初めて来たそうだが、期待通りではなかったらい。


「ねえ、どうしてマリア像とかがないの?」

「いやいや、うちはカトリックじゃないので、偶像は置かないんですよ」

「そうなの? なんかフツーね」


 とは言っても、礼拝堂に案内し、昔の聖歌隊の映像などを見せたら、これはステレオタイプのキリスト教っぽいと笑っていた。


「でも、ネットで見たわよ。キリスト教はご先祖を救わないって」


 花岡は目を細めていう。下衆っぽい目だ。おそらくネットの情報を齧り、論破しようと企んでいるのだろう。


「ザビエルも昔の日本人に論破されてたわ。ご先祖様を救わないってどうなの?」

「それはその通りです」

「やっぱり!」

「でも、宣教するのはクリスチャンのお仕事です。もし、宣教されずに死んでしまった場合、神様がどう判断されるかは、私達でもわからない」

「つまり?」

「ご先祖様も絶対地獄にいるとはわからない」


 琴羽は思う。宗教と神様は違う。宗教は団体的で個々が尊重されないイメージだが、肝心なには神様と個人的な関係だ。例え先祖もキリスト教という宗教を知らなくても、個々が神様を知っていた可能性は大いにある。


「でも、今はネットも発達しています。キリスト教を全く知らないとは言い訳できませし」

「あ、逆に知ってしまった方がヤバいの?」

「ヤバくはないですが」


 花岡の目はだんだんまるくなってきた。もう論破する気もなさそう。


「それにお墓にご先祖様はいませんよ。いるとしたら、あれも悪霊です」

「まさか悪霊がご先祖様のフリをしているとか?」

「ええ」


 それから琴羽は先祖のフリをしていた悪霊のエクソシストした過去を話す。


「げ、何それ。オレオレ詐欺みたいじゃない。幽霊なんていないんだ。悪霊が幽霊のフリしていたの? そう思うと何だが全く怖くないね」


 琴羽は花岡をちょっと怖がらせる為にそんな過去を話したものだが、失敗。かえって花岡は安心してしまい、翠が作ったクッキーを頬張っている。


「ま、早乙女さん。クッキー美味しいわ」

「ええ。翠が焼いたのよ。いっぱい食べちゃいましょう!」


 二人の笑顔と共に、クッキーの皿もすぐに空になってしまっていた。


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