番外編短編・サレ妻のお悩み相談
「ねえ、琴羽。私の夫の不倫もエクソシスト的な事で止まったりしない?」
友達の柚子がため息をつく。
霊媒師の蓮月の一件が解決し、しばらく経った頃、琴羽はカフェで友達と会っていた。
高校時代の友人だが、当時から少しヤンキーっぽいタイプで、すぐに結婚していた。子宝にも恵まれ、小学一年生の男女の双子もいる。今日は土曜日だが、地域の行事があり、柚子とこうしてカフェで話せるが。
あの蓮月の一件の噂は柚子の耳にも届いたらしい。幸恵の事も耳にし、「夫の愛人にエクソシスト的な復讐したいわ」とボヤくぐらい。
柚子は長年、夫に不倫されていた。いわゆるサレ妻だ。
柚子の夫はイケメンだったが、地元でも評判の悪い浮気男だった。正直、琴羽はこうなる結果は予想通りで、全く驚いていない。
「そんな柚子のようなキリスト教嫌いな人のエクソシストはしないよ」
「えー、良いんじゃん。ご利益だけ欲しいわ」
同情もするし、出来れば柚子の力になりたいが、彼女は占いやスピリチュアル 、神社参拝も大好きだった。キリスト教も嫌いらしい。この場合、無理矢理エクソシストをしても悪霊が帰ってくる事が多く、琴羽は困ってしまう。
それでも一つ手はある。
「柚子、とりあえず、神社参拝やスピリチュアルや占いは全部辞めたら? 聖書の神様は、それらは全部信仰の浮気認定するのよ。もしかしたら、柚子の旦那の不倫も、そういう霊的な浮気をやめたら止まる可能性がある」
一応、現状でできるアドバイスをしておいた。こういう不倫などのトラブルも、結局は、神様が何かのメッセージを伝えている可能性がある。柚子の場合は、もしかしたら浮気される側の気持ちを分かるようにしているかも?
「えー、そんなんで旦那の浮気が止まる?」
「とりあえず一カ月だけ試してみたら?」
渋々といった雰囲気だったが、柚子は一カ月、神社参拝や占い、スピリチュアルを全部辞めたらしい。
すると、なぜか知らないが、柚子の旦那も浮気を辞めたらしい。
「そっか。ねえ、琴羽、聖書の神様だって浮気されるのは、嫌だって伝えたかったって事なのかな?」
後日、柚子はしみじみと呟いていた。




