番外編短編・琴羽の大晦日
大晦日、琴羽はダラダラと過ごしていた。今年は元旦礼拝もないし、エクソシストの依頼もなく、思う存分ダラダラしていた時。
友達の理穂からトークアプリにメッセージ賀来ていた。
理穂は高校時代からの仲だが、推しにハマり、趣味に充実しているタイプ。おかげで韓国語なでマスターしてしまった理穂。ハマるとことん追求するタイプだが、今は熱心に推すアイドルもなく暇らしい。なので「琴羽、一緒に初詣行こう!」と誘ってきた。
頭を抱える。クリスチャンの琴羽にとっては地雷のような誘いだ。そういえば毎年理穂に誘われていたが、面倒なので毎回牧師の父が煩いからという理由をつけて断っていたが。
「えー、いいじゃん。ご利益あるよ。日本人だったら行こうよー」
と電話までかかってきて無邪気に誘われた。「神社は一応宗教施設ね。宗教と文化の違いはわかる?」などと言いたくなったが、どうにか口を押さる。
「だったらうちの教会の日曜礼拝、ゴスペル教室、断食祈祷会もくる? 聖書も創世記から黙示録まで私が毎日教えてあげる。だったら初詣行ってもいいよ」
さすがにここまで言ったら、理穂も察してくれるかと思ったが。
「いいね! じゃあ、次の日曜礼拝行ってみるから、その代わり初詣一緒に行こう?」
予想外の反応。そういえば理穂はメンタルが強く、こういう時も全く空気を読まない所があった。
「ねえ、初詣行こうね!」
理穂の明るい声を聞きながら、琴羽は頭を抱えていた。




