番外編短編・悪魔と悪霊の違い
翠と初めてのエクソシストを成功させ、数日がたった頃。
翠はクリスチャンとしてより聖書の学びを深める為、教会に着て聖書勉強も続けていた。主に牧師の父が教師役だったが、今日は琴羽がその役だ。父が仕事で主張に出ていた為、礼拝室の隅に机と椅子も出し、みっちりと教える。
翠は隙があれば甘いものを食べようとするので、琴羽はそれを止めるのも大変だったが、どうにか今日の分の学びは終わろうとした時だった。
「琴羽さん、でも一個個だけ質問があるぞ。エクソシスト的に超重要な質問でもある」
いつになく翠は熱っぽく琴羽を見ていた。見かけはイケメン御曹司の翠だ。一般的な女性はドキドキしてしまうだろうが、顎のあたりにクッキーのカスがついていて台無しだった。
おそらく何か困った時は、こうして女性に上目遣いをして質問したり、手伝って貰ったりしていたのだろう。そんな過去も透けて見え、こ琴羽はため息も出るが、今は聖書勉強中だ。机の上の聖霊に視線を落としつつ、笑顔で対応。
「何? どんな質問?」
「悪魔と悪霊ってどう違うの? 悪魔の親分がサタンで、元天使だとは分かったけど、どういう事さ?」
翠は首を傾げていた。彼の質問はもっともだった。
「悪魔はサタンね。悪霊はその手下の実行部隊よ」
「サタンが司令官って事?」
「エクソシストが追い出すのは大抵は悪霊の方ね。というか、悪魔が憑依できるほどの存在はかなりのサタニスト。一般人では少ないはず」
翠は琴羽の説明にも何も納得していないらしい。ボールペンをくるくる回し始めた。
「わかった。とっても分かりやすい例えをしましょう。アンパンマン って知ってる?」
「知ってるよ!」
アンパンマン は翠も知っているぐらい有名なアニメだ。翠は子供の頃、アンパンマンの大ファンでグッズも集めていたとか。それぐらい子供達のヒーローキャラだ。琴羽も子供の頃、アンパンマン ポテトがお弁当に入っていると嬉しかった。
「アンパンマン の敵役のバイキンマンっているでしょ?」
「俺、あいつ嫌い」
「そんなのはいいから。例えるならバイキンマンが悪魔。カビルンルンが悪霊よ」
「は!? そうか、なるほど!」
この例えに翠はようやく納得したらしい。
「まあ、悪魔も悪霊も同じものと考えても、別に問題はない。実際、どっちも神様に敵対し、人に嫌がらせする存在だから」
「なるほど」
翠は腕を組み、深く頷く。
「まあ、悪魔組織もヒエアルキーがあり、上のものが下のものを追い出せる。いわゆる一般的なお祓いがこれ」
「へえ。なんか騙された気分だな」
「悪霊も多種多様の種類がある。なんせ実行部隊だから、反キリストの霊、暴食の霊、怠惰の霊、鬱の霊、自殺の霊、宗教の霊、姦淫の霊と様々。多くは正体を隠してる。名前と正体を言い当てると、八割はこっちが勝ったもんよ」
実際、花岡に憑依していた悪霊は正体がわからなかったが、それを見破り、悪霊の名前を口に出すだけでも、向こうはビビる。
「いや、なんか悪魔組織の方も色々アレだな」
そんなオカルト的話題を出すと、翠はしみじみと頷く。
「やっぱりエクソシストしたいぞー! アンパンマン みたいにかっこいいヒーローになりたい!」
一人盛り上がっている翠。無邪気な翠に琴羽はニヤリとする。
「アンパンマン はイエス・キリストがモデルという噂もあるわよ」
「は!? マジで!?」
翠は目を丸くし、絶句するほどだった。




