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第六話 賭け

イメラとの対戦が開始します

ー天界歴1080年10月27日ー


イメラとの真剣を交えた対戦があと30分で開始される。


魔法、剣なんでもありの試合だ。相手がどんな武器を持ってくるのか、と考えるがイメラは剣を腰に


掛けていたので恐らくあちらも剣だ。また、名前から察するに雷属性だろう。


おまけに向こうは闘争心むき出した。


そこでキリサメはあれ、、?闘争心を逆に利用、ってことができるのでは?


つまりあちらは冷静さを欠いており不意打ちには対応できない、のでは?


不意打ちが簡単に通用する相手ではないだろうが初動で様子を見て隙を突くというのを


やってみてもいいかもしれない。


そんなことを考えると開始まであと5分。深呼吸をして待機をする。



キリサメは剣の柄に手を添え腰を低くし、剣を抜く体制を維持する。


試験監督のはじめ、の合図でスタートだ。


20メートル程前にいるイメルも同じ構えを取っている。


ふぅ....と深呼吸を繰り返しその時をまつ。


そして開始されたときのイメージを膨らませる。


心臓の音だけが聞こえるどく、どく、と鼓動がどんどん早くなっていく。






たった数秒しか経っていないはずなのにだいぶ長い時間が経ったように感じた。


「はじめ!!!!」頭が理解するよりも早く剣を抜いた


、はずだった。柄に添えていたはずの手が振り払われていた。


イメルは真横にいた。剣は抜いていない。スタートと同時に距離を縮め私の手をはたいたのだ。


そんなのありかよ、おかしいじゃん、おかしい、剣を抜くのが筋だろう。キリサメは焦りで頭が


真っ白になった。相手の様子見をして不意打ち、なんて甘すぎた。


「遅いわね、こんなのにも反応できないのかしら?」はやい、はやすぎる。これが雷かよ。


泣きそうになる。絶望の縁だ。


「あなたって見た目通りの人だわね」そう言われて私ははっと気がついた。


私はもともと剣の才も無ければ魔法に秀でているわけでもない。すべてが亡き姉の下位互換だ。


もう笑ってしまうぐらい自分の才能のなさには気づいている。努力もしている。


だけど無理なんだ、どうしても。師匠の言っている心を込める、もできない。


しかしキリサメは「はは、才能は、ないかもね。ただ、人一倍努力だけはしてきたんだよっ!」


()()()()左手に水の刃を作る。



ーキリサメはこの1ヶ月何も習得せずにぼーっと鍛錬を繰り返していたわけではない。

 

 1ヶ月前は詠唱が必要だった魔法だ。しかし想像力、すなわち無詠唱で魔法を操るのに必要な力


 それをずっと鍛えていたー


水の刃を自分の左側にいるイメルの首めがけて刺そうとする。


始めて人を傷つける、ましてや首だが全く抵抗感がなかった。


人を才能で図っているこいつに腹が立ったからだ。腹がたったから。それだけだ。


「なかなかやるわね。でも甘いわ」キリサメの手にガキンと抵抗感が生まれパキン、パキンと


2種類の音が生まれた。一つはキリサメの水の刃が砕けた音、


もう一つは、、イメルが作った魔法の盾だろう。防がれたのだ。完全な不意打ちを。


「これが才能の差かよ、、」と毒づく。ただ距離が取れたので剣を速攻で抜く。


もちろん向こう側も剣を抜いた。不意打ちを諦めこちらから仕掛ける。


「お返し」そうつぶやき剣を斜め右60°に構える。


型の発動だ。天泣の剣が青白く光り、微弱な音を立てる。


その次の瞬間にはキリサメは敵の横にいた。しかしそれはイメルの脇腹を掠っただけだった。


っ避けられた。「へぇ、やるじゃない」


ただキリサメがここで終わるわけない。硬直を防ぐべくそのまま姿勢を低くし次の型につなげる。


剣を真横に構えると今度は紫色に光る。しかし「させると思う?」という声が聞こえ剣を上から叩かれる。


硬直は免れたが型の発動が中断され姿勢が崩れた。「っ...」


イメルの剣が、金色に光っている剣がキリサメを襲う。


かろうじて軸を避けるも左肩を削られてしまう。


「くぁっ...」その衝撃に思わず声を上げてしまった。


一旦距離を取るべくバックステップをするがイメルは神速とも限りなく近いスピードで迫ってくる。


迫っている間にすでに型が発動されている。またしても金色。


やっとわかった。あれは型ではない。剣の固有能力だ。つまり彼女の速さは剣の加護によるものだ。


考える暇もなく彼女の剣は迫っている。剣の角度を考えると斜めに切られる。


避けるのは不可能。できるだけ致命傷だけは避けなければ本当に()()


どうすればいい?どうするキリサメ?


間に剣を挟むのも間に合わない。考えた答えは一つ。


キリサメは「こっちは覚悟が違うんだよ!!!」と叫びながら左手を動かす。


次の瞬間左手から鮮血が舞う。なんとか切り落とされずに済んだがこの試合ではもう動かせそうにない。


「ふぅん、しぶといわね。でもその傷、もう剣を振るえないでしょう?」そう言われた。


だがキリサメは「それはどうかね」と答える。


賭けに出ることにした。でないと死ぬ。どうせ死ぬなら足掻いて死のう、と決めた。


賭けで出す技は師匠から受け継いだあの技。


片手でもできる突き技であった。それも最高峰であるV字形を描く7連撃。


相手を殺す気で突いてやる。あいつを、あいつのお腹の中身をすべて出す感じで。


剣を右手に持ち、斜め下に構える。ぎりぎりまで突き技だと悟らせないためだ。


まるで力がないようにふらふらと彼女に歩み寄る。勝ち誇った顔で「もう力がないのね」


そう嘲笑っている顔を、何としてでも歪ませたい。


「まだ、終わりじゃないぞ...」そうつぶやきキリサメは剣に力を入れ態勢を作る。


その勢いのまま彼女の右肩に刺す。そこから更に斜めに2回、そして魂の1回を入れた


そこから想像力でクッションを作り剣をバウンド、そして斜め上に3回刺した。


先ほど力を抜いていたのは想像力を働かせるためのリラックスでもあった。


賭けに勝ったのだ。そしてイメルはその場で仰向けになって倒れた。


「なによ今の技...」


「まだやるつもり?」キリサメは剣を突き立てる。


「もう、降参よ、私が、、悪かった、、わ、、」最後まで認めたくないようであったが剣を突き立てられては


認めるしかなかったのだろう。


彼女の顔は悔しさなどなかった。歪むこともない。ただ放心状態であるだけ。


「勝者!ー霧雨ーキリサメ!!!」試験監督の声が聞こえた瞬間ふっっと力が抜けキリサメは倒れた。


左腕が半ばちぎれ脇腹からの出血も相当なものだった。


そして医者が手当を開始し、決着はついたのであった。

見てくださりありがとうございます。

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