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第五話 因縁の相手(前半)

特別試験、はじまります。

ー天界歴1080年10月26日夜ー



ついに明日は特別試験だ。


キリサメは試験に備えこの1ヶ月弱毎日欠かすことなく師匠に教わった鍛錬を反復していた。


そして今日かいた汗を流すべく大浴場に行く。


キリサメは部屋に併設されてる小さな風呂場でシャワーだけ済ませることが多いため、大浴場に行く機会は


あまりなかった。



久しぶりの大きなお風呂に期待して更衣室に入る。


ここの寮は女の子しかいないため男女という概念がない。


女子風呂、とか女子トイレ、とかいちいち書いていないのだ。


つまりいちいちタオルで体を隠さなくてもいいし誰かが風呂にいるって言う確率自体が低いのだ。


実際、大浴場を今まで利用した中で誰かがいた、なんてことはなかった。


だから今回も、、と油断して一応タオルだけ手に持ったまま全裸で浴室のドアを開ける。



すると湯気の向こう側から「あなた、品がないわね、私にあなたの汚い体を見せないでちょうだい?」


でたよ!!!今まで会った中で因縁しかないイメルだ。


今回に関しては品のない私が悪い「すみません!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


とりあえずバカでかい声で謝っておく。実行した我ながら思ったより大きい声が出せたなフッ...っと心のな


かでガッツポーズを決める。


しかしそれが余計向こうの癪に障ったようで「あんたほんとに反省してるの!?」


と言わせてしまった。「もういい、あんたといるとのぼせちゃうわ、さよなら」


って言いながら浴室を出ていってしまった。


なんか申し訳無さというよりもはやふざけてしまうレベルのツンツンだ。



体を洗い終え湯船に使っているとまたしてもドアが空いた。


その方向から「あれー?だれかいるのー?」と無邪気な声が聞こえる。


一瞬幼子の声にも聞こえるが同じ試験者である東雲ーシノノメーだった、はず。


記憶が曖昧であるが毎朝ご飯をともにしているので少し話したことはある。


なんというか、人生経験があまりにも足りないと言うか今まで騎士になる為の訓練しかやってこなかったの


かと疑うレベルだ。


「あー、キリサメちゃんだ!!」そう言いながら彼女はまっすぐこちらにやってくる。


「こ、こういうのは体を洗ってから...」


そう言い切る暇もなく飛びつかれる。


「あははー!お湯あつあつ!!」そう呑気なことを抜かしてる。


それにしても抱きつかれても重くない。見た目が小柄だから軽いだろうとは思っていたが想像以上に軽い。


なんとか彼女の体を振り払い浴室を出る。


彼女はなにがないのだろう、、と考えるが見た目からではまったく推測できない。


まず感情を第一に思いついたが無邪気に笑ってる姿をみてそれはないだろう。


その選択を消すとますますわからない。キリサメは無意識に部屋に入りベットに横たわって考え続ける。



ー天界歴1080年10月27日、特別試験開始ー



いつの間にか視界は真っ暗になっており時計を見ると朝の5時。


この時期は日の出の時間が遅いため外は静けさと肌寒さに覆われている。


せっかく目が冷めてしまったので外を散歩しようとコートを着て部屋から出ると、廊下には人影があった。


「あれ?あなたも起きたの?、こんな朝から出かけるんだね」


中性的でなんとも言えない甘さをしている声が聞こえた。


試験説明の際にいた少女だ。名前はたしか、、、聞いてないことに気付いた。


彼女は本を読んでいるが話しかけられたのでせっかくだから名前を聞いてみる。


「あなた、名前は?私はキリサメ。よろしく」


「私の名前?しょうがないなー、教えてあげる。僕の名前はー彗星ースイセイ、ちゃんと覚えてね」


第一印象ではもっと癖が強くて(イメルのように)名前なぞ簡単に名乗ってくれないのかと思っていたがす


んなりと教えてくれたので拍子抜けしてしまった。


軽く会釈して部屋を出る。やはり外は暗いし寒い。魔法で手に光を宿らせ地面を照らした。



散歩から戻ったキリサメは部屋にコートを片付けた後、先月説明された通り午前7時に食堂に集まった。


なんともう8名は揃っていた。「遅いわよ」イメルに舌打ちされてしまった。


キリサメが着席したタイミングで試験監督がやってきた。


「さあ今日から試験ですよ。覚悟はできてますか?できてますよね!今から試験の説明を行いますよく聞い


て下さいね?」



告げられた内容は到底信じられないものであった。


内容は自分の剣、つまり真剣でトーナメント方式を用いて対人戦を行うのだ。


キリサメは模擬戦闘ならば木刀で行ったことがあるが真剣で、ましてや初対面の人となどあるはずもない。


おそらくここにいる全員そうだろう。


そんな絶望的状況のなかでも試験監督は構わずトーナメントの対戦相手をルーレットで決めている。


「これがお前たちの最初の相手だ」


魔法で作られた半透明の液晶に表示されたキリサメの対戦相手、それはなんと因縁のイメルだった。


「またあんたなの!?いい加減にして!!!もう怒ったから覚えてなさい!」


あちら側は殺意むき出しだ。さっきまでの絶望が吹き飛ぶくらいに防衛本能が働いている。


ここで死ぬわけにはいかない、あんなクソガキに殺されたくない、と。


真剣とは言っても殺人ゲームではないので治癒魔法が使える医者が会場にはいるらしい。


そこは安心してできるとは言え絶対死なないと決まったわけではない。


気を抜いてはいけない。


キリサメは人生初の体験にアドレナリンと恐怖が混ざっていった。

次回、キリサメvsイメル

因縁の相手同士の対決の様子を描いていきます!


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