第四話 賢い戦い方
新生活描きます
ー天界歴1080年9月28日ー
「あなた なの?」
突然カザハナに言われた言葉「あなた涙の血族なの?」
「涙の血族??」初めて聞いた言葉だ。
「うん...その剣の模様、涙の血族のものに似てる...」
キリサメがきょとんとした顔をしていると
「いやっあのっ違うなら...いいんです...!」
「聞いたことないし私は涙の血族?ってやつじゃないと思うよ。涙の血族ってなにか聞いてもいい?」
「あっはい...涙の血族っていうのは200年前の二国間大戦争の際に大活躍した零雨ーレイウーの子孫のこと
を言うんです...」
レイウという騎士は一人で100人相手にわずか1分で殲滅させたというおとぎ話にもなってる伝説級の人だ。
「私がそんな方の子孫なわけないよ」
と返したが「その剣の名前を聞いてもいいですか...?」
「この剣の名前は天泣の剣だ」
天泣の剣...?カザハナにはわからないという顔をされて
「いやっあのっやっぱ勘違いだったみたいです!!!すみませんでした!!!!」
「いや、大丈夫だよ」と答えると失礼しましたっ、と言いながらカザハナはさっそうと訓練場を後にした。
訓練を続けようか迷ったものの丁度お昼時だったので気分転換も兼ねて町に出てみることにした。
昨日までほとんど人気のない小さな田舎村に住んでいたものでパンや米などは全部地元の農家から購入して
いた。
しかし今いるのは中央政府の直轄都市つまりこの国の都市なのだ。
キリサメがついたところはスーパーという市場によく似たところだった。
そこにはパンや米、さらには野菜果物、魚が既に加工された缶詰なの多岐にわたる商品が立ち並んでいた。
さすが都市と感心していると「あら?奇遇ね?」と今朝よく聞いた声が聞こえた。
鼈甲色の髪、ツンツンした声、イメルという少女だった。
「あなたも買い物?楽しんで。」こっちが声を出す暇もないままさっそうと言ってしまった。
嵐のようだな、、と思いながら近くにあったアップルパイに手を伸ばす。
アップルパイは故郷でよく母親に作ってもらっていたものだ。
そんなことを思いながらさっさと会計を済ませ寮に戻る。
あっ。またイメルト出くわしてしまった。
「あんた私のことストーカしてる!?違うんだったらなんでこんな短時間で会うのよ!?ついてこないでよ
ね!!」
このクソガキっ....またしても手が出そうになったが理性がそれを抑える。
そんなこんなで部屋に戻りアップルパイにかじりつくが...かっっっっっっっっっったぁ!!!!
歯が折れそうになった。それに冷たい。
パッケージを見ると「冷凍食品。3分加熱してください。」と書かれている。
加熱、、?都市は冷凍技術が発達していると聞いたことがある。まさしくこれか、、と思い魔法を発動させ
る。
キリサメが水魔法の使い手とは言えどそれぞれの属性の基本中の基本は一通り勉強している。
ただそれぞれの属性の形状変化までは操れない。
「シエル・フラム・チャージ」
右手と左手にそれぞれ小さな火の玉のようなものが現れる。それをアップルパイにしばらく当てると
ジューという音とともにいい香りがしてきた。パチンッと破裂音までしてきたため手をかざすのをやめた。
食べてみるとまるで出来立てのアップルパイの味だ。
都会の技術恐るべし...と思いながらジャスミン茶を飲んで一息つくと訓練場にまた戻った。
午前中は突きの練習をしていたが午後は素振り、また人間の急所を性格に切る太刀筋の練習をする。
キリサメはそういう基本の練習を済ませ、秘技を引き出す一歩手前の段階にある「型」の練習に入る。
「型」を繰り出すためには剣の1度のずれもない正確な構え、呼吸のタイミング、踏み出しが大切になる。
まずは基本技、正面に構え一呼吸で縦に相手を斬りつける技を放つ。発動する際、剣が淡く発行する。
技の名前とかは特についてないらしい。ただ型を1撃だけ繰り出すには最後の硬直が余りにもタイムロスな
のでカウンターを取られてしまう。
なので剣の終わりの角度をどう調節するかが肝でそこから二撃目の型にうまく繋げられるかに掛かってい
る。
今回キリサメは剣に身を任せて体を反転、そして同じ技を繰り出す。
実際二呼吸だが相手から見れば一呼吸で360°回転する技を見せられているような感じだ。
他にも横一薙の回転技を体ごと動かすことで違う角度から同じ技を放っても相手から見れば一息で多様な角
度から斬りつけられているように見える。
戦術にも知恵が必要だ。
キリサメも師匠から教わったものだけでなく自分で考えたものを実践に取り入れなければならないときがい
つか来るだろう。
5話も続きますっ