第二話 急展開
2話投稿です〜
ー天界歴1080年9月27日ー
稽古場についた時キリサメは反省の色を示すためにとりあえず謝るかと思い、
はぁ...とため息をついていると師匠に結構だと言われてしまった。
「今日は稽古をつけない」
「はい?今なんt...」
「とりあえず話を聞け」
真面目な顔で言われてしまったので断ることもできる話を聞くことにした。
「お前に中央政府から送還状が届いてる」
「えっ?私に、ですか?」
「そうだ。お前は選ばれたんだよ政府主催の特別試験に。もうじき迎えが来る。準備をしろ」
なんで剣の能力が引き出せない私が''あの特別試験''に??
技術だけあっても剣の能力を引き出す、秘技が使えなければ試験の受験者とまったく渡り合えないだろう。
なにせ各地域の騎士見習いから特に優秀な人が政府から選ばれるのだ。
意味がわからない、という顔をしていると早く準備をしろ、という声が聞こえたので考えるのをやめて服装
を整えるために稽古場においてある制服を取りに行った。
制服というと市民が学校に通うときに配られるようなものではなく、生まれたときに授けられた、革ででき
たブーツと上質な布でできた白いシャツとコートだ。
キリサメのコートは白を基調とした布地にところどころに青いラインが入っている。
それを着るとブーツを履き外に出るともうすでに迎えがいた。
「「お待ちしておりましたキリサメ様。」」2人の少女の声が同時に聞こえた。
メイド服に似た服を来た2人は相互の手の間に小さい隙間を残したまま両手を向き合わせると、そこには半
透明のドアが創造された。
おそらくは魔法だろうが、それはキリサメが全く知らないものであった。それを無詠唱でやってのけると
は、、と感心していると師匠の送り出しの声が聞こえた。
「’’心’’だけは忘れるなよ、一生弱いままだぞ」と言う忠告なのか冗談なのかよくわからないことを言われた
がとりあえず右手を額に当て、左手をそっと腰の剣の柄にそえる騎士礼をした。
そこからは「「どうぞお入りくださいませ」」と言う声とともにドアに入るとそこは椅子が整然と並んでいる
部屋であり、キリサメと同じく試験者であろう制服を来た人が既に9名の少女が揃っていた。
「「おすわりください、後ほど説明致します。」」と言われたので空いている残り一つの席に座った。
どうやら私が最後だったようだ。
しばらく座っていると部屋の扉が空き、そこには予想外の人物が入ってきた。
彼女はすらりと背が高く少し触っただけでも割れてしまいそうなくらい真っ白い肌、それとは真反対の赤色
の髪を持っていた。
しかもキリサメが存在すら疑っていた伝説級の特級騎士統括長ー紅雪ーことベニユキだ。
その場にいた試験者達は一人を除いて騎士礼をした。
騎士礼をした9人は「え?」とその一人を見た。当たり前だ。身上の人、ましてや特級騎士統括長に騎士礼
をしないなんて宣戦布告をするようなものだからだ。
座ったままの少女は背は平均程、髪は紺青色、長い前髪が櫨染色の右目と眼帯をした左
目の眉間に垂れており、右手には鈴を持って手遊びし、さらには足を組んでいる。
「僕になにか用?」とまで抜かしてる。
なんと図々しい態度なのだろう、、と呆れの視線を全員が向けていると統括長が「まあ気にしないわ」
と言ってくれた。無意識にほっと一息ついてしまった。なにせ統括長の器がもっと小さければ彼女は目の前
で殺されていたかもしれないからだ。
なにはともあれ無事に説明が聞けそうだ。
「ようこそ、特別試験へ。君たちには政府直属の寮に入って剣の指導を受けてもらう。直属だけあってただ
の指導ではすまないぞ。聞いたところによると君たちかなぁり実力が高いようだね。ただ何か1つがかけて
いる、そういう人たちが集まったはずだ」
なんか噂とは違う、とキリサメは思った。噂からは完全無欠、非の打ち所のない人が集められて最強部隊を
作る感じなのかと想像できた。実際はなにか1つが抜けている、か。私の場合は’’心’’だ。
他の人もまた別の''なにかがかけている''のだろう。先の彼女も協調性にかけている。
そんなことを考えていると長の「では解散!隣の建物に君たちの部屋を案内する紙を渡すからこの後はそれ
に従って動くように。今後はその部屋で過ごすことになるだろう。終わりだ。」
そういって長はさっそうと部屋を出ていった。
一応一緒に鍛錬をする仲間だろうから挨拶位は、、と思ったが先の櫨染色の少女は「じゃ」と言いながらさ
っさと部屋を後にした。それを切り札に何人かも部屋から出たので挨拶は叶わずキリサメも渡された紙通り
に隣の建物に向かった。
3話急展開しますよ