第一話 すべてのはじまり
この国は貴族、聖職騎士と市民、いわゆる一般階級と呼ばれるものの2つに身分が別れている。それぞれ
天界から役職が与えられ、命が続く限りそれを全うしなければならない。
まあ詳しく説明するなら聖職騎士にも中央政府から選ばれた特級騎士、上級騎士、下級騎士、騎士見習いに
分かれる。
ー天界歴1080年9月27日ー
カナラ丘の上で「どうすればいいんだろう...」そう呟いたのは青髪ショートカットの騎士見習い、霧雨こと
キリサメだ。
この国の騎士は8歳から15歳まで魔法の勉強、そして15歳からは師匠を付けて剣を学ぶ。
通常、聖職騎士の子には生まれつき天界の役人から専用の剣を与えられその剣の固有の能力を十分に使えて
こそ騎士として認められる。
キリサメには「天泣の剣」を与えられた。
キリサメには10年ほど前まで年の離れた姉がいた。本来その人が聖職騎士になるはずだった。
しかしその人はいない。騎士見習いにも関わらず隣国との戦争の義勇兵として戦場に赴いたっきり音信不通
だ。おそらくは...まあ考えても無駄だ。
結局次女の自分が聖職騎士を目指すことになり、天泣の剣も本来姉がもつものだったものを受け継いだだけ
だ。
つまり私は姉の下位互換だ。
誇れるものも何も無い。ただ姉が通ってきた道をまるっきり同じように辿るだけ。
そう思いながら魔法を勉強し、剣を振るい続けてきた。
しかし一向に自分の技術が発達しない。
決してキリサメのやる気がないわけではない。
心当たりはついている。どうして剣が上達しないか。
その理由に気づき出したのは師匠にこう言われてからだった。
「お前は剣に思い、つまり心を込めてない」と。
思いを込める、と言われても姉から受け継いだ道、そして私は成る可くして通っている道だ。
剣に込める心なんてあるはずがない。
そう諦めてこの丘でふて寝しているのだ。
しかしよく聞き慣れた声が聞こえた。
「キリサメ、何をしているのですか?大事な話があるので戻りなさい」
大事な話、、、?と思いながら私は半ば引きずられながら稽古に向かうのであった。
1話、書いてみました。
趣味でやってます〜