表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/11

リッチキングとの戦い

「アリス!今すぐ魔力を解放しろ!」


 アリスは呪文を唱え、レイヴンの魔力を解放させる。

 呪文に『封魔と使役の腕輪』が共鳴し、封じ込めれていた魔力をレイヴンに流入させる。


 レイヴンは、火の玉を何個も作り、スケルトンの群れに放つ。

 火の玉はスケルトンの集団に直撃し、何体かの骨がバラバラと崩れる。だが、散らばった骨は集まり、また形を取り戻す。


「なるほど、自称・智謀に長けた王を名乗るだけある。こうやって相手を消耗させていくわけか」


 レイヴンはスケルトンがいくら倒しても、無駄だということを理解する。

 スケルトンを見据えながら、アリスに声をかける。


「お前、聖職者だろ!アンデットには強いはずだ!」


 アリスはその光景に身震いしながらも、自らを奮い立たせ、返事する。


「は、はい!わかりました!やってみます!」


 アリスは手を合わせ祈りをささげる。

 そして、スケルトンの群れに向かって叫ぶ。


「主よ……どうかこの者たちに安らかな眠りをお与えください」


 そして、スケルトンに手を広げると、頭上から眩い光が差し込み、スケルトンたちの身体が崩れ落ちてゆく。スケルトンたちは、土に還ってゆく。

 アリスはその光景を見て安堵する。


「よかった……ちゃんと出来た……」

「安心している暇はないぞ、第二陣が来る!」


 次は鬼火とインプがスケルトンに加勢し、レイヴンに対して突撃してくる。


「この程度の雑魚、何体来ようと同じだ!」


 レイヴンは魔力を両手に集中する。

 すると、黒い霧が両手を覆い、徐々にそれが曲がった刀の形になっていく。そして、向かってくるインプと鬼火を斬りつける。

 すると、鬼火が黒い霧に覆われて消滅し、インプは両断され、血しぶきをあげて、バラバラになる。


 控えているインプは震え、そして敗走し始める。


 リッチキングは、静かに呪文を唱えると、氷の刃が出現する。

 そして、敗走するインプたちの元へと、それを飛ばす。


 氷の刃はインプたちの胸を突きさし、インプは力なく地面に倒れこむ。


「昔から変わらないな。生者には意思がある。だから死者のほうが扱いやすい。それがお前の言い分だったな」


 レイヴンはリッチキングに吐き捨てるように言う。

 リッチキングは、死んだインプ達をその死霊術で生き返らせながら述べる。


「レイヴン。君が最弱である理由は、その融通の利かなさにある。その点私は違う。使えるものは使えるようにする」

「ほう、貴様が勇者との決戦で逃げ回った後に、新魔王に仕えているのも、融通ってわけか」


 リッチキングはその言葉に、反応する。


「レイヴン、それは貴族と王の違いだ。王には生き延びる責任がある」


 リッチキングは杖を振り回し、インプのゾンビを突撃させる。

 レイヴンは、高速で飛んでくるインプを叩き切ろうとする。


 だが。

 インプのゾンビが爆発する。

 寸前のところで、レイヴンは吹き飛ばされ、そして受け身を取る。


「インプ爆弾という奴か」


 切り捨てられたインプの死体が次々と起き上がり、そしてレイヴンに突撃していく。

 レイヴンは回避しようとするが、それでも幾つかのインプは回避することができない。

 そして、インプゾンビに被弾しそうになった、そのとき――。


「光の防壁!」


 そう言うと、アリスが光によってレイヴンを守り、爆風からレイヴンを守る。


「よくやった!アリス!」


 レイヴンは体勢を立て直すと、襲い掛かってくるインプのゾンビを斬りつける。

 その斬撃によって、爆発するまでもなく、インプゾンビはバラバラになる。

 その様子を見て、リッチキングは驚いた表情を浮かべる。


「貴様も人間の聖女様に命乞いをしているのなら、私のことをとやかく言う筋合いはないな」

「ふん、お互い様だ」

「私は少なくとも自らの意思で魔王に仕えている。貴様はどうかな」


 レイヴンは鼻で笑うと、リッチキングに向かって斬りかかる。しかし、リッチキングは巧みに杖を操り、刃を弾き返す。


「口だけ達者なだけあって腕は確かだな。だが……」


 そう言うとレイヴンは、再び斬りかかろうと、剣に力を込める。

 しかし、リッチキングは杖の先から衝撃を放ち、レイヴンを吹き飛ばす。吹き飛ばされたレイヴンは地面に叩きつけられ、土煙をあげる。

 そして、体勢を立て直そうとするが、衝撃によってうまく動くことができない。


「さて、私がなぜリッチキングと呼ばれているか、その真髄を見せてやろうか」


 リッチキングは杖を高く掲げる。

 そして呪文を唱えると、地面に散らばった骨やインプの欠片がカタカタと音を立てて、リッチキングを中心として集まり始める。

 集まってきた骨やインプのゾンビたちは、リッチキングと融合し、巨大なスケルトンの集合体となる。

 リッチキングは、そのスケルトンの中心で、レイヴンに語り掛ける。


「これが私の真髄だ。どうだ?少しは見直したかな?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ