マグニフィコ王は何故ディズニー史上最恐のヴィランなのか(作品ネタバレあり注意)
作品のネタバレを含みますご注意下さい
ディズニー100周年記念作品「ウィッシュ」
そのヴィラン(悪役)こそが舞台となるロサス王国の王である「マグニフィコ王」である。
幼いころ故郷を滅ぼされ両親を殺された過去を持つ彼は独学で魔法を身につけ、その力でロサス王国を建国。争いもなく経済的にも恵まれた国家を作り出した。作中描写を見ると様々な人種が暮らしており白人、黒人、アジア人であろうと差別なく暮らしている。時代設定が13世紀頃と考えると理想国家と言えるだろう。
「この国に来る者は皆、困難や不公平に阻まれて自力で願いを叶えられなかった者たち」であり王は18歳以上の国民から願いを集め月に1人を選びその願いを叶えるという儀式を行っている。youtube上で公開されている「無礼者たちへ」の歌詞では昨年は14個の願いを叶えたと発言していた。
ここまで読むとマグニフィコ王は間違いなく名君だと言える。
願いの内容を吟味して都合の悪い願いは叶えず保管(捧げた願いは忘れられる。このデメリットについては国民は把握している)していた事で主人公アーシャの反乱を招く事になるが、都合の悪い願いを持つ人間を排除したり願い自体を消滅させたわけではなかった。
自分以外の願いを叶える存在が現れた事で自ら作り出した王国が壊れる事を恐れ禁断の魔法の封印を解き暴走
結果的に倒される訳でヴィランである事は間違いないのだが、作品の感想を見ると彼はむしろ被害者なのではないかという意見が多く出ている。
日本語版吹き替え声優を担当した福山雅治氏は彼のことを「過剰な正義によって悪に転じてしまった悲劇の王」と評している。
だが結論から言えば彼は最恐のヴィランである事に間違いない。
前提となるのはディズニーは「ポリコレ」重視の姿勢であるという事だ。
ポリコレ(Political Correctness)とは人種、性別、国籍、宗教、年齢、障がいなどを理由とした「差別的な表現を正す」という考え方である。
映画レビューの中に「願いを叶える力を手に入れた主人公がなぜ親友の障害を治さないのか」という物があった。一見正しい意見のように思えるがこれは健常者側からの傲慢的な視点、差別なのである。
ポリコレが浸透したアメリカにおいては体質や病気と関係ない怠惰による肥満者に対して「健康の為に痩せよう」というだけでファットフォビア認定、すなわち差別主義者となるのである。
名作アナと雪の女王で語られた「ありのままの姿を見せる、ありのままの自分になる」事が大事なのである。
このポリコレ的視点を持つことでマグニフィコ王の罪が明らかになった。
すなわち「ハゲに魔法をかけてフサフサにした」
これにより彼は永遠の封印という責め苦を受けるにふさわしい最怖のヴィランとなったのである。
なお筆者はまだウィッシュを見ていないのでディズニー+で配信されるのが楽しみです( ՞ਊ ՞)