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姫プレイ聖女~冒険者に憧れた少年は聖女となり姫プレイするのです~  作者: 功野 涼し
聖女セシリア

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第261話 封剣へと

 エキュームの港で海風に吹かれながら目を細めるドルテの横にセシリアが座る。


「いよいよ出発だね」


「ええ、これでフォルータへの場所が分かればいいのですが」


「きっと大丈夫。ニャオトさんたちも色々な文献を調べてくれたし、レシフ島にあるカシェが鍵なのは間違いないよ。ここでは答えがでないから、まずは行ってみようよ」


 不安そうな表情を浮かべたドルテだが、セシリアの言葉にすぐに笑顔を見せる。


「そうですね、行ってみないと始まりませんものね」


 二人が目を合わせ微笑み合う。そんな二人に大きな声で言い合う声と、鎧が歩く金属音が近づいてくる。


「って、わるかったって言ってんだろ。大体あんたも三天皇とか名乗るんなら、非戦闘員なあたいの拘束くらい解けっての」


「……そっちではない。私をドルテ様目掛け飛ばしたことだ。あれは屈辱的だった」


「んなこと言われてもよ。あのときはあれがベストな選択だったんだぜ」


 ペティとオルダーが言い合うのを見て、セシリアとドルテは再び目を合わせ苦笑すると、ドルテが口を開く。


「オルダーさん、わたくしは気にしてませんよ。それに受け止めたあと、お姉様の攻撃に対処するのに精一杯で存在を忘れて握りつぶしそうになったことを謝ります。申しわけありません」


「それならそうさせた私も謝るよ。ごめんなさい」


「……め、滅相もありません! お二人に非などありません! 私が悪いのです。どうか頭を上げてください!」


 セシリアとドルテに謝られてタジタジになるオルダーを見て、ペティは薄ら笑いを浮かべたあと、セシリアを見ると親指で自分の背後にある船を指さす。


「出港の準備できたってよ。早いとこ行こうぜ!」


 ペティの呼びかけにセシリアたちは頷くと、船へと向かって歩く。


 ***


 対クラーケン用戦艦、トリヨンフローレは各国の支援を受け早急に補修されレシフ島へと出港する流れとなった。トリヨンフローレの名前を『ラ・デエスセシリア』などとする案もあったが、セシリアの「クラーケン戦で共に戦った思い出の名前を変えたくありません」の一言で消えてしまう。


 この船の責任者であるヴァーグ船長は名前が無理ならと、セシリアの像を船首に飾ろうと目論むが、それも事前に察知したセシリアによって阻止される。


 そんな経緯を思い出しながら、海をかき分け進むトリヨンフローレの船首にあって、船の中で誰よりも先陣を切って潮風を切り裂き船の進路を護る、船首像の女神ティアスを見たセシリアは航海の安全を祈る。


 人だけでなく、魔物であるラファーと、ドルテたち魔族を乗せたトリヨンフローレの船上は賑やかである。


 ユニコーンであるラファーがつぶらな瞳を海上に向け、まだ見えないレシフ島を映そうとする。


『大陸の東側の海には久しぶりに来たぜ。レシフ島にフォルータか……日頃気にしていなかったが、思い出そうとすると、もやがかかったような感じになるのはなんらかの力が働いているってことか』


 そう言ってラファーが空を見上げると、大きな巨体を感じさせず優雅に空高く飛ぶフォスの姿を瞳に映す。遥か上空からトリヨンフローレのスピードに合わせ飛ぶフォスをしばらく眺めていたラファーが、口角を上げふっと笑い『フォスのおっさんが素直なもんだ』と呟く。そのままセシリアを見たラファーが口を開ける。


『俺らまで行く意味ってのが封印を解くためって話だが、この世界から魔族の故郷の記憶を消しさるとかとんでもない話すぎて理解に苦しむんだが』


「そうだよね。シャルルが言うにはカシェは『封剣』と呼ばれてていて、名前の通り相手の力、スキルを封じる力があったらしいんだけどその応用で一部の記憶だけを封印つまりは消し去ったんじゃないかってことみたい。そして、フォルータの場所すらも認知できないようにしたって」


『ますますとんでもない話だが、セシリアお嬢さんが大陸全土に力を広げたことを考えればあり得る話なのかもしれないな』


 ラファーから視線を胸元にある聖剣シャルルに移したセシリアは、船に乗ってから口数の少ない聖剣シャルルをぎゅっと抱きしめる。


 セシリアの思いを汲み取った聖剣シャルルはカタカタと静かに揺れる。


 ***


 レシフ島の近くで停泊したトリヨンフローレから小舟を降ろし浅瀬ギリギリまで近づくと、ワイキュルたちが元気よく飛び降りる。


 セシリアは自分にしがみつくドルテを見て笑顔を見せるとラファーを走らせ、それに続くペティたちの乗るワイキュルにそれぞれリュイと、ニャオト、そしてジャンケンによって勝ち抜いたミルコ、ジョセフが乗る。


 その後ろをコッレレに乗る、ミモルとララムが続き、さらにラボーニトに乗るオルダーの後ろにイーリオが乗り、その上をメッルウが飛び、浅瀬を強引に進むザブンヌが続く。


 レシフ島へと上陸し、密林を抜け中心にある大きな遠浅な池へとたどり着く。


 浅い水の中を進み、中心に刺さっている青い剣の前に皆が立つ。


『まじか……カシェの野郎……ちっ、頭が固くて真面目でムカつく野郎だったが……こんな姿になんなんくてもいいだろうによ』


『命をかけてまでやることがあったということだろう。カシェは無駄に命を散らす男ではないからな』


『ちげえねえな』


 刀身や持ち手にはコケが生え朽ちたカシェの姿を見た魔剣タルタロスの呟きに聖剣シャルルが応え、それぞれの剣は鞘から抜かれカシェを挟んで近くに突き立てられる。


 そのとき上空からゆっくりとフォスが降りて来て、そっと池に着地する。そっとといってもそれなりの風と着地の衝撃があり、それらが落ち着いたタイミングでセシリアが口を開く。


「それじゃあ始めようか」


 セシリアの言葉に皆が大きく頷く。

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