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姫プレイ聖女~冒険者に憧れた少年は聖女となり姫プレイするのです~  作者: 功野 涼し
聖女は里へ帰り北へと向かう

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第113話 脱出ゲーム開幕宣言

「こちらの部屋になります」


 ファディクトの兵が案内した部屋のドアは金の装飾がされており、中に入らずとも内装が豪華であろうことがうかがい知れる。


 ドアが開かれ中へ通されるとセシリアとラベリ、アメリーは部屋の中を見渡す。

 それは豪華な内装に驚いたからではない。金の装飾がされたドアに対して内装は落ち着いた雰囲気である。だが何か違和感を感じるのは、日頃見慣れない家具が配置されているからに他ならない。


「ユーリス王からの連絡があり次第お知らせ致しますのでもうしばらくお待ち下さい。何かご要望があれば何でも申し付けください」


 ファディクトの兵が丁寧に頭を下げ部屋を出ていくと、セシリアたちの護衛について来た兵たちが姿勢よく並ぶ。


「我々は左右の部屋に詰めております。ドアの前に二人見張りを立たせてますので、御用の際はそちらに言いつけください」


「ありがとうございます。苦労を掛けますけど宜しくお願いします」


 セシリアの言葉を受け兵たちが綺麗な気をつけ・礼を見せると部屋を後にする。出て行くのを見送ったあとセシリアたちは顔を見合わせる。


「この部屋なんかおかしくない?」


 セシリアの問いかけにたラベリとアメリーが大きく頷いて同意する。セシリアの足もとのにいるグランツもキョロキョロしているが、魔力や殺気などの危険を知らせてこないので何かに襲われる心配は今のところはなさそうだと判断する。


「この黒くて四角い箱はなんだろう?」


 セシリアが壁に掛かっている薄くて四角い箱を指さす。


「なんでしょう? なんだかテカテカしてて鉄のようでもガラスのようでもありますけど」


 セシリアと一緒に首を傾げるラベリーの横にいたアメリーが近付き手で触れる。


「アメリー無暗に備品に触っちゃダメだよ」


「なんかひんやりして手の跡がつくんだけど」


 セシリアが注意するがアメリーはお構いなしにペタペタと四角い箱に手の跡を付ける。


『これは……もしかしてテレビではないか?』


「てれび?」


 頭に響く聖剣シャルルの声に反応して、思わず口に出た聞きなれない言葉にラベリとアメリーがセシリアに注目する。

 日頃はコソコソ話しているのだが、思いのほか大きな声が出てしまい注目されたことも相成って恥ずかしくてセシリアは頬を赤くし口を押える。


「てれび? あれ? どこかで聞いたような……」


 アメリーが腕を組んで天井を見ながら考え込む。


「たしか小説に出てきませんでした? なんでしたっけ、四角い箱に人や風景が映る道具でカメリャと違うのは絵が動くんですよたしか」


「そうそう、私が読んでいる小説にも出てくるのよ。部屋に閉じ込められたあとここに人の顔が出てきて、この部屋から脱出してみろとか言うのよ」


 アメリーがテレビをバンバン叩いたときだった、グランツが羽をバサバサと羽ばたかせる。


『セシリア様、上から魔力が近づいてきます』


 グランツの声で身構えるセシリアが上を見ると天井にある四角い扉が開き、次にバサッと床に何かが落ちる音がする。そしてガチャンと扉の鍵が締まる音が響く。


 ラベリが急いでドアに駆け寄りドアノブを押し引きする。開かないと判断したのか今度はノックをして外で警備をしている兵を呼び、ドアに耳を付け外の音を聞くが首を横に振ってセシリアたちの方を見る。


「開きません。なぜか外から反応がないですし、音も聞こえません」


 ラベリの報告を受け自然と視線はテレビに向く。それを待っていたかのようにテレビの画面にノイズが走りブツリと音が響くと黒いフードを被ったがいこつの上半身が映し出される。


 カタカタと音を立て笑うがいこつを見てアメリーが指を差す。


「そう! こんな感じよ。で、ここから『この部屋から出たければ謎を解き脱出してみるがいい。できるならな』とか言うの」


 声色を変えて興奮気味に指を差すアメリーの言葉を受けてセシリアとラベリも画面に注目する。


「でね、でね、早く脱出しなければ『お前の大切な人を失うであろう』とか言うのよ。主人公は焦ってしまうんだけどでもね、大切な人も裏で脱出を試みてて首謀者の思い通りにいかなくて脱出攻略のヒントをくれるの」


「なかなか喋りませんね。調子悪いんでしょうか? あっ、そう言えば!」


 興奮気味にネタバレを披露していくアメリーと、なかなか動かないがいこつ男にイライラした様子のラベリが痺れを切らしテレビに近づくとバシバシ叩き始める。


「ニャオトさんが昔はてれびは叩いて直していたと言ってたのを思い出しました」


 そう言いながらバシバシ叩くとテレビが大きく揺れるが、がいこつ男は揺れずに棒立ちである。セシリアはそこに違和感を覚えながらも聖剣シャルルを握りいつでも抜けるように身構える。


「お嬢さん方、そろそろ喋っていいかな?」


 ガイコツ男が声を出すが、口は動くものの喉はないので、どうやって声が出ているのか気になったセシリアは喉をじっと見つめ、アメリーはますます興奮した様子で前のめりになってガイコツへ期待に満ちた目で見る。


「やっと喋った! 『ようこそ我が脱出不可能な部屋へ!』って言うはずよ!」


「あ、いや……」


「早く何か言ってもらえませんか? 鍵を閉め閉じ込めたってことは何かするんですよね? 早くしてくれます。待っている時間が勿体ないんですけど」


「あ、なんかすいません……」


 アメリーとラベリ、それぞれに圧を掛けられたガイコツ男は頭を押さえ、申し訳無さそうに謝ってくる。


「じゃあ言うけど、この部屋は完全に外界と遮断されている。外からの助けは宛にはできない。この部屋に隠された謎を解き脱出することがキミたちに出来るか!」


 なんだか言わされてる感満載の喋り方をしたガイコツ男がドヤ顔的雰囲気でセシリアたちを見る。


「なんですか、もっとこう早く脱出しないと部屋が爆発するとか、命の危機がどうとか言わないのですか?」


「そーよそーよ! こんな機会滅多にないんだからもっと盛り上げてよ!」


「あ、いや……爆発は危ないからしないかな。聖女を閉じ込めれればいいから目的は達成しているので」


 ブーブー文句を言うラベリとアメリーにドヤ顔から一転ガイコツ男は視線を下に落とし項垂れながら答える。


「ほら二人ともそんなに責めないの。一応確認ですけどこの部屋の謎を解いたら外へ出れるのですか?」


「ええっと、ドアは開きますけど正確には出れないといいますか……」


 歯切れの悪い物言いのガイコツ男の進行能力の低さにセシリアはちょっとイラっとしつつも、下手に刺激してもよくないとあくまで冷静に相手を観察することに徹する。


『セシリア様、ざっと部屋を回って調べたところこの部屋は通常私たちがいる空間からほんの少しズレている感じがします』


 部屋をペタペタと歩いていて足もとに戻ってきたグランツをセシリアは抱きかかえる。


『推測ですが、あの魔族のスキルによって閉じ込められている状態。壁の向こう側に魔族の魔力を強く感じますから、部屋を破壊すれば脱出できる可能性もあります。ですが倒したばかりに空間がズレたまま戻れなくなることも考えられます』


『我は漂う魔力を我のものとして返還する力がある。敵が魔力でこの部屋を覆い空間をズラしていると推測して、直接魔力を吸えればズレを戻すことが出来るかもしれん』


『なるほどなのじゃ。あの魔族がドアを開いても出れないと言うのはこの部屋自体を覆って外と遮断しているからと考えれば歯切れが悪いのも納得なのじゃ』


 グランツと聖剣シャルル、アトラの言葉を聞いたセシリアは頷く。


「つまりはドアを開けて敵に直接触れれば元に戻れる可能性があるってことだね。謎を解くことは無駄にならないと言うわけだね」


 聖剣シャルルたち三人が頷く雰囲気を感じたセシリアは、ラベリとアメリーを見てガイコツ男を見て不敵な笑みを浮かべ指を差す。


「あなたのお望み通りこの部屋の謎を解いてみせます」


「ふっふっふ、聖女とやらの実力を見せてもらおう。せいぜい足掻いてみるがいい」


 上下の歯をカタカタと鳴らして不気味さを演出するが、相も変わらず言わされている感満載の脱出ゲーム開幕宣言をするガイコツ男はセシリアを見て小さくごめんねとジェスチャーをする。


(進行手伝ってくれてありがとうか……本当に進行下手なんだな)


 ガイコツ男がこっそり呟いた言葉を思い返し、セシリアはそんなことを思うのであった。

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