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死神のワンオラクル  作者: 名録史郎
6/12

夏休みのワンオラクル3

 僕らは、家で筋トレしたり、宿題したりしながら数日かけて、学校全員を占った。

 占った結果を乃愛にノートに書いてもらったので、スムーズにできた。

 二人でやる占いは集中できるし、格段に効率がいい。

 こればっかりは、乃愛と付き合ってよかったと思える。


「どうやら、未来が見えないのは、クラスメイトだけみたいだ」


 死因も全員うらない終わっている。


「乃愛と本結さん、葉月君、滝音さん、以外は毒死か」


 クラスメイトで唯一死の結果がでなかったのは、宏隆だった。

 多分夏休みあけも、出てこないだろうからそういうことなんだろう。


「私の死因、焼死なの?」

「うーん。なんか微妙なんだよね」


 乃愛の死因だけ、占い結果が安定しない。


「夏休み中に死ぬとしたら焼死だと思う。いつかまではよくわからない。滝音さんと葉月くんもなんだけど、なんか一緒に遊ぶ約束してる?」

「別にしてないわよ」

「じゃあ、偶然居合わせるのかな? それとも死因が一緒なだけで全然関係ないのか」


 占いも万能ではない。

 カードから意味を読み取っているので限界がある。


「焼死って、私、火炙りにでもされるわけ?」

「普通にかんがえたら、火事にまきこまれるとかじゃないかな」

「火事の死因、煙吸い込んだとかが多いらしいわよ」

「それであっても、火事で死んだら、占いは焼死になるかも。僕の占い当たるっていっても判定はガバガバだから」


 火事で死んだら、焼死みたいな固定概念が僕の中にあるから、仮に体がきれいに残っていても、火事で死んだら焼死として判定されるかもしれない。


「どうしたらいいの」

「もう少し占ってみないとなんとも、とりあえず火の用心はいつも以上にしておいて、乃愛の家マンションだから避難経路とかちゃんと調べておいてよ」

「わかったわ」

「あと、本結さん溺死みたいなんだけど」

「海に行く約束してるのは、紬よ」


 友達に自慢したいとかいうやつか。

 まあ、普通に考えたらそうだよな。

 一番仲良さそうだもんな。


「それなら海にみんなでいけるかで占ってみよう」


 占いの結果は○。

 その次の日の本結さんの運勢が見えない。


「本結さんは、僕らと海で遊ぶ日になにかあるんだと思う」

「じゃあ、その日は海に行くの止めるしかないか」


 残念そうに乃愛はいう。


「その日だけ止めてもダメかもしれない」

「どうして?」

「日付だけかえても、海で溺れるという運命は変わらないかもしれないってことだよ。僕は、よく恋占いしてあげてるけど、告白する時期は占った結果にあんまり影響しないんだよね。シチュエーションが思いっきり変わるほうが運命が変わる可能性が大きい」

「プロポーズも家でするより、遊園地とか、夜景の見えるレストランとかでしたほうがいいとかそういうこと?」

「うん。そうだね。多分、本結さん場合は、占いの結果を知ってる僕らがその場にいるのがわかってるそのままの日程がいいと思う。海には行くけど、絶対溺れない対策をしたい。溺死というぐらいだし、海に入らなければ溺れないだろうし」 

「海まで泳ぎに来て、海に入るなっていうのは無理がない?」

「いや、まあ、そうなんだけど」

「ライフジャケットとか着てもらう?」

「そうだね。それがいいと思う」


 まず高校生が普通の海水浴場でライフジャケットなんて着ないだろうし、結構占いの結果に影響するのではなかろうか。

 問題は素直に本結さんがライフジャケットを着てくれるかどうかだが、そのあたりは乃愛に頑張ってもらうしかない。

 本結さんの方針はそんなところだろう。


「クラスメイトがみんな死ぬのはやっぱり学校よね」


 登校日とかはないので、夏休み中に全員が集まることはない。偶然みんな集まったところでなにかとは考えにくい。


「ということは何? 誰かが学校で毒ガスまくってこと」

「もしくは、なにかガス漏れとか、事故かな」

「ガス漏れだったとして、全員死ぬ? 爆発だったらみんな死ぬかもだけど、それなら爆死よね」


 爆死なんて僕は想定できないから、焼死にはいりそうだ。


「確かに、そうだね。そうなるとやっぱり事件かな」

「犯人って占いでわからないの?」

「容疑者が絞れれば簡単なんだけど」

「できるの?」

「推理物のドラマとかあるよね。僕は犯人はすぐわかるんだよね」

「それってドラマ見て面白い?」

「犯人はわかっても、トリックは何もわからないから、まあ、面白いかな……やっぱ、あんまり見ないかも」

「トリック分からないのに、犯人分かるってどういうことなの?」

「いやだから、どういうことなのかはなにも説明できないよ。占いなんだから」

「じゃあ、犯人わかっても、捕まえられないってこと」

「それはそうだよ。事件起きてないのに、逮捕だなんておかしいだろ。でも、犯人が分かれば見張ってて怪しい動き、この場合は、毒薬の準備とかかな。を見つけて警察に通報かな」

「そうするしかないのね」

「今からまた学校関係者全員占ってみるけど、犯人が僕らが全く知らない第三者だったらわからないんだけど」

「嘘でしょう。学校全員また占うの? しかも徒労に終わるかもしれないってこと?」

「仕方ないだろ。みんなが死ぬかもしれないのになにもしないわけにはいかないだろ」

「水晶とかで、ぱっと占ってよ」

「そんなのできれば、苦労はしないよ。占いはタロットとダウジングしかできないよ」


 僕の占いは、母さんゆずりなので、タロット占いとダウジングだけだ。


「ダウジングってなに?」

「温泉とか油田とか探すときによく使うんだけど、なにか物を探すときに使う占いだよ。なくしたものがどこにあるかとかすぐわかるよ」

「試しにやって見せてよ」

「いいよ。何かなくしたものある?」

「消しゴムなくした、多分、凪流の家でよ」

「ちょっと待ってね。母さんのペンデュラム借りてくるから」


 ペンデュラムとは鎖の先端に水晶のついた振り子のようなものだ。

 水晶の反対側は、指につけれるようにリングになっている。

 僕はペンデュラムを、指にはめる。

 宿題やってたときの消しゴムを思い浮かべると、わずかにペンデュラムがゆれる。

 僕は、その揺れる方向にすすんでいく。


「ほらあった」


 僕は、ベッドの柱の影に落ちていた消しゴムをすぐに見つけ出した。


「どうなってるの」

「だから、どうなってるかは、僕もわからない」


 何度聞かれたって、理屈なんてわからない占いなんだから。


「わかった私がそういうと思って事前に隠してたんでしょ」

「そんな面倒くさいことしないよ」 

「でも、この力が本物なら、犯人だってすぐわかるじゃない」

「いや、ダウジングに未来を見通す力はないよ」

「どういうこと?」

「ダウジングは今あるものを探すことしかできないってこと。事件が起きてないから、犯人もまだいないだろ」

「そうなのね」

「それにこれも高いからさ」


 僕はペンデュラムを掲げて見せた。


「いくらするの?」

「数十万円はするはず」

「確かに見るからに高そうだけど」


 ガラス細工のパチモンではない。

 水晶もかなり高価なものだ。


「元の場所にもどしてくるよ」


 僕は母さんの机の引き出しに、ペンデュラムを片づけた。


「とにかく。毎日乃愛の運勢占いするからさ。運気が低い日や運気の低い場所にはあまり出歩かないようにしよう」

「運気が低い場所ってどうやってわかるの」

「乃愛はわからないの?」

「わかるわけないでしょ」

「えーと、ほらさ。パワースポットにいったら、運気があがるの感じるだろ」

「感じないわよ」

「全然?」

「全然」

「これっぽっちも?」

「これっぽっちも」

「そうなのか」

「普通そうよ」

「それなら、僕は、もう説明しようがないよ。それなら、みんなは運気が低いところを避けるときどうしてるんだ?」

「避けれるわけないでしょ。ああ、だから公園は絶対ダメとか刺されたとき言ってたのね」

「そうだよ。でもさ、雑誌とかにパワースポット特集とか書かれているじゃないか、あれはなんなんだよ」

「あんなのなんかよさげな場所をパワースポットって言って楽しんでるだけでしょ」

「そうだったのか。なんか雑誌に書かれているところに行っても、全然運気よくなかったりするのはそのためか」


 ようやく合点がいった。なんか変だなとは思っていたんだよね。


「今度、凪流のおすすめのパワースポット連れて行ってよ」

「いいよ。乃愛でも感じるかもしれない強力なところ連れて行ってあげる」

「ふふふ、よろしくね」


 あ、これデートの約束か。自然な流れで言質取られた。


「それにしても凪流の能力って霊感みたいね」

「何言ってるんだよ。霊感ってなんだよ。お化けなんかいるわけないだろ」

「凪流が超常現象否定するわけ? 超常現象の塊みたいな人間なのに? 私からしたら、霊能力も占い師も似たようなものよ」

「そうなのか。それはちょっと心外だな」


 僕からしたら霊能力者なんて何言ってるんだってかんじだけど、

 霊能力者からしたら僕も似たようなものなのかもしれない。


「まずは、できるところから終わらせておいた方がいいし、明日は街に本結さんのライフジャケット見に行こうか」

「つまりデートね。行きましょう」


 わざわざ、これでもかってぐらい恋人感を強調してくる。

 なんども繰り返されると恋人気分も慣れてくる。

 きっと乃愛はそれが狙いなのだろう。

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