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4.パブロくんが転生前の地球の皆さんに言いたいこと。

 4.パブロくんが転生前の地球の皆さんに言いたいこと。



異世界転生、どうなんでしょうか?

僕自身、思うところは色々あります。


まず何より魔法のある世界ってかなりいびつで、地球にあるのと同じだけの社会を構築するのに足かせとなることが多いように思います。


これが仮に超能力であったりスキルであったりステータスであったり、そんなものであっても結局のところいびつなんです。


人間の知性や人類の文明というものは、人間がもともと地球上で持っていた生物学的スペックの上に構築されていることがほとんどで、人という個体に何か特殊な拡張能力や拡張情報が付与されるだけであっという間にバランスが崩れ、これらを維持するのが難しくなってしまいます。


その上で改めて高度な文明社会を築き上げようとすると、それこそ恐竜滅亡の6千6百万年前くらいからやり直す気概がないと難しい上に、サル系の生物が進化して人間と類似した生命になる可能性は限りなくゼロに近いんじゃないでしょうか?


それならばと、人類の遺伝子情報をベースに魔法的な能力を後付け付与して、それで文明社会を発展させようとするとどうにもバランスが悪すぎて、サルに毛が生えた程度の社会以上のものが作れるとは、僕にはとても思えないのです。


嘘だと思うならぜひとも転生してみてください。

なまじちょっと魔法を磨くだけでとんでもない殺傷能力を手に入れられるような世界では、弱者が知恵を絞るのが馬鹿馬鹿しくなるくらい、力が全ての殺伐とした世の中にしかなりえません。


いわば常に拳銃の引き金に指をかけた状態でみんなが生活しているようなものです。

少しでも気にくわないことがあった時、言葉を尽くして話し合うより、引き金に力を籠める方がよっぽど簡単な世界なのです。

おまけに生まれたばかりの赤子ですら最初から拳銃を持っているのです!

そんな恐ろしい世界で、どうして真面目に知性を磨こうなどといった気分になれましょうか?

どうして弱者を虐げずに生きようなどと思えましょうか?


ですから皆さん。

地球から喜び勇んで異世界に来る皆さんにはぜひともこう言いたい。


異世界はそんないいところじゃありません。


地球の方が何倍も文明的で刺激的で楽しいところだと思います。

唯一の良さは魔法が使える事ですが、結果として魔法のせいでこの世界はいつまでたっても蛮族がのさばっています。


力こそパワーの頭の悪い世界が未来永劫続くひでーところです。


むしろ頭が悪くなり過ぎないように女神様が強制的に地球の皆さんを異世界転生させて、無理やり定期的に知識ブーストさせることで文明を維持している噂すらあるんです。


ですから皆さん。

都会の人が田舎にあこがれる感覚で気軽に異世界に転移、転生する人いっぱいいるかもしれませんけど、そんなにいいもんでは全然ないんですよ。


でも皆さん。

そこさえきちんと理解しておけば、異世界は最高に楽しいところです!


やっぱり魔法が使えるってなんだか楽しいし、馬鹿しかいない世界なので小ズルく立ち回れば簡単にそこそこいいところまで行けるし、美男美女しかいないから目の保養にいいし、人々も馬鹿ばっかな分だけみんな純情で優しいです。


まあちょっと、差別主義的で魔力が少ないとゴミ扱いされますけど、慣れればまあ、そこまで大したこともありま……? まあ人によりけりです。


なので、かなりの不便さや頭の悪さや差別主義に目をつぶれて、楽しい事を楽しいと割り切れる人は積極的に異世界転生したらいいと思います。


あなたが頑張って改革を施して世界に文明の火を灯したとしても100年くらいで元の蛮族に戻りますけど、そういう不毛な伝導行為は抜きにして、美男美女をはべらかすだけの享楽的な生き方とか、なんか竜と死闘を繰り広げるような血沸き肉躍る生活したい人とか、馬鹿相手に狭い世界でマウント取ってお山の大将気取りたい人とかはおすすめです。


なんかいいように女神あたりに利用されているだけって気もしないでもないですが、そういうの気にならない人ならぜひぜひおすすめです。



そんなわけで、地球での人生が終わった後で、どうにも物足りずにもう一花咲かせたいようでしたらぜひとも女神あたりの甘言に乗って転生してきてください。


冒険活劇もラブロマンスも、地球の知識と経験があればやりたい放題です! 不老不死だって狙えば得られそうだし、世界の支配者にだって簡単になれそうです。

すべてが「だから何?」の一言で流されそうな下らない話ではありますが、少なくとも好きな人にはたまらない世界です。

「だから何?」って思わなければ最高の世界です。

我に返らず最後まで酔える人なら死ぬまで楽しいところです。


ですからどうぞ、勇気をもってこちらの世界にやってきてください。



異世界はあなたを歓迎していますよ。



コミカルテイストで軽く読める作品、書いてみたかったので、作者としては大満足の一作となりました。


お読みいただいたかた、ありがとうございました!


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