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派遣の忍者『月光』  作者: ヒロっぴ
7/35

≪武人のアパート≫  ー2ー






『…う~ん…』




武人のベッドで、目を覚ました康人に、武人は、




『おやじ、大丈夫か?』




と聞いた。




『俺は…一体?…』




まだ朦朧としている康人は、状況がつかめないでいた。




『いや…き、急に倒れたから、ビックリしたよ。貧血じゃないのか?』




と、武人は、冷や汗を隠しながら言った。



勿論、堪介達忍者は隠れている。




『俺が…貧血?…』




康人はそう言うと、上体を起こしてから、頭を振った。





『だ…誰かに…


…ボディプレスされた……気がする…』




康人がそう言うと、武人は尚更冷や汗をかきながら、




『ゆ、夢でも見たんじゃないのか?』




と言った。




『そうか…、まだ頭がハッキリしないんだけど、夢だったのか?』





『そうだよ。

……ところで親父、なんか用だったんじゃないのか?』




武人は、なんとかごまかそうと必死だ。






『おお、そうだった。お前、いつから俺の手伝い出来るんだ?』






そう言われて武人は、もう一つ、はぐらかさなければならない問題があった事を思い出した。






『いつからって、まだ手伝うとは…』




『言った!


お前、ハッキリ、カラテの大会で優勝したら手伝うって言ったぞ。』




『いや、あれは言葉のあやで…』






薮をつついて蛇を出した形である。






『あやじゃねぇよ、あやじゃ。


あれから三連覇もしといて、まだ手伝わないつもりか?


それとも、今の武道家には、『武士に二言はない』ってのは、当てはまらないのか?』





さすがに元警部。

痛い所をついてくる。





『分かったよ。


でも、なんで今日になって急に、そんな事言い出したんだ?』




『いや、昨日、斉蔵さいぞうが来て…』




と言った瞬間、隠れていた忍者達が一斉に飛び出して来た。





『あみゃ~~…』





康人は、奇妙な声を発すると、再び気を失った。






『馬鹿!出てくるなって言っただろ!』




飛び出してきた堪介達には、武人の声も届かないらしく、しきりに、




『お頭、お頭はどちらにおわすんですか?』





と言っている。




『おかしら?』





武人は、そう言うと、





『いや~、良かった。』


『これで帰れる。』





等と言って喜んでいる他の忍者達を横目に、




『何言ってんだ?』





と聞いた。






『いや~、武人殿とお頭が知り合いとは…』





武人は、そう言って喜ぶ堪介の両肩を、掴んで揺すると、




『おい!

だから、お頭って何の事言ってんだ?』





と言った。



堪介は、そんな武人を見ると、





『いや、さっき、そちらの御仁が、お頭の名前を…』





と言って、未だ気を失っている康人を見た。




『名前?

…斉蔵おじさんの事か?』



『そうでござる。』






真剣な眼差しの堪介に気圧されながらも、武人は、






『あのな、堪介。斉蔵ってのは、俺の叔父で、お前らのお頭とは違うんだよ…』



『そんな…』




武人は、ガッカリした堪介を気の毒に思ったが、どうしてやる事も出来ない。




どこかにタイムマシンでもあればいいのだが、あるはずもなく、今は堪介達の存在を隠すしかないのだ。



もし、マスコミにでもしれたら、大変な騒ぎになる。


きっと、堪介達は耐えられないだろう。






『…堪介…、お前達の行き場所はちゃんと考えてやるから、今はちょっと隠れててくれないか。』





武人はそう言うと、堪介達をクローゼットや押し入れに隠した。




その後、康人にどう言ってごまかそうかと考えている時、ドアが開いて、コンビニのビニール袋を両手に下げた田中が入ってきた。




『おーい、タケやん……なんだ、こりゃ…』





玄関に散らばる天井の残骸に目を丸くした。




『タケやん、これ、どうしたんだ?』




そう言いながら、残骸をよけて部屋に入ってきた田中は、ベッドで横になる康人に気付いた。




『あれ?

おやじさんか?タケやん、何があったんだ?』





武人が事情を説明していると、ふと康人が目を覚ました。




.


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