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プロローグ
...その朝、公園を散歩していた老人は、大量に散乱していた白い物体を目にして足を止めた。
.『…雪…?』
手にしてみると、それは老人の手の中でみるみると溶けていった。
不思議に思っていると、何かが目の前を、物凄い勢いで通り過ぎて行った。
.『…人?』
いや、そんなはずはない。
その老人は、長い人生の中で、あれほど早く走る人間を見た事がなかった。
きっと幻だろう。
老人はそう思う事にした。
『わしもボケたかな…』
そうつぶやくと、老人はまた、のんびりと歩き始めた…
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