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日記を書く理由

作者: 川咲 みゆ

私は日記を書いています。


立派な文章ではありません。

その日に思いついたことを、思いついた時に書いています。

短い言葉だけが並ぶ日もあれば、絵を描くこともあります。

私にとって、大切な日記です。



でも、なぜ日記を書くのでしょうか。


誰かに見せる訳でもありません。

よく考えると、日記を書く理由を説明することは難しいです。


人によって理由はたくさんあると思います。

数年後、また読み返すという人もいます。

後から読み返して楽しめることも日記の良さです。


でも私は、読み返すために書いている訳ではありません。

書いている時間、その瞬間のために書いています。


書くことで気持ちが落ち着きます。

安心して一日を終えることができます。



今日を昨日に送り出すために、私は日記を書いています。

不思議ですが、そんな気がします。



良いことがあった日。


嬉しいこと、楽しいことがたくさんあった。

この素晴らしい一日が終わってしまう。一晩で昨日のことになってしまう。

目が覚めた時、今の気持ちをどれだけ覚えているだろう。

一週間後、一か月後、一年後には…


良い思い出も、記憶の底に埋もれると形がぼやけてしまいます。

この大切な一日を、手放したくない。


今日が終わる前に、日記を書こう。

この一日が、確かにあったことの証拠を残すために。


書いたものは消えません。

たとえ記憶が薄れたとしても、紙の上には確かにこの一日が残っています。

安心して、今日を昨日に送り出すことができます。



嫌なことがあった日。


頭の中でその出来事が渦巻いて消えない。

すぐにでも忘れてしまいたいのに、考えてしまう。

悪いことで頭がいっぱいになる。


明日になってもこれが続くのでしょうか。

目が覚めたら、過去のことになっていてほしい。


明日になる前に、日記を書こう。

もう消せない記憶。消せないのなら、置き場所を変えればいい。


頭で考えていることを、紙の上に下ろしてしまおう。

書いたならば、ずっと頭の中に置かなくてもいい。


いつかこのページを開いたら、その時にまた考えよう。

時間がたてば、形が変わって見えるかもしれません。

その時までは、紙の上にそっと置いておこう。




今日も、この一日を無事昨日に送り出しました。

安心して明日を迎えに行けます。



その日、言いたかったのに言えなかった「ありがとう」や「ごめんね」も、日記に書くことがあります。

「ありがとう」と書くことで、言いたかった相手に少しだけ感謝の気持ちを伝えられるような気がします。

「ごめんね」を書くことで、言えなかった自分の情けなさが少しだけ救われるような気がします。

本当はその時相手に直接言うことが一番ですが、書くことで、明日からの行動が変わるかもしれません。理想の自分に近づける気がします。


明日は、日記に書かなくても良いくらい、自分の気持ちを相手に伝えられる人になろう。

そして、日記にしっかり書き残しておきたいような、素晴らしい一日にしよう。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  日記を書くのは今日を昨日に送り出すため――  なんだかとても心に響きました。 [一言]  川咲 みゆ 様  はじめまして。  良いことがあった日はその証拠を残すため  嫌なことがあっ…
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