第1夜 【新作の"アイツ"の為に、出ます。】
どうも!「徘徊者 クロト」こと、「徘クロ」の原作者の長原 暁でございます!今回の作品は自身の初作品となっております!初作品ということで、とても気合い入れて書きました!
結構短めで読みやすいと思います!読者の意見もジャンジャン募集してます!
「こんなテーマの話が欲しい!」「こんなキャラが欲しい」など、できる限り実現させてきたいと思いますので、どうかご愛読よろしくお願いします!!!
「さて、今日もやるかぁ。」
バックパックと防寒着を身につけて、涼夜 黒斗は外出の準備を進めた。
もう夜中の12時。夜も更けて、外に出れば深夜徘徊だっていうのに、黒斗は半分にやけ顔で、やけに楽しそうに準備をしている。
そして黒斗は息を殺して部屋を後にし、廊下へと出る。黒斗の部屋はこの家で1番玄関に遠く、隣は両親と兄弟が寝ている。下の階には祖父母もいて、物音1つ立てられない状態である。
(このスリルがやめらんねぇんだよなぁ!)
黒斗の心臓は鼓動を早め、今にも音が外に漏れそうになっている。1歩ずつ、1歩ずつ、絶対足音は立てられない。黒斗は自分にそう言い聞かせ、足を進める。額には汗をかいている。それは黒斗が極限の集中状態であることを物語っていた。
長い時間をかけて、1階への階段へ辿り着いた。黒斗は一旦集中力を取り戻すべく、静かに深呼吸をした。
「あと少しで玄関だ。」
そう小さく呟くと、階段を下り始めた。
涼夜家は築45年であるが故に、なかなかにボロく、階段を下る際に木の軋む音が鳴る。当然その事は黒斗も理解しており、ここが1番の難所と言っても過言ではない。1歩ずつ進むごとに木の軋む音が鳴らぬように、足をつま先から付けていく。
18段ある階段のうち、1/3を下り切った。
黒斗が足を止めた。そう、この階段の1番の難所は、次の12段目の階段である。ここが1番音が大きく鳴りやすく、上の階にも下の階にも音が響きやすいため、ここでリタイアした先人たちも多いらしい。(黒斗調べ)
つまりここさえ乗り切ってしまえば、あとは出るのみ。
黒斗の顔が少し険しくなった。
「俺はこんなとこじゃへこたれねぇぞ。」
そう決心すると、問題の12段目へ足を伸ばす。
そっと、静かに、足を伸ばす。他の段に比べて3倍以上の集中力が必要になるため、黒斗の足は震えていた。
「……キキッ。」
((まずい!))
緊張が走る。
黒斗は辺りを見回す。
どうやらバレてはいないようだ。
((あっぶねぇー))
黒斗はだいぶ焦った。だが、バレてないことに安堵したのか、ほんの少しだけ、緊張がほぐれた。
「続けるぞ」
黒斗はまた足を動かし始めた。問題の12段目は片足のみを付けて、11段目に逆の足を付けた。
「こっからは余裕だな。」
そう呟くと黒斗は多少乱暴だが、階段を下り切った。黒斗の中では、祖父母は多少の物音では起きないだろうと考え、1階は少し堂々と動いた。階段から玄関まではほぼ一直線。そこまで広い家ではないので、直ぐに辿り着いた。
黒斗は靴を履いて玄関のドアの前に立つ。
「いよいよだな。」
黒斗はその場で数秒立ち止まると、鍵に手を伸ばした。解錠する時も大きな音が鳴らないように、少しずつ動かしていく。
「……カチャ。」
どうやら解錠に成功したみたいだ。
黒斗はドアを開け、自宅を後にした。
黒斗の住む町は国内ではあまり大きくなく、まぁ都会と田舎の中間の田舎よりな感じのよくある街並みが立ち並ぶ、普通の町。
日が昇っている頃は、商店街は賑わい、駅前は人が集まる。
一方、日が沈むと、町は閑散とし、24時間営業のコンビニやその他の小さなお店の光がポツポツと見られる。
この町には星見丘というものがあり、星見丘には展望台があり、そこで星座を見ることも出来る。
意外と夜でも出来そうな事はいっぱいありそうだ。(まぁ見つかれば素行不良で補導ですけど。)
「この開放感が堪らねーぜ!」
家を出た黒斗はそう言って、少しテンションが上がっていてた。
『こいつ、外に出れたあまり、調子に乗っている。』
黒斗はそのまま、光のある方へ進んだ。その先にはコンビニ。ここに用事があったようだ。
今回の黒斗の目的は、某有名コンビニエンスストア「エイトトゥエルブ」の新作スイーツをいち早く手に入れて食べることだったのである。
黒斗はコンビニの前に立つ。そしてフードを被った。
「ここでバレたら元も子もねーからな。」
(フードを被るとかえって怪しい気もするが、触れないでおこう。)
フードを被った黒斗は店舗内に入る。
店頭には新作スイーツがズラリと並び、黒斗は目を光らせた。
1つ手に取ると、レジへ向かう。
ピッ
「124円になります。」
「……」
「ポイントカードはお持ちですか?」
黒斗は無言で首を振る。
「124円丁度、お預かりします。」
「……」
「こちら、レシートになります。」
「……」
「ありがとうございました。」
黒斗はコンビニを出た。
「無言も疲れるぜ。」
『そう!黒斗は意図的に無言で事を済まそうとしていたのである!何故なら、黒斗は究極のショタボであり、声がガキ臭いと自負していた!こんな時間帯にショタボのガキンチョがフード被って会計してるとか明らかにおかしい。つまりはガキだとバレたくないがために声を出さずに凌ぎきったのである!』
黒斗は新作スイーツを片手に、星見丘へ向かった。
道中で食べてしまおうかと思っていたが、黒斗にはある考えがあった。
しばらくして、黒斗は星見丘の頂上、展望台付近に到着していた。展望台付近にはベンチやテーブルがある。
黒斗はそこに荷物を置き、腰掛けて夜空を眺める。
「綺麗だなぁ。きっとここで食う"こいつ"は格別なんだろうなぁ。」
そう言うと、黒斗は新作スイーツを開封した。
黒斗は自分の口にスイーツを運ぶ。
「これだから、やめらんねぇんだよなぁ……」
涼夜 黒斗。今宵も、出ます。
初作品、いかがだったでしょうか?
黒斗の今後の徘徊にもご注目ください!
最初はシリアスチックな展開で、最後らへんはネタに走るという迷走っぷりを見せつけましたが、これはのちのちネタに走るだろうという感じなので、そこの所よろしくお願いします!
途中の『』のところはナレーションが勢いよく喋ってる風の脳内再生でよろしくお願いします!(笑)
ということで、次回!第2夜もお楽しみに〜!