四月 私
高校生活 初日
四月
私にとっての先輩との最初の出会いは、ちょっとした遊び心だった。
その日私は入学初日ということもあり、歓迎会の一環として行われた学校案内に参加していた。
先輩と出会ったのはこの時だった。
実験室や美術室授業で使う教室などを回り、それぞれの教室で先生や先輩に説明を受け、図書室に来た時。
図書室の紹介をしていた先輩に目を奪われた。
今思えばこれが、初恋であり一目惚れというものなのだろう。
茶髪で私より高い170ぐらいの身長、かっこいいわけではないが整っている容姿。
案内は落ち着きを払い、最高学年としての威厳はないが優しげで紳士的だ。
彼を見て思うのはこの人は誰にでも敬語で話すのだろうなということだ。
現に私たち新入生に対してすら敬語である。
威厳はないというかここまでくるともはや皆無だ。
けれどもその先輩に私はこの時惹かれたのだろう。
その時の私が行った行動は単に遊び心だったけれども本気であったのかもしれない。
私も容姿だけならば自信がある
美人ではないがかわいいとは言える容姿。
明らかに女慣れしてない先輩
ならばいっそのこと
「突然ですが先輩!私と付き合ってください!」
告白してしまった。
固まる先輩、あぜんとする周り、そして、なぜ告白したのかわからない私。
最初は単に遊び心だったのだ。
ほかの先輩の説目では敬語でなく楽しげだったのに対して
敬語で一線を引き、だれもパーソナルスペースに入れそうにないこの先輩。
もしもかわいい後輩が、彼女とかいるんですか?とか言えば少しは敬語も崩れるのかなと思って質問しようとしたのに、まさか告白するとは本人の私もびっくりだ。
まぁ、この先輩はその程度では慌てそうにないから後でどっきりとでも言っとこうかなそう自分を落ち着かせて先輩を見ると、ドッキリだろ見たいな形で冷めた目で回りを見ていた。
正直、仮にも女の子の告白である。
それなのにこの態度
いや、確かにいきなり告白した私も私だが
それに対して、冷めた目で、しかも無表情で悔しかった私は
「ドッキリではありません」
といった。
言ってしまった。
だが、これで少しはその表情期は緩むだろうと先輩に目を向けると
笑顔を向けた後に凄く惜しがるようにして
「すいません。さすがに初対面でいきなり告白する人は」
と私を振った
「いや、そう惜しみながらに言われても」
無意識の即答だった。
だが、いくら惜しがるようにとはいっても振られるとは思っていなかった。
そのうえ変人扱いとは、これでも容姿には自信があったのに絶対に振り向かせて見せるそう決意した後に気を使ったのか案内係に言われるままにその場を離れた。
これが私と先輩の出会いだった。
この時私はそれが恋だとは知らなかった。