四月 僕
今の僕があるのは、あの一年があったからだと思う。
今の私があるのは、先輩と一緒にいたあの一年があったからだ。
高校生活 最後の年
四月
僕にとっての彼女との出会いは、波乱万丈の幕開けであった。
その日僕は、新入生歓迎会の一員として新入生の学校案内を請け負っていた。
正直結構めんどくさい。
本当ならこの日僕は学校を休みになる予定だったが、休みを削ってまで新入生に学校案内をやりたがる生徒はおらず、そして生徒会だけでは手が回らないということで、それぞれの委員会に助っ人を頼み図書委員である僕も休日を削ることになった。
僕が彼女と出会ったのは、この日だった。
何グループ目かはわからないが、僕は図書委員として案内係に連れてこられた新入生に図書館の利用方法を教えていた。
その時、
一人の少女が一番前に飛び出し
「突然ですが先輩!私と付き合ってください!」
と僕に言った。
返事以前に僕は状況が呑み込めずに立ち尽くし、周りは数秒遅れて言葉を理解したのか騒ぎ立てる。
正直意味が分からない。
目の前にいる少女に僕はあったことないと断言できるし、一目ぼれだとしてもこの状況はおかしい。
ドッキリのほうがまだ納得できる。
そう思って周りを確認するがそれらしき人はおらず
「ドッキリではありません」
と彼女本人に否定されてしまう。
僕としては彼女のことを何も知らないが、なぜ子いうことをしたのか興味を持ったので笑顔で
「ごめん、さすがに初対面でいきなり告白する人はちょっと」
と断った。
当たり前である。
いくら興味を持った上に、その彼女が170ある僕より低い160にぎりぎり届くかどうかの身長で茶髪でショートでその上服の上からでもわずかくらいにわかる巨乳とは言えないがないとも言えないくらいの胸というどストライクな容姿だったとしても、断るに決まっている。
「いや、そう惜しみながらに言われても」
これが僕と彼女の出会いであった。