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転移と友人との対面

初投稿です。頑張って続けます!(笑)


『昨日、異世界研究所から発表された"異世界接続ゲート"について期待と不安の声が寄せられています』


テレビではアナウンサーが真剣な顔でニュースを読んでいる。


「異世界接続ゲートなんて、んなもん作れんだねぇ。異世界自体に信憑生がないのにさ」


という母親の声が聞こえた。

確かに、異世界なんて非現実的すぎる。今まで散々異世界転生や転移をテーマにした小説を読んだが、あれは私たちが見たことのない世界だから面白いのだ。実際にあるなんて信じられない。



私、佐倉秋萩はつい最近中学三年生に進級した。目立った所のない普通の女子だ。黒いストレートの髪の毛は大切に扱っている。といっても大した手入れはしていないが。


「でもこれって、まだ一般人には使えないんでしょ?今からこんなに大きくニュースに取り上げるなんて、早いよね」


私たちが体験できるのは、きっと数年後なのだろう。もっと後かもしれない。私たち一般市民だけそっちのけで、異世界へ行くなんて面白くないな。


「そうねぇ。まあいいじゃない。きっと忘れた頃にまた出てくるさ」


母の呑気な声に納得しつつ、再びテレビに集中した。


『ネット上では、テストとして被験者が民間人から選ばれるのではと話題になっています』


そんな事あるわけないのに。でももし先に異世界へ行けたらなんて想像楽しいよね。


ふと時計を見ると23:30と出ている。そろそろ寝ないと。明日から本格的に授業が始まるんだから。


「おやすみ、お母さん」

「秋萩、部屋で起きてちゃダメよ」

と扉を挟んで声が聞こえた。



私室の扉を開けると、少し違和感があった。その正体は、机の上にある真っ赤な封筒だ。色のチョイス悪すぎでしょ。

でもどこから入ってきたんだろう。とりあえず、読んだ方がいいかな。



《佐倉秋萩様

突然のご連絡すいません。この度、異世界接続ゲートのテスターとして選ばれました。明日、異世界へ飛んでもらいます。期間は一年間です。このことについては、できる限り周囲の人に言わないでください。それではご健闘をお祈りします。国立異世界研究所》



………ん?なんだよこの、ぶっ飛んだ手紙は!明日異世界へ行くって、あと30分後では。

それに一年間ってことは、受験できないのかな。中学校は義務教育だから留年のないし。浪人扱いにあるのかな。

とりあえず、寝て忘れよう。きっと明日の朝には笑い話になっているよね。






朝、眩しい光が窓から差し込んできて目が覚めた。あれ?何この巨大でふかふかなベッドは。

そして女性特有の胸の出っ張りはどこへ?


「ぁあ………」


おかしい。声を低い。喉仏もあるし、下半身には違和感を感じる。黒いストレートの髪の毛もない!

これってもしかして、いやもしかしなくても入れ替わってる!?違う、中身だけ異世界へ転移したのだ。どうして中身だけ………もう笑えないじゃん。本当に異世界があるなんて。

ああ、そういえばこんな映画あったよな。入れ替わるやつ。「君の◯は。」だったっけ。


トントン、とドアのノックが聞こえた。


「はい」


返事は大事。うぅ………声が変な感じ。慣れるまで時間がかかりそう。悪くない声だけども。


「アルト様起きられましたか?今日はいつもに増して、ゆっくりな朝ですね。休みの日だからって、少し怠けすぎですよ」


アルト様?私に言ってるのかな。


「すいません。気をつけます」

「あら、今日は随分素直ですね。いつもこんな感じなら、ほかの使用人も困らないでしょうに」


このアルトって奴、もしかして超お金持ちなのかな。使用人雇ってるとか、すごいな。確かに、この広いベッドと高級そうな室内の家具を見たら納得できるけど。


「朝ごはんをご用意しましたので、お部屋に入っても?」

「どうぞ」


私は布団から起き上がり、使用人さんが運んでくる料理をじっと見ている。朝から前菜があるとか、レストランのコースかよ!本当にオシャレすぎる。それに見た限りだとお箸はなさそう。やっぱり異世界は違うな〜。


とにかく今は目の前の料理に集中、集中。

並べられてるスプーンやフォークって外側から使うんだっけ?この丸いスプーンはスープ用だよね。朝は食パン一枚で十分なのにね。


「そういえば、今ノア様が来ていますよ。朝食を終え次第、着替えてすぐに応接室へ向かってください」

「へぇ?ふん」


ご飯を食べながらだからか、変な声が出た。ちゃんと、ごっくんして。


「はい、分かりました」


着替えはクローゼットらしい棚から、適当に抜けばいいか。やっぱり金キラのテカテカなやつかな。宝石箱とか持ってそう。売り飛ばしたら億万長者になれそう。

………いや、してはいけない。落ち着くんだ、秋萩。


ご馳走さまと手を合わせたら、使用人さんから変な目で見られました。こうゆう、日本の文化は当然ないみたい。

中身が秋萩だってバレない方がいい、みたいなこと手紙に書いてたっけ。これから気をつけないとね。あと話し口調も意識して、男っぽくしないと。


「いくらノア様が仲のいい友人だからって、いつまでも待たせていいわけではありませんよ。では急いで用意をしましょう」


布団を剥ぎ取られると、部屋に数人の使用人さんが入ってきました。テキパキを私を脱がすと、清楚感溢れる綺麗な服を着せられました。鏡の前に座らされ、髪の毛も少しといてくれました。

このアルトの顔って案外整っているみたい。目の色は赤っぽく、髪の毛は茶髪。体がぽっちゃりだけど、痩せたらこれはイケメンになるわ。


「では行きますよ」


もう使用人さんが全てしてくれました。かなり恥ずかしいけど、有り難いです。






使用人さんについて行くと、オシャレな扉の部屋の前に着きました。いや、このお家の部屋の扉全部が綺麗な彫刻がされていたけど。

それにしても廊下は長いし、部屋数も多いしで本当にお金持ちの家なんだね。なんか気後れしそう。


とりあえず、ノックすればいいよね。ああ、なんか緊張するな。今から会う人、ノア様だっけ?


「すいません、遅れました。アルトです」

「………?はい」


扉を開けると、それはそれは美しい美少女!………ではなく、顔の整った美男子がいました。ノアって名前だからすっかり女の子だと思ってたけど、男の子だったんだね。

黒い髪の毛が美しい。爽やか系のアイドルにいそうだ。この子の将来はすっごいイケメンになるぞ。


とりあえず、ノアの向かいにあるソファに座るか。

って何このソファ!すっごい座り心地がいい!お尻が沈んじゃいそう。そういや、学校の校長室のソファもこんな感じだったかもな。


「で、えーとお久しぶりです」

「………はぁ」


ため息をつかれた。まさか、はぁが挨拶だったりするのかな。


「それでノア君、今日はどうしたの?」


当たり障りない話を振るべきだよね。ハウアーユー的な。


「君付け………」

「ご、ごめん、ノア!」

「………はぁ」


ため息つかれた。さっきからボロが出ているのが恥ずかしい。

しかも何このタイムラグ。ノアってあんまりお喋りしないタイプなのかな。


「………今度の剣術大会の件で来た」

「う、うん、剣術か」


何その剣術大会。そもそも剣とか持ったことないんだけど。早速レベルの高い案件なのでは?こうゆう時アルトはいつも出てるのかな。勝手に返事するのは気がひけるけど、どうせ一年間はこのままなんだし。勝手に決めちゃおう!


「私、お、俺出るよ!」

「知ってる」


出る前提だったのね。てか、ノアと会話が続かないんだけど。本当に仲良いのかな、アルトとノア。


「順番………」


順番とかあるの?てか剣術って剣持って戦う競技だと思ってるんだけど、なんか違うのかな?

どうしよう、全くわからない。


「じゃあ、ノアに任せていい?」

「なんで?」

「だって、ノアの方が俺のこと知ってるだろ?」


ほら、私なんてアルトくん知ったのつい数時間前だからね。絶対にノアの方が詳しいよ。

人任せになっちゃうけど、これも最初だけだから。この体に慣れるまでだから!


「………え」

「うん、とりあえず任せた」

「………じゃあ一番最後」

「ん?」

「一番最後」


いや、ちょーと待っておくれよ。なんの競技なのかすら分からないんだけど。一番最後ってそれはないだろう!プレッシャーバンバンかかるじゃん。


「というか、なんでノアが出場の順番を聞きに来てるの?」

「最近学園来ない………だから来た」


異世界でも学校はあるのね。というか今聞き捨てならないワードが。学園に来ない?

まさかのアルト、不登校だったの。どうしたんだろう、まさかいじめとかないよね。


よし!私は決めたぞ!超イケメンアルト様になって、女子生徒を侍らせ花園を作ろう!


「明日からちゃんと学園行くから!」

「明日休みの日………」

「じゃ、じゃあ明後日」

「ん、わかった………」


最後の方は思ったよりも会話できてる!進歩した!私とノアの距離が少し近づいたきがするよ!


「あ、玄関までお見送りする!それじゃあ、また明後日」

「うん」


ノアが少し笑った気がする。うん、進歩進歩。

今日は休日っぽいし、家の探索してあとは部屋でゴロゴロしよう。机の中とか勝手に見ても大丈夫かな?今は私がアルトだから、いいか。

アルトは今学生なんだから、多少ヤバそうなものが入ってたって、私は何も驚かないしチクったりしないから大丈夫だよ!

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