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酒盛り
お布団に入って寝ようとすると何だか賑やかな音が聴こえてくる。その音はだんだんと大きくなってだんだん五月蝿くなってきた。
「チャカチャカドンチャンドンチヤッチャッ。呑めや唄えや踊りゃんせ。チャカチャカドンチャンドンチヤッチャッ。」
と宴会騒ぎ。僕はあまりに五月蝿いので、窓を開けて周りを見渡したが明かりの点いた家は一軒も無かった。もう終わったのかと思い。寝直そうとすると
「チャカチャカドンチャンドンチヤッチャッ。呑めや唄えや踊りゃんせ。チャカチャカドンチャンドンチヤッチャッ。」
とまた聴こえてきたので部屋の照明を急いで点けると、豆粒程の大きさで頭にネクタイを巻いた背広姿のハゲたおじさんが一人で騒いでいた。
そのおじさんは妖怪『酒盛り』と言うらしいが迷惑なので止めてくれ!と頼むと頭を下げながら帰って行った。