神楽院高校
設定上は魂のランクは、まだまだ曖昧な決め方となっています。それを配慮して読んでもらえると助かります。
国立第三位…つまり全国で3番目の学校ということになる。P.Bから100年経ったこの時代では、三位という肩書きは、学力の偏差値を示しているのではない。
この肩書きが示すもの、それは覚醒者の質だ。
覚醒者の質とは、覚醒者に受け継がれた魂のランクが高い者達が多いことで評価される。
魂のランクの基準、それは簡単に言うと歴史に名を残しているか、有名であるかだ。
ランクはA,B,C,D,Eの5段階で評価される。
A…歴史に名を残した英雄、有名な武将等
B~C…戦略家、革命者、改革者,武道の達人。ここに戦国武将もくわえられる。
D…文化や芸術に大きく関わった偉人等
E…歴史に名が残っていない分類することが不可能な魂
といった感じだ。
亜紀斗と辰起が話していた入学式で行われる覚醒の儀で、誰の魂かが判明しランク分けされクラスが決められる。
非覚醒者に関しては、評価外となる。この時代ではほとんどないことではある。
このように、受け継がれた魂のランクの質が高い者達が集っていることによって国立第三位という評価が神楽院高校に与えられているのだ。
その神楽院高校の一室の窓から、校門を通って入ってくる生徒を眺めている男がいた。
男の名は、志藤 孝夫。
神楽院高校の校長である。志藤は校長室から真剣な眼差しで外を見ている。
顔は、紳士を思わせるダンディな感じの顔立ちである。生徒達の母親にも絶大な人気があり、わずかながら女生徒にも人気がある。
コンコンっ
ドアをノックする音が聞こえる。
「入りたまえ」
志藤は振り向かずに応える。
「失礼します。」
入ってきたのは、教師であろう女性が入ってきた。
「どうしたのですか宮野先生」
志藤は女性に振り向きながら応える。
「先ほどまで、新入生の資料を拝見していたのですが、今回の選考についてお聞きしたいことがあります」
真剣な顔で聞いてくる。
「選考についてとは?」
宮野先生と呼ばれた女性は続ける。
「今年の選考基準を下げてまで、非覚醒者の新入生が多いのですか?去年よりも1割も増え、数でいえば一クラス分です」
宮野先生は困惑した表情で続ける。
「このままでは、神楽院高校の評価とランクの質が下がってしまいます。校長もそれはおわかりはずです。鳳帝と黒鬧に差をつけられてもよろしいのですか?!」
宮野先生は、納得できないといった感じである。
宮野先生のいう鳳帝と黒鬧とは国立第一位鳳帝学院、そして、国立第二位黒鬧高校のことである。
志藤は黙って聞いている。
そして、口を開く。
「宮野先生は、ペリト・ランティスを知っていますよね」
?
怪訝そうな表情を浮かべながら宮野先生は応える。
「ええ、もちろんです。P.Bを引き起こした人物です。小学生ですら、知っていることです!私が聞きたいのはそんなことでは!」
「そうです。皆が知っている人物だ。」
志藤は、宮野先生の言葉を遮り続ける。
「この時代に生きる者達は彼の事を知っている。だが、彼の残した言葉を知る者はごくわずかです」
「?!どういうことですか。それと今回の選考に何の関係があるのですか」
志藤の意図がわからず困惑する宮野先生。
だが、志藤は構わずに続ける。
「ペリト・ランティスはあの全世界への衝撃の後に残した言葉があるのです。その言葉というのが」
100年の月日が流れた時世界で強き魂達により戦乱の幕があがるだろう
「それが、何を示した言葉なのか詳細なことはわかりませんが。国の政府機関からはこの言葉を重視する声が多く、全ての学校に通達が来ているのですよ。国のランクの質を保ちランキングを上げるためにも非覚醒者を多くでも覚醒者へと導けとね」
国としてのランク、日本はランキングとしては10位圏内を行ったり来たりといった所だ。
人種を越えて魂を受け継がれる為、毎年の様にランキングは変動する。
(ランキングを上げろなんてそんなこと狙って出来るものでもないはずなのに)
宮野先生は心の中で言葉を放つ。
そして、非覚醒者を導け。
今まで通りなら、非覚醒者の進学はかなり限定されたものだったのだ。
例えば、国立の順位等気にもしない普通の高校や進学を進められず就職へと就いたもの。
こうして、非覚醒者であるがために道を閉ざされる事がこの時代では当たり前となりつつあったのだ。
「ですが、その言葉が本当になるなんてわかるはずないですよね」
宮野先生は食い下がる。
「確かに、そうです。ですが国から面白いデータも送られてるんです」
「面白いデータ?」
「この、2、3年で戦闘に特化した偉人の魂達が増えているというデータがです」
「でも、ただのデータでは」
かもしれませんね
と微笑みながら志藤は応える。
「宮野先生。私はね、少し楽しみでもあるんですよ。この魂を受け継ぐのが当たり前になった世界で何がおこるのかをね。どうかこの事についてはもう話しは終わりにしましょう。そろそろ式が始まりますよ。新入生を迎えに行きましょう」
「はい…わかりました」
宮野先生の表情はまだ曇ったままだったが、もう聞けることはないと悟り外へと出る。
出る瞬間に、志藤が、またあとでと声をかける。
宮野先生は、一礼して外へ出る。
そして、式が行われる体育館へと向かう。
神楽院高校の新たな生徒を迎えるために。
いよいよ入学式ですね。
ただの入学式にならないと察しているかたもいると思います!
裏切らないようゆっくりじっくり書いていきます!




