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第一魂 入学式と覚醒の儀


ピピピピピッ


部屋の中にスマホのアラームが鳴り響く。


「ピッ、うっうう、ねむ」

アラームをとめたのは、この部屋の住人であるむつみ 亜紀斗あきとだ。

まだ眠気があり布団にくるまってもぞもぞすること一分が経ち…

「準備しなきゃな」

そう言って亜紀斗は、テレビの電源をつけベッドから出て制服へと手を伸ばす。

この春から入学が決まった国立第三位の神楽院高校の制服へと。

身長は163㎝ 体重は58㎏高校一年生という体格でいえば、平均に近い。

性格は、楽しいことは積極的に参加し、面倒なイベントもそつなくこなすタイプだ。勉強は苦手なほうだろう。

だが、進学を国立第三位の神楽院高校へと決めた時から猛勉強し、最低合格ラインまで潜りこんだのである。だが、それだけで国立第三位の高校に合格できるわけではない。確かに、勉学の基準は大事だが、それは数十年前までだ。

この時代では、勉学や部活動、学内活動とは全く別の要素で進学が決まることがある。

亜紀斗は、自分がそっちの要素で合格したと思っている。

着替えをすませ、朝食を簡単に取り新たな高校への通学路を歩き出す。


これだけ見れば、ごく普通の高校生だ。


「あき!おはよう」

「おはよう、たつ」


しばらく進んで声をかけてきたのは、中学からの同級生である國仲くになか 辰起たつき。愛称はたつ。

中学の前期までは、顔と名前を知っているぐらいだったが、進路をどうするかで悩んでいたときに向こうから声をかけてきて関わることが多くなった。まあ、話してみると気さくな奴なので気負いすることなく話しができる。今では大切な友人だ。

「なあ、たつ。俺が本当に神楽に行ってもいいと思うか」

「まぁだ言ってるのかよ。ちゃんと合格通知来たんだろ」

「確かにそうなんだけど、俺はまだ自分が誰かわかってないせいか不安が多くてな」

「まあ、覚醒者プロムでないお前が神楽に合格するってのは誰もが思ってなかったことだとは認めるよ。俺も含めてな」


覚醒者プロム

それは、100年前のあの出来事、後にPBペリト・バースと名付けられた歴史的事象からこれまでペリト・ランティスの様に過去の魂を受け継ぎ目覚めさせた者達が呼ばれる呼称である。

覚醒者は、100年経った今では全人口の9割にもなる。


「はっきり言ってくれる。非覚醒者ノプロで悪かったな」

亜紀斗は少しブスッとした口調で応える。

「まあまあ、そうひねくれるなって。それも今日までじゃないか」

たつは、そう言ってポンと亜紀斗の肩を叩く。

この現代において、中学卒業まで非覚醒者であることは珍しくない。高校への入学時に人生最後の覚醒の儀が行われる決まりである。覚醒の儀は15歳までにしか行えないのである。この100年の間で覚醒者の研究で15歳からの上の年齢での覚醒者は現れていないのが確認されている。

つまり、亜紀斗にとっては最後の儀なのである。


「けどな、神楽に行けるほどの偉人じゃなかったらどうしよう」

「それは、学校側も承知の上だと思うがな」

「たつはいいじゃないか。石田三成だろ。歴史にも載ってる偉人じゃないか」

石田三成・・・戦後時代の武将。豊臣政権下の一人であり、関ヶ原の戦いで徳川家康に敗北した武人である。


「なっちまったもんは仕方ないだろ。なりたくて三成になったわけじゃないんだよ。そもそも魂は選べないんだからさ。どんな魂だろうと亜紀斗は亜紀斗だ!気楽に行こうぜ」

「ああ、そうだな。前向きに捉えておくさ」

「それでいいと思うぞ」

(たつはこう言っているが、今の時代に自分が誰か分かった時にやることは、まず自分の中の魂の過去を調べることから始まるのは誰もが知っていることだ。たつ自身も石田三成と知った時は歴史書をかなりあさったと知り合った頃に聞いたことがあるくらいだ)


亜紀斗と辰起はその後も談笑しながら通学路を歩いていく。


そう、亜紀斗が神楽院高校に進学出来たのはこれから覚醒の儀によって目覚める魂に期待があるからだろう。

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