プロローグ
100年前、一人の男性が声を挙げた。
「私はイエス・キリストである」
その言葉は、世界中のすべての人類に届いた。普通ならば虚言や妄想癖とも取られ無視や聞き流す者がほとんどだろう。だが…その言葉に全人類は静かに男性の声を聞いていた。
この男性の名は、ペリト・ランティス。
この日はローマ法王の就任式であり。このペリト・ランティスが新たなローマ法王となった記念すべき日なのである。
この就任式は全世界に中継されいる。だが、全人類の耳に届くことなど不可能なはずなのだが、その一言を地球上全ての人間が聞いたのだ。
その声は、脳内に響きまるで暗示にかかった様に聞いている。
ペリト・ランティスが話している間、誰も声を発しなかった。いや、発せなかったのだ。
ペリト・ランティスは静かな声で続ける。
「私は決して、虚言や妄言でこの名を名乗ったわけではない。今、皆の身に起こっている事が私がイエス・キリストだということの証拠だと思ってください。イエス本人というよりはその魂を受け継いだ者ということです。これからこの世界に起こることを皆に伝えるため名乗らせてもらいました。まもなくこの世界の秩序は崩れ、そして新たなる世界のルールが生まれる事になります。世界は混乱に陥るでしょう。私は少しでもそれは避けたいのです」
ペリト・ランティスは、一呼吸おいて続ける。
「時間がなく簡単に応えさせてもらいます。私の様な者がこれから数百、数千…いや、数万人の前世の記憶と力、そして宝具をを受け継ぎし者達が現れます」
応えさせてもらいます。この言葉には世界中の人々への答えなのだろう。
ペリト・ランティスは頭を下げた。
「ちゃんと説明する時間がなく、本当に申し訳ない。その時が来たようだ」
すると…
「ドクン…」
「ガシャン!」
「ギーッ」
世界中の人々の頭の中で、鼓動の音、何かが壊れる音、何かが開く音がした。
「があー〜ーー」
「きゃーーーーーーーーーー」
「うああああああああああああああ」
「っは、フハっふっひひいっひ」
唸り声、悲鳴、叫び声、声にもならない声が世界中で響いた。
それは、この世界の終わりを告げ。
新たな世界の始まりをつげるものだった。
それから100年の時が流れ、新たな秩序が生まれた世界から物語は動き出す。




