真ん丸お月さまとライオンと小さなお星さま
ライオンは月に恋をした。
どれだけ月を見上げても、どれだけ愛を囁いても、月はライオンになびかない。
いつも空に浮かんでいる真ん丸な君に会いたくて、君の隣に立ちたくて、ライオンは月に近づく旅に出る。
月を追いかけ平野を走っても近づかない。
月に手を伸ばそうと山を登っても届かない。
昼は眠り、夜は月を追いかける。食事も忘れて只管に月を追いかける。
いくら追いかけても月に近づけない、月に手が届かない。月はライオンを笑うように姿を毎夜姿を変えていく。
「美しい」
さらに夢中になってライオンは、月を追いかける。
月を追いかけボロボロになったライオンは、喉の渇きを覚え近くにあった湖を覗き込む。すると水面に浮かぶ真ん丸なお月様。
「ああ、こんなところにいたのですね。いつも見上げていたので私とところまで降りてきたことに気づきませんでした。」
ライオンは、涙を浮かべ水面に映った月を抱擁するように湖に飛び込み、満足顔で力尽き沈んでいった。
満月の映る湖の中でライオンは泡となって溶けてしまいました。
月の影で光る小さな星は、ずっとライオンを眺めていました。
一途なライオン、がんばるライオン、諦めないライオン、ボロボロになっていくライオン。小さな星はライオンを好きになっていました。
ある日ライオンが湖に飛び込み泡となってしまいました。
小さな星は泣きながら月に訴えかけました。
「お月様、お月様。あなたはライオンさんの気持ちを知りながら何故無視をするのですか、ライオンさんは泡になってしまったじゃないですか。」
ただの八つ当たりです。
小さな星の涙は、流星となって湖へ向って一晩中降り続けました。
月は、小さな星をずっと大切にしていました。なので泣いているのを小さな星を見て心を痛めました。罪悪感に耐えられなくなった月は、湖から泡となったライオンを掬い上げて夜空に撒きました。
泡となったライオンは星になりました。
それからの夜の空には、月とライオンとそれを見守る小さな星が光ってます。
今夜の流星は、小さな星の嬉し涙か嫉妬の涙か。
ライオンは、今夜も月を追いかけてます。
これがのちのしし座である(嘘)
拙い文章ですが、読んでくれたありがとうございました。