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辛酸な過去を変えるため皆は電子書籍を更新する  作者: 彦音梟
4章救済の暴力
23/25

招待


〈香織&桜兎〉


『...今日の練習はまだ納得のいく段階までいかなかったので残念ですね。』


『まだ練習初日ですし、焦らなくても大丈夫だと思います。地道に頑張っていきましょう。』


『...はい...』


『...』


皆と別れた香織と桜兎は2人で帰るもあまり会話が弾まず、黙々と歩を進ませていた。練習中は鍛錬という目的がありアドバイスなどの会話ができたが目的がなくなると口数も少なくなってしまう。元々告白した者、された者で最終的に断ってしまった故に関係は複雑なものになっている。沈黙の中歩いていると前方から車椅子に乗る女性とそれを押す眠そうな男性が歩いてきたがそのまますれ違う。


『止まりんしゃい。』


突如女性が抑止の発言をしたため全員が立ち止まった。


『寝杉、通り過ぎばい。なして止まれんの。』


『あっ、すみません。目が開いてなかったです...』


女性は大きなため息をはき、男に向きを変えるよう指示を出す。


『どうもこんばんは。うちは出久根木音いずくねもくね、後ろん男は寝杉常助ねすぎつねすけと言います。うちらは最近とある組織発足をしてこん地域におるALTERプレイヤーの勧誘ばする為にここまで足ば運びました。』


『勧誘ですか...突然言われて承諾をする人はそう多くはない思いますよ。それとも断った場合はこの場で戦闘してリタイアにさせられるという展開になるのでしょうか?』


桜兎は警戒していたが女性はニッコリと笑みを浮かべ笑い出す。


『ふふふ、さすがにすぐん返答ば要求することはせんですよ。今回において声ばかけただけやけん予選が終わり次第返答ばもらえればよかですよ。それと承諾してくれればメリットもあるんよ。』


『メリット?』


『まず返事が保留中の間はこちらからは戦闘ば仕掛けんことば約束するんと、承諾してくれた場合我々はALTERについて情報ば知り尽くしとるけんそん情報の開示、あとは本戦第1ステージの勝ち抜けば保証ばしちゃるよ。』


『...なるほど、ALTERを勝ち抜けていける上に情報まで得られるのは有難いですね。ところで組織に入った場合は何をすることになるのでしょうか?』


『組織側がスキルの相性の良い仲間を組んでくれるからその仲間と共に上からの命令を果たせばよいだけよ。命令て言うたっちゃ戦闘とか情報収集ぐらいかな。』


『気が進まない命令を断ることは?』


『どげんしてんって言う時は他ん者へ回す。やる気なか状態で失敗されたっちゃ困るけんね。』


『なるほど条件的には悪くないですね。しかし、すぐに返答することはできないのでまた後日返答させてください。』


『分かったばい。亀梨さん、予選終了後にまたこっちから会いに行くけんね。』


寝杉は車椅子の向きを変えるとそのまま進み始める。2人の姿が見えなくなると亀梨は口を開く。


『織部さん、気をつけた方がいいですよ。多くのプレイヤーがリタイヤさせている件に出久根って方も加担している可能性がありますから。』


『えっ、そうなんですか?』


『津倉君が言ってたように組織的に人が集められ、効率的なチームを組み戦闘をするから連携がしやすく勝利を収めやすい。だが確実に勝てると言うわけではないので敗戦するメンバーも出てくる為、勧誘しメンバーの補充目的としてこちらに目をつけた。この地域には津倉君や越矢子さんもいるから着眼点はとても良いし、同じ地域という事でこちらに声が掛かったのかもしれません。』


『なるほど...ではこの事は電信で報告をしましょう。みんなにも組織の関係者と接触があったかもしれません。』


『まぁ、それは自宅へ着いてからでいいと思いますよ。予選の間は戦闘を仕掛けてこないとの契約ですから。』


『そういう事なら...あっ、私この近くなのでもう送ってくださらないで大丈夫ですよ。』


『分かりました。ではまた後で連絡を。』


香織と別れるとそのままE- bookを手に持ちながら帰路へ歩き出す。


『まだ電信に報告がないという事はみんなにはまだ勧誘が来ていないという事だろうか。なら早いうちに僕の方から議題として挙げた方がいいかもしれない。』


桜兎は電信を開き文字を淡々と打っていく。とある組織から勧誘を受けたこと、勧誘の対象はこの地域のプレイヤーであること、組織に入る際のメリット、返事は予選終了後に行うことなど細かく書き送信ボタンを押す直前にふと木音の発言を思い出す。



【分かったばい。亀梨さん、予選終了後にまたこっちから会いに行くけんね。】



『そういえば彼女はなぜ最後僕の名を...僕は名乗っていないのに...それに勧誘目的なら僕だけでなく織部さんにも声を掛けるはず...』



いや、織部さんを知らない?......対象は僕だけ?



そう思い後ろを振り返ると香の向かった方角にスペースが展開されているのが分かる。桜兎は急いでスペースに向かって駆けていく。


『くっ!勧誘の対象が僕だけだったのか!もしかして皆から連絡がないのも奴らの仲間に遭遇しているからか?この地域は僕以外のALTERプレイヤーを全員倒す算段で現状戦闘中だから連絡ない可能性が高い!急がなくては!』


香がいない事を願いつつスペースの元へたどり着くと中にいる者達を確認をする。織部香、出久根木音、寝杉常助の3人のみの名前だけしかなく香が危険な状況であるのが分かり急いでスペースに入った。


『無事でいてください!』


転送が終わると急に熱い気候に変わるのが分かる。目を開けるとそこは今にも噴火しそう火口が目に入り周囲には火口から漏れ流れたであろうマグマもあるステージであった。


『...このフィールドは長くはいれないな...』


転送が完了して早々に汗が浮かび上がる。するとメニュー画面が自動で開き文章が表示されていた。



【フィールドにつきまして暑さの対応のアイテム耐暑ドリンクを2個プレイヤーのアイテム欄に追加しております。使用すれば一定時間暑さに適応できますが個数が少ない為早めに戦闘を済ませる事を奨励致します。】



『なるほど、フィールドによって補助アイテムわ時間制限のような事もあるのか。』


桜兎はアイテムから耐暑ドリンクを出しそのまま飲む。すると暑さは無くなり汗も急速に引いていく。


『灼熱とも言える空間で汗が絶えず出ていたのにこうもあっさりと過ごしやすい体調に変わった。早く織部さんを見つけないと。クニー!テスト!競闘し合う者達よ、今こそ手を取り合い共闘して結束した力を僕に与えよ。』


2匹は小さめのサイズで現れ、そのまま桜兎の中に飛び込んで入る。


『クニー、君の聴力を借りるよ。』


耳を澄ませ自然の出す音以外の音を探していると小さいが自然じゃないノイズを聴取し、クニーの超脚力の力で駆け出し音の本体へと駆けつけた。


『ハズレでしたか。』


そこにいたのは車椅子を押していた寝杉と呼ばれていた男が目を瞑り1人で座っていた。


『どうやらたどり着いたみたいだな。侵入者。』


『織部さんはどこにいるんです。』


『織部...あぁ、付き添いの子を助けに来たという事か。しかし君はこちら側に来る気があるんじゃないのか?』


『元々お断りするつもりでしたよ。僕には既に仲間がいるので仲間に報告する時間が欲しくて保留していたまでです。』


『そうか、それは残念だ。そういえば女の子だが今は出久根様が相手をしているから急いだ方がいいと思う。』


『ならお言葉に甘えて。』


桜兎は再び耳を澄ませる目を閉じるが自然とは違う余計なノイズが近づいてくる。目を開けると構えた体勢で寝杉が迫っており掌底を打ち込まれた。


『やはりそう簡単には探させてもらえないですよね。』


桜兎はテストで小型の盾を創造して防御していた。


『良い盾を持ってるが手で持ってるようじゃ無駄だな。』


そのまま盾をグッと掴まれると、急に押す力が強くなり盾が弾かれるように飛ばされてしまった。


『くっ、腕力では負けましたか。しかし僕の武器は脚力だ。貴方をすぐに倒し、捜索を再開しますよ。』


一瞬で寝杉の背後に移動し踵を振り下ろす。しかし落下と同時に前方へダイブするように飛び出して回避された。


『ふぅ、危ないな...』


『くっ!』


再び距離を詰め連続で蹴りをふるうが簡単に避けられてしまう。桜兎が態勢を立て直そうと攻撃を止めると逆に距離を詰められる。


『あまい!』


再び掌底がくると避けようとしたが軽くはいってしまう。すると突然手の平から強い衝撃が発生し軽度の吐血を吐き大きく吹き飛ばされた。


『はぁはぁ、触れられた程度のはずなのに突然強烈な力が...それに目を閉じているのに避けらるなんてまるで動きを読まれている感覚だ。』


『お前なかなか鋭いな。』


『まさか今のがスキル!?しかしタイトルを見たところあまり合点するような要素はないと思いますが。』


『まぁ、スキルも少しは加味している。俺の力【三年寝太郎】は寝ている間は脳が活性化し頭が良くなるという力だ。』


『それだけですか...』



それだけだと少し分からない。寝ている間の力なのに何故僕の攻撃が避けられたのか全く理解ができない。ならばまだ隠している能力があると言うことか。



『疑問符を浮かべているだろうから説明してやろう。俺自身が少し特殊で睡眠障害を患っていて現在も寝ている。』


『えっ...』


更に意味が分からない説明を受け困惑する。


『睡眠障害は様々なタイプの症状があるが俺の場合は過剰に眠ってしまうという症状だ。幼い頃からこの病気と戦っていてなかなか治る傾向になかったがあの車椅子の女性...出久根様と会い、手術を受けさせてもらった俺は症状に対する抵抗力を得た。俺は寝ていても体を自由に動かすことができるようになり、三年寝太郎のスキルSleepingスリーピング Acutivityアクティビティの力をフル活用できるようになった。』


『...なるほど、戦闘には不向きな物語と予想してましたが使用者によって化けますね。先程の掌底もスキルが関係しているのでしょうか?』


『E-bookを得てから気功という武術を組織で習った。初めはよく分からなかったが寝ている最中の冴えた頭が解析、試行をすることにより気功術、“放射剛気拳“を習得した。さっきの技は気を体に纏わせる技”つつみ”と言って気を纏いぶつけることで強力な衝撃波をくらわせられる技だ。』


『気功...生物が誰しも持つ気というものを操る...程度しか知らなかったですが気を纏い軽く触れられた程度でこんなに威力があるとは驚きですよ。』


『俺も全てを知っているわけじゃないが生命活動するものなら誰しも備えている気をコントロールする事で様々なことができる。俺の場合は体内の気を集めることで強力な力を付与したり、俺の周囲に気を散じさせることでセンサーのように近づく者を察知する。』


『それで目を閉じても僕を感知できたのか。しかし察知できても対応できなければどうですか!』


桜兎は再び突進すると寝杉は先程同様に避けつつ、気を纏った手刀を打つ。しかし桜兎はその腕を掴み背後に回ると反対の腕も掴み拘束する。


『これで気の攻撃できないでしょう!』


『ふっ、無駄なことを。』


桜兎は片足を上げ足に太陽光を浴びさせエネルギーを溜めると今にも爆発しそうな力が溜まる。


solisソリス explodingエクスプローディング!』


そのまま思い切り足を寝杉へ振り下ろす。


『ぐっ!これは!?』


寝杉に当たる手前で何かに邪魔されていて下ろしきることができなかった。


『常時ってわけにはいかないが気を放出すれば何ものでも近寄らせない防御にも使えるし更に勢いよく出せば攻撃にもなる...あぶり!』


突然桜兎は強い衝撃波を体に受け吹き飛ばされる。


『あぁぁぁ!あっ...熱い!背後からも気を!?』


『生命エネルギーを利用しての攻撃だ。手だけでなく身体全身に巡っているし冷たいわけない。そいつを溜めて放出させてるんだから焼けるようなダメージになる。普通なら全身大火傷になるはずだがそこまでは至って無いみたいだな...なんで...と思ったが冴えた頭は理解した。耐暑ドリンクの影響で暑さや熱さは軽減されたと理解した。』


早い段階で熱さが引いていき体も起こすことができた。


『今回は耐暑ドリンクに助けられましたが護身術で大火傷をさせてしまうとは現実世界では無敵になれそうな気がしますね 。』


『そう、放射剛気拳は最強無敵!師範以外俺を倒せる者は皆無だ!』


『しかし使い手によってはやはり欠陥が生まれてしまうもの。特に貴方みたいな方はとくにね。』


『はぁ?欠陥?無敵な力を持つ俺にそんなものがあると思って.....いぎっ足がっ!』


突如寝杉の足に痛みを感じ始める。


『寝ている間は目が開かないかわりに気を放出させることでセンサーのように周囲を見ることができると。それに貴方は気を一気に放出した後は気を出せないことも言っていた。だからこの時にチャンスが生じると思いましたよ。』


『何をしたか知らないがこんなもの!ぐああぁぁぁ!』


気を集中させ足を挟むものを吹き飛ばそうとしたが痛みで集中することが出来ず目を覚ましてしまう。


『こっ...これは!亀!?』


足には金属で出来た亀に造型したテストが寝杉の足に噛み付いていた。


『勧誘してきたのですから存じているとは思いますが亀のテストは兎と亀ならば形作ることができ、鋭い牙を持ちしつこく噛み続けるカミツキガメにもなれるのです。』


『ぐぅぅぅ!いつのまにこいつを!!』


『それも存じいるはずですよ。何故なら貴方にはじかれて飛ばされた盾なんですから。』


テストは徐々に噛み付く強さを上げていく。


『ぐああぁぁぁ!!いだいぃぃぃぃ!離して!!自分、眠らないとスキルも気功も使えないだ〜〜〜〜!!』


寝杉の冷静で大人びた雰囲気は消え去り幼い子供のようにわんわん泣いていた。


『目を覚ましたところで同情なんてありません。テストそのまま噛み砕いて...』


テストが再び口を大きく開けると一気に口を閉じる。


『待ちんしゃい!』


遠くから女性の声が聞こえ桜兎は攻撃を中止して振り返ると車椅子に乗る出久根と香織が歩み寄って来ていた。


『貴方の仲間は此処におる。解放するけんそこまでにしてくれん?』


『織部さん!無事だったんですね!』


急いで香の元へ駆け寄り安否を確認したが返答はなく黙ったままだった。香の反応がなく動揺していると笛の音が聞こえ、その方向を向くと出久根がフルートを吹いているのが分かる。その瞬間腹部に痛みが起こる。


『織部さん...なぜ...』


香は輝夜の装備である鉄扇を鈍器のように扱い桜兎の腹部を殴りつけてきた。もう一度鉄扇を振るうが今度はテストで盾を作り防御し、距離をとる。


『ぐっ...織部さんがこんな事をするはずがない。となるとさっきのフルートかっ...』


出久根は自分で車椅子を動かして寝杉のそばへ移動していて、どうやったのかテストがひっくり返っている状態が確認できた。倒れていた寝杉に何かを食べさせると寝杉は再び目を閉じて立ち上がり車椅子を動かす。


『ほしにく...いや、ジャーキーで回復させていただきありがとうございます木音様。再びスリープモードに入ることができました。』


『良かとよ。うちは今のあんたが好いとーもん。それにしたっちゃやっぱり亀梨さんは勧誘ば断わったんね。

もうこちら側に来んのであればもう用はなか。ここで終わりにしよう。』


再びフルートを吹き始めると香はこちらに向かって鉄扇を開き飛ばしてくる。


『くらいません!』


盾を作り攻撃を防ぐと鉄扇は亀梨の頭上へ弾かれた。すると香は鉄扇を注視して念を送ると鉄扇は巨大化する。


『えっ!』


鉄扇は大きな音を立てて桜兎に向かって落下し、土煙が舞い上がる。


『あら、あん嬢ちゃんで倒してしもうたみたいね。やはり勧誘せんで良かったかしら。』


出久根はクスクスと微笑を浮かべる。


『いや、まだ抵抗するみたいです.....よっ!』


高速で移動した桜兎は背後から蹴りを放つが寝杉は感知し蹴りをガードする。


『くっ!気で威力を殺された!』


『ふふふ、やっぱり寝杉は頼りになるわ。貴方がいなければ防御できとらんかったかもしれんばいね。』


再び距離を取り、操られている香へ目を向けるとある事に気づく。


『織部さん!汗が!』


香は滴る程に汗を掻き始め息遣いも少々荒くなっていた。


『んん...じんわりと暑うなって汗が滲んできてしもうたわ。多分耐暑ドリンクの効果が切れたみたい。』


『呼吸するのも暑くてしんどいですし至急ドリンクを飲みましょう。』


二人は耐暑ドリンクを取り出し口にすると汗がすぐに引いていく。


『操っているのなら早く織部さんにもドリンクを飲ませてください!』


『ん?どうせ貴方達二人共ここでリタイアしてもらうけん必要なかやろ?』


『念の為この娘さんからは耐暑ドリンクは拝借しているからもう助からね。』


『なっ...なんだ...って』


桜兎はそのまま下を向き落胆してしまう。



僕は仲間になったのは借りを返したいから...特に織部さんを傷つけてしまった償いをしたっかったから...なのに現状織部さんは洗脳をされ、寝杉という男に攻撃を防がれ助けることも出来ず、洗脳されて彼女に近づけずアイテムが使えない危機的状況に陥っている...



何をすれば彼女を救えて、何をすれば敵を倒せるのか。焦ってないで順序を考えてから行動に移さないからこんな事に...



『あら〜亀梨さん友達ば助くるんば諦めてしもうたんかしら。ふふふ。』



諦める?そんな訳にはいかないんだ。織部さんを救うことができなければ償いすらできないじゃないか......絶てぇ救う。



『俺達に勝つことができずリタイアさせられるのですから気落ちしますよ。ははは。』



勝つことができない?勝手に決めつけないでくれ。冷静に対応すればまだ逆転はできる......雑魚には負けねぇ。



『では亀梨さんにはトドメばしましょう。』


笛を奏でると香はよろめきながら歩くがゆっくりと膝をついてしまう。


『さすがにあん子もこん暑さじゃ限界やったみたいね。もう使い物にならんし、疲れてしもうたけん洗脳ば解除するわ。』


洗脳が解けると倒れこみ乱れた呼吸になっていく。


『はぁ、はぁ、か...亀梨さ...はぁ、はぁ、...ごめんなさい...』



織部さんは僕を襲った事を覚えているようだ。性格上彼女は今仲間である僕を傷つけてしまったことにとてつもない罪悪感を感じているはずだ。まだ僕を追い詰めた事はいい。.しかし織部さんを利用し、彼女の心を悲しませる行為は..........かなり腹立たしいぞ雑兵が。



『.........れ。』


『あ?何か言ったか?』


『黙れと言ったんだ雑兵。』


桜兎は立ち上がり顔を上げる。目頭は下がって締まらない表情、姿勢は猫背で気怠そうにしている。


『なんか雰囲気が変わった?さっきより落ち着いとるように見えるし口調も荒うなった感じする。』


『きっと勝てないと分かったショックで頭がおかしくなったんですよ。』


『さっきまでは焦っていたから的確な行動ができてなかっただけだ。今の俺は冷静を取り戻して非常にクレーバな状態になれた。だから織部香を救ってやる...間違った行動はせず。』


桜兎は足に力を込めると空高く飛び上がる。


『救うとか言って逃げるのかよ!』


限界まで上がると頭から下降するよう体勢を変え、次にテストで厚い盾を創造すると盾を足場にして蹴り勢いを増して下降する。


aether(アイテール) signumシグヌム


急降下によって得た力を地面へぶつけると地面は大きく陥没し、フィールド全体を揺らす大きな地震を起こす。


『きゃあ!凄か地震!』


『ぐっ!立ち続けられん!』


大きな揺れに車椅子の出久根は身動きが取れず、立っていた寝杉は態勢を崩して尻もちをついてしまう。


『こんな地震リアルで起こったらとんでもない大災害になるだろうな.....!?だとすると...奴の狙いは...』


地震に困惑している間に桜兎は香へと近づき自分の耐暑ドリンクを飲ませていた。


『揺れとー状態じゃフルートも吹ききらん。彼はこれば狙うて地震ば発生させたんね。』


耐暑ドリンクを飲み終えると香りは汗も引き体調が良くなった。


『織部香大丈夫か。』


『...はい、私はもう大丈夫です...それと亀梨さんすみませんでした!わっ...私は...あなたの事を攻撃してしまいました。』


『罪悪感を感じる必要なんてない。前に俺は織部香を傷つけてしまったしそういった点ではお互い様だ。気にしなくていい。』


『そんな...簡単に切り替えなんて...できませんよ...』


香はポロポロと涙を流してしまい桜兎はジッと見ているだけだった。その間に揺れは徐々に弱まっていき寝杉もどうにか立ち上がることができた。


『ふぅ、ようやく立ち上がれたみたいね。揺れも収まるごたーし、また彼女ば操るばい。』


『いえ、出久根様ここは一旦避難します!』


車椅子のハンドルを持つと強く押していきこの場から離れる。


『ちょっと!寝杉!一体どげんしたって言うん!?まだあん子達ばリタイアさせとらんばい。』


出久根と寝杉が遠ざかっていくと再び大きな揺れが発生しフィールド全体を大きく揺れる。


それに伴い桜兎は香をお姫様抱っこで持ち上げると戸惑ってしまい泣くのをやめる。


『かっ、亀梨さん!?なっ、何をしてるんです!重いですからやめてください!』


『一般平均より軽いぐらいじゃないか。他の女性を敵に回すような発言だぞ。』


『...あの、亀梨さん少しキャラが変わってませんか?』


『それについてはまた今度説明してもらえ。それより今から作戦を説明するが聴き取りとれなかったら言ってくれ。気をつけないと舌を噛むかもしれない。』


『えっ?』




《出久根&寝杉》

『寝杉!今すぐ戻りんしゃい!なしてあん場から離れようとすると!』


『出久根様はプレートっていうのを知ってますか?』


『プレート?確か地球の表面ば覆う分厚か岩盤のこと?それが今の行動に関係があると?』


『はい。プレートは大陸プレートと海洋プレートがあり年に数センチ程度しか動きませんが動くとプレート同士がぶつかってしまうのです。ぶつかった影響で地震が発生するのですが、接触した付近ではプレート同士の摩擦によってあるものが増えていきます。』


『それは、えっと...あっ、マグマだ。』


『そうです。今もおそらくですが無理に大型の地震を起こしたことにより摩擦が発生してマグマ溜まりができているはずです。そしてマグマの膨張やマグマ溜まりに圧力が掛かっている状態だと思われます。』


『それって...!!』




《香&桜兎》

『舌を噛むって...いったいどういう...』


香が言いかけるとさらに揺れが大きくなり、途端に大きな音が生じ灼熱の熔岩を吹き出す噴火が起こった。


『きゃぁぁぁ!』


『大型の地震が起きると山は噴火を起こしやすい。これから熔岩を避けつつ奴らを倒す策を伝えるから、なるべく聞き損じることのないように頼む。』


『避けるってこの状態でですか!?無茶ですよ!』


香から言われるが桜兎は微笑みを見せる。


『織部香、約束したろ。お前は俺が守るって。』


『あっ.....』


少々キャラの変貌が見られるが根っこの部分では変わっていない桜兎に対して嬉しさと安心が込み上げ落ち着くことができそのまま体を預けた。


『お願いします。』


『しっかり捕まっててくれ!』


熔岩が一つ勢いよく迫ってくる。


『お願い!回避して!』


香は目を瞑って願うように目を閉じると落石した大きな音と軽い振動を近くに感じた。恐る恐る目を開けると少し離れた位置に向かっていたであろう熔岩が地面にめり込んでいた。


『えっ?亀梨さん今避けれたのですか?』


『どんどん来るぞ!』


再び熔岩が迫って来るが桜兎は軽く足場を蹴ると10メートル程を一気に移動した。香からすれば瞬間移動に似た体験であり表情もポカンとしてしまう。


『話を戻すがあいつらを倒す為の策があるから俺と協力してもらう。』


『えっ?あっ、それはもちろんですけど...』


『なんだ?まだ罪悪感が払拭できないのならこの作戦中お前の背中を借りるからそれで今回の事は許してやる。』


『せ...背中?』


『俺が求めるのは返事のみだ。YesかNoかだ。』


『えっと...じゃあやります!協力させてください!』


『そこはYesと...まぁいい、避けながらで悪いが説明するぞ。』


作戦を伝える最中でも次々襲ってくる溶岩は一度に複数来る時もあったが、桜兎は軌道を冷静に見極めて確実に避けることができていた。もちろん作戦伝達の口も止めることなく続けることで香のする行動が伝達された。


『タイミングは俺が教えるから織部香は作戦通りに頼む。』


『分かりました。』


次第に噴火も収まり地震も弱まっていき、再び出久根と寝杉が姿を現わす。


『うち達ば倒す為に自然の力ば利用するちゅう作戦は実に面白か案やったわ。お互いに危険になる博打のような作戦でばりたまがったけど寝杉が頑張ってくれたけんうち達はリタイアせずに済んだわ。』


『遠くへ行ったから俺の考えでは非常口を使い脱出して回避するっていうのも候補にあったがやはり戦う方向になったか。』


『俺が気をまとえば降ってくる岩石くらいぶっ壊すのも難しくない。ただあまり火口に近いと大き過ぎたり向かってくる量が多くなる。それだと破壊できても出久根様に怪我をさせてしまう可能性があったから距離をとっていただけだ。もう油断はしないから2人仲良くリタイアさせてやる。』


『先程はやられましたが今度はそうはいきません。』


桜兎は香の前に立ち、寝杉は出久根の前に立つと双方睨み合うように視線をぶつからせる。


『にらめっこばかりじゃ終わらんばい。また操っちゃる。』


しびれを切らして出久根は再びフルートを口元にあてがう。


『.......どうしましたか?出久根様?』


なかなかフルートの音色が聞こえてこないので寝杉は振り向く。


『.......鳴らんばい。どげな原理か知らんばってんいつも通りに吹いても音が鳴らん。』



御名答。今そのフルートの内部は織部香のGravity cutで埋め尽くしたことによりフルート内に入る空気の圧力は半減してしまう状態にある。フルートっていうのは確か空気を入れる唄口にあるエッジに空気を当て、波を発生させることで音が出る仕組みだったはず。なら圧力を減らされた空気では必要な波が発生できない為音が出てこない。



『どげん能力か知らんばってん多分あん子のスキルによる妨害やと思うわ。寝杉あんこ達2人ば片ずけなさい。』


『こんな奴ら出久根様の手を煩わせることもありません。』


寝杉が構えて突っ込んで来ると桜兎も大型の盾を作り構える。


『盾など俺の“放射剛気拳“の前では無駄だ。』


寝杉の右腕に螺旋のようにオーラが流れ始める。


『喰らえ!こばみ”!』


強力な掌底を盾に当てると強い衝撃が振動となって桜兎の盾を持つ手から体へと巡る。


『がぁぁぁぁ!かっ、体に痺れがっ...盾が...』


盾を見ると亀裂が入っており徐々に亀裂も広がっていく。


『盾など無駄だと言ったろ。盾を壊す事とおまけで衝撃をお前に流させてもらった。しばらくは自由には動けないはず。』


『畜生!せっかく勝ち筋がある筈だったのに...』


盾はゆっくりと崩壊していく。


『時期に盾は崩れて消えるだろう。しかし今度は鎧でも作られたら面倒だ。気を全開にして奥義でカタをつけてやる。』


寝杉は両手を合わせて集中していると次第に手には目にも見えるほどのエネルギーが集まりオーラとして現れていた。


『盾が崩れる音が無くなる頃には気のエネルギーも溜まるだろう。そうしたら目の前にいるお前にこいつを食らわせて終わりだ。』


『そうか、もう少し掛かるのか.........なら今だ。』


ゆっくりと崩れていた盾が急に消え去る。すると先程まで後ろにいたはずの香が今度は前に出ており、桜兎は背中に顔を埋めていた。


『寝杉!技ば解除して回避優先に...』


月光げっこう!』


香は強めに両手を合わせると衝撃で手から強烈な閃光を起こす。


『ああぁぁぁ、目が!目がぁぁぁぁぁぁ!』


『くっ!あん光ではどうなったかが分からん。寝杉!貴方は大丈夫!?』


『寝杉という男性なら目を抑えて悶えていますよ。』


『目ば閉じとったちゅうのにあん光ば見てしもうたちゅうん!?』


『人間の瞼っていうのはペラい紙と一緒だ。薄い紙が光を遮れないように瞼も同様に光を遮ることができないぜ。まぁ、あの至近距離でくらえば防ぐ手段自体ないと思うけどな。』


『ばってん目が使えんぐらいで寝杉ん力は衰えることは...』


『自分!お目々が見えんです!!』


『自分!?、その呼称は起きてる時の!』


『強烈な光至近距離で受けて目を覚まさないはずがない。よって冴えた頭が劣化してしまい気功術も使えず...俺の蹴りも通ってしまう。』


桜兎は寝杉との距離を詰めると脚で顎を蹴り上げると顔が晒される状態になりつつ、体が少し宙に浮いた。

『顎に攻撃をする事でグッタリして無抵抗状態です!亀梨さん決めてください!』


桜兎は片脚を上げ、その脚に力を集中させると足先が微弱な光が溜まっていく。


『俺の全力を受けて沈め。Plenaプレナ inperiumインペリウム SHOTショット


脚に溜め込んだ力を蹴りで直接寝杉へとぶつけた瞬間溜まっていた力が一気に寝杉へと向かう。すると大型の乗り物にぶつかったように体をへこませ、強く鈍い音がなり吹っ飛ぶ。


『一緒にな。』


吹き飛ぶ寝杉の進行方向に出久根の姿がある。


『寝杉。危なかばい。』


出久根は特に声を張るでもなく普通のトーンでいう。すると寝杉は小さく返事をするとぶつかる手前で体から気を出し出久根を飛び越える。


『えっ...あの人あのままじゃ...』


そう香が言いかけると桜兎は香の目を隠す。寝杉は高く上昇したがそのまま降下していき火口へと落ちていった。亀梨はタブレットを開き寝杉の名前がない事を確認する。


『あぁ...そういえば寝杉起きとらん時は気のコントロールが上手うできんって言うとったっけ。力み過ぎて変なところに落ちゃったみたいね。』


『分かっているとは思うが今アンタの相方のリタイアが確定したがそれに対して何か思うことは?』


『寝とって冴えとる時は強かけん好いとったわ...でもうちを守ってくるー人なら誰だってよか...そげな兵隊さんは組織にたくさんいるけん寝杉が特別ってことはなかけん...うん、特に無かばい。』


『あの男性の持つ出久根さんへの忠誠心はとても立派なものだと先ほどの行動で理解しました。それなのに貴女はその発言は最低です...』


『仲間に引き入れたかった亀梨さんならまだしも興味も沸かないお嬢さんに言われると感に触るわ。』


出久根は首に掛けていた警笛を口に咥えると思いっきり音を出すと桜兎はその音量に思わず耳を塞ぎ香はしゃがんで塞ぎこむがそれでも頭に響く音量であった。


『っ!なんて音量だっ!とりあえず今取る行動を...』


『あっ、頭がどうにかなりそうです...』


出久根は数秒ほど鳴らし続けしばらくすると吹くのを止める。


『う〜ん、まだ音残ってますよ...軽く神経が麻痺しているみたいですね、亀梨さ...!』


振り向くと体のいたるところに鋭利な石がいくつか刺さっている状態で膝をついていた。


『いったい何をしたんです!』


睨みつけるが出久根は恍惚とした様子でいた。


『ふふふ、狙うとった事とは違けど、ばってん教えちゃるわ。うちがしたんな音ば出しただけや。』


『それだけ?』


『音ば出すためん原理は知っとーやろう。ものば振動させることで音が発生するけれど、さっきの大音量やと凄か振動が起きとるんよ。うちはその振動ばその辺の岩石に溜め込ませただけ。後は振動ん溜め込み過ぎで限界になった岩石が勝手に破裂したちゅう結果でぱげた...言い直すと壊れたばい。』


『やはり貴女の仕業じゃないですか。』


『それにしたっちゃ亀梨さん...よかばい...本当に彼女さんば守るって言葉ばやり通したんやけん大したもんばい。うちの配下に欲しか騎士ナイトっぷり...うちん体が求めとーわ...』


顔を上気し、体をウズウズさせ落ち着かない様子が見て取れる。


『おっ...織部...香...この場は引く...ぞ!』


突如香に抱きつく桜兎。


『かっ、亀梨さん!?しょ、正面から抱きつかれると歩けないですよ!?』


香があたふたしていると桜兎はそのまま横へ倒れこむ。倒れる位置には盾が置かれていて乗った勢いと山の傾斜によりソリのように滑り落ちていく。


『こっ、これが狙いだったんですね。でも逃げ切れたとしてもこのステージから出なくてどうしようも...あっ!あった!』


滑り落ちて行く先に非常口があった。


『さっき飛び上がった時に非常口を見つけた。よく分からんがあの女惚けていて隙ができたのが幸いだった。』


『そ...そうですね...』


そのまま滑ってどうにか非常口を通り現実世界へと戻って来ることができた。


『何度も繰り返しで体験してますがさっきまで動くことも厳しいくらいの傷を負っていたのに気づいたら治っているというこの現象はやはり凄いですね。』


桜兎は体の可動や傷の有無を確認していると香が手を取り引っ張ってきた。


『あの女の人が出てくる前に早くこの場から離れましょう。』


『そうですね。でしたら織部さんを最後まで送るので自宅へ急ぎましょう。今回のことは電信で報告を...』


『あっ!香ちゃん達がいたよ!』


声のする方向を見ると逆撫奏、津倉土筆、越矢子綾音、神永長門の4人が駆けつける。


『香ちゃんのお家方向にスペースが展開されてたから心配しちゃったよ。このスペースは他のプレイヤーさん?』


『僕達は今このスペースから脱出してきました。説明は後でするので今はこのスペースから離れるのが先決です。』


『なら誰かの家に集まるのがいいと思うわ。大きい敷地で道場とか広くて大きい建物がある家庭とか。そう思わない?津倉君?』


『何故こちらを見ながらその案を挙げた。まぁ、今日は親いないから問題ないしこの人数なら余裕だ。』


『じゃあ土筆の家に決まりだね。僕の事もみんなに伝えなきゃいけないし早く向かおう。』


全員が合流し目的地を決めると駆け足で津倉家へと向かうのであった。











第29部 まとめ


ウサギとカメ 技 更新


aether(アイテール) signumシグヌム

上空に限界まで高く飛び上がったあと降下する際足場を作り、それを利用して地上に向かってジャンプの容量で蹴ることにより降下速度を上昇させる。対象物にその力をぶつけると強力な一撃になる。

ラテン語 Aether→上天 signum→スタンプ


Plenaプレナ inperiumインペリウム SHOTショット

自分が出せる全力の力を一点に集中させる技。集中させた力を放つ事で強力な一撃与えるが一定時間スキルが発動できない。

ラテン語 Plena→全力 inperium→コントロール



名前 亀梨桜兎 E- book: ウサギとカメ

スキル wild ecology

詳細

兎の生態 Level6

五感 神経を集中させることにより兎の特価した五感を得る。

脚力 兎の特価した脚力を扱え、現状人並み以上の脚力を得る。


亀の生態 Level6

創造 盾または防具などを形造ることができ、現状の硬さは鉄を超える。

擬態 意識的に制止しすることにより周囲に溶け込み姿を眩ませる。動き出すと効力は失う。


solisソリス explodingエクスプローディング

aether(アイテール) signumシグヌム 更新

Plenaプレナ inperiumインペリウム SHOTショット 更新



名前 出久根木音 E- book: ブレーメンの笛吹き男

スキル horrors whistle Level5

レベルの上昇ごとに使用できる笛の種類が増え、奏でる笛によりさまざまな能力を使える。

木管

音色を聞いた対象1人を一定時間体を操ることができる。

ホイッスル

音の衝撃波を出し振動させる。音量によって振動させる強さが変わる。


使用道具

笛(各種)燻製肉(回復アイテム)



名前 寝杉常助 E- book: 三年寝太郎

スキル sleeping Acutivity Level4

睡眠を行うことにより頭脳が活性化し、思考能力が向上する。


睡眠障害

持病で強い眠気が発生する睡眠障害を患っているが出久根が紹介した医師の手術を受けることにより眠り続けている状態でも体を動かすことができるようになった。


放射剛気拳

つつみ→手や足に気を覆うことにより殴る蹴るなどの衝撃をより高める。

こばみ→人間の体内電気を気と共に相手に流すことにより痺れさせ動けなくさせる。

あぶり→生命エネルギーを集中させ、一気に放出することにより大火傷する衝撃波を出す。


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