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辛酸な過去を変えるため皆は電子書籍を更新する  作者: 彦音梟
4章救済の暴力
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敵襲


相乗効果

シナジー効果とも言われ、とある要素が他の要素と合わさる事によって単体で得られる以上の結果を上げることである。


今の時代では大変重視される事柄と言えようものである。サービス業ならばセット商品なんか挙がるであろう。大概のお店のセット商品というものは単品で買うよりも単価が少しばかり抑えられており消費者は複数の商品と共にコストを抑えての購入ができる。販売側も単品で販売するよりもセット商品として売却する方が品物の売却と処理ができ、需要と供給のバランスが良くなる傾向になったりする。


勿論相乗効果というのは経済方面だけでの言葉とは言い切れず人間に対しても使う事ができると思う。


例えば同じクラスメイトの永神長門は中性的な顔立ちの男性と言われているが童顔、低身長という風貌と仕草に雄々しさが見られない為たまに女のように思ってしまう時があり、一部の生徒は長門を『男の娘』という括りで崇め奉っているという情報も聞く。男性だが女性のようにも感じでしまう可愛い男の娘。これもある意味相乗効果と言えるのではないかと思う。



奏に腕を掴まれながら教室に入り各々机に行くとクラスメイトの男子から一枚の紙を手渡された。その紙は折り畳まれており少し警戒しつつ開くとさらに紙が入っていた。中にある紙の内容はこう。


クラス1可愛いと思う生徒ランキング

裏面にクラスメイトの中で一番可愛いと思える学園の生徒の名前を書き、受け取った時と同じように紙で投票用紙を包み手渡された相手に返却せよ。


『ALTERに関すること思ったが杞憂だったか。』


内容を把握すると警戒を解き、しょうもないと思いつつ誰に投票しようか考える為とりあえずいつも一緒にいるメンバーのことを思い浮かべる。


奏は可愛げはある方だが俺は昔から奏を見て共に過ごしてきているからどうしても兄妹目線になり贔屓目に見てしまっているかもしれん。周りから見ても仲の良い兄妹のように思われているだろうから今回奏に投票してしまうと俺はシスコンの称号を得てしまうのでは...ダメだな。


そうなると次に越矢子だが容姿に関しては誰しもが良い判定をくだすであろう。しかし外見に反して中はロクでもない。基本的に人と対峙する際は礼儀よくしているが俺に対しては何故か罵倒や中傷的な文言をちょくちょく挟んでくる。そんな奴可愛げがある訳がない...あいつはない。


織部だが特に目立つ特徴はない普通の女の子ではあるが普通に可愛いと思える女の子だ。むしろ大人しい分俺の中では2人よりも評価は高く感じるし名前を書くなら織部だろうか......


そして少し考えてから名前を書き、紙を渡してきた人物に返し席に戻ると思わず溜息が出る。


『土筆溜息はいて何かあった?』


背後には永神長門なががみながとの姿があり、その手には先程記入した物と同じ紙を持っていた。


『その紙の中を見たろ。あまり人に対して格付けやら順位をつける事が好きじゃなくてな。』


『そうだよね。僕も紙を渡されたはいいけどどうすればいいか分からないよ。土筆は誰の名前書いたの?』


『俺か?それを言うのは投票としてフェアじゃないから言わないがヒントとしては意外な人物だ。』


『えぇ〜土筆も意欲的じゃないなら適当に人気のある女の子の名前書いたんでしょう?教えてよ〜』


長門は無邪気な笑顔を見せながらゆさゆさと土筆の肩を掴んできて揺らしてくる。それを見ていた一部のクラスメイトはキターと歓喜したり羨望の眼差しを向けてくる者達がいるのであった。


ふむ、いつも思うが何故か俺が長門と話していると周囲からの視線がこちらに向くんだよな。特に長門がこうやって無邪気な事している時は見られている感が凄い。まぁ、それだけ長門の人気がある事を指している証拠である。


『相変わらずシナジーっているな。』


『?。よく分からないけどありがとう。』


前から長門が周囲から可愛いという評価を知っているし、異性の名前を書くと変に勘ぐられたりするかもしれないので俺は投票用紙に長門の名前を書いていた。



放課後になると俺は学校裏にある山林へと足を運ぶ。


『あっ、つっ君遅いよ。』


そこには逆撫奏、織部香、越矢子綾音、亀梨桜兎が既に来ていて土筆を待ちわびていた。


『済まなかったな、長門と中々別れることができなくてな。』


『津倉君と永神君は友情以上の仲と僕のクラスでも噂で聞いたことがあります。よく分かりませんがツク×ナガのカプがイイとか逆もまたイイとか。』


『亀梨君、あまりその手の言葉は世間では口にしない方がいいと思うわ。意味も知らない方が貴方の為と忠告しておくわ。』


『それより今私達が話してたことですが津倉君は昨日のALTERからのメール読みましたか?』


『日付の変わる直前に来ていたメール...昨日のうち...いえ、半日ほどで50人以上のプレイヤーがリタイアというのは私達にとっても脅威になりえることよ。津倉君はこの状況をどう捉えているかしら。』


『例えばだがプレイヤー達が集まってこの期にプレイヤーを狩っているとか。』


『根拠は?』


『ALTERからの通知メールだ。いきなり大人数のプレイヤーが減る報告メールが送られることによってプレイヤー達に恐怖感や緊張感を感じるんじゃないかと。』


『なるほど、そういった心理的に動揺を誘うのも考えてもいいわね。』


『あまりいいものではないですね。』


『やっとすることが分かったからみんなALTERの戦いを率先してやってるんだと思ってたよ。』


『狙ってのことか偶然のことか分かりませんが警戒する必要はありますね。』


『どちらにせよそういった連中の強襲にも対抗できるように今日は連携をとる練習しておこう。』


『私達のチームは強いスキル持ちだらけだから大丈夫ってメイジーが言ってたもん!』


『そういえば電信で繋がってる間はパートナー同士もコミュニティで繋がってお話しをしたと輝夜が言ってました。』


『俺桃太郎からそういう報告聞いてないんだけど...』


一旦話を切り上げ土筆達は集まるとスペースを展開させパートナー達と1つになる。


『やはりお前だけ姿が異様だな。』


黒色の鎧を見にまとった綾音を見て言った。


『この鎧は私専用で売られていたから買ったのよ。防御目的もあるけどこれを装備すれば私のプロフィールの表示を変える事ができるのよ。名前とかE- bookのタイトルとか。』


『あっ、本当だ。名前は黒騎士ってあるし持っている本もunknownってなってる。』


『そういえば前にこの姿の越矢子を見た亀梨が放浪する漆黒....』


『この鎧は軽めだから機動力を奪われることはなく、相手に名前とか本のタイトルもバレないから相手にスキルの予想も経てられなくて済むわ。』

綾音によって発言を遮られる。


『亀梨は以前にもあいつと面識あんの?』


俺は少し考え亀梨に小声で話しかける。


『僕が戦闘をしている最中に割り込んできて敗れてしまいましたが、その時は彼女が見逃してくれたので助かりました。その時の名前が放浪する漆黒のロビンフッドでした。』


『なんかネーミングセンスが少しアレだな...変更したのも少し恥ずかしかったんだろうな。』


『何をコソコソ話しているの?』


『えっ、あぁ〜、別に。ただ情報を非公開にできるのは羨ましいと話していただけだ。』


適当に話を終わらせようとしたが、綾音の目つきは勘ぐるような感じになっていた。


『とっ、とりあえず練習を始める前に簡易的にスキルの紹介をしましょう。僕のE-bookは『ウサギとカメ』でスキルは強化脚力を持つ兎のクニーと硬質化を持つ亀のテストです。クニーは足の筋力を強化することで機動力と脚力の向上し、テストは亀の模様をあしらった金属製の防具を創造できます。防具の他は兎と亀になら造形できます。一応兎と亀の身体能力も一部使えますが主に攻めつつ守ることができる戦闘スタイルです。』


『攻撃と防御を兼ねているのはいいスキルね。』


『俺のE- bookは『桃太郎』でスキルはお供となるイヌ科、鳥類、サル目を呼び寄せることができ、それぞれ喇叭、旋律、琴と名付けている。レベル毎に召喚できるサイズが決まり、個々で能力を持ち、戦闘より補佐的要素が強い。』


『喇叭は嗅覚での索敵、俺とお供間での意思疎通を計る繋ぎ役。旋律は俯瞰的な探索と旋律の目をリンクさせることでその光景を俺も見ることができる。琴は俺と同じ程度の筋力を持っている。しかし今後レベルを上げていけば俺以上のパワーを発揮できるらしい。召喚できる範囲は俺の視界内にあることだ。これは旋律と視界をリンクさせた状態でも可能だ。』


『貴方一人でも充分強いだろうし補佐のスキルが丁度いいんじゃないかしら。』


『私は『赤ずきん』を持ってて裁縫ができるよ!今できるのは手から糸を出して自由に操れることだけ!糸で相手を捕らえたり自由に貫通させたりできる特殊な物となります。経験値は溜まっているけどまだレベルアップしたことありません!』


『それも補佐寄りのスキルになりそうだけどレベルを上げたら変化するかもしれないわね。』


『私のE- bookは『かぐや姫』で発光、魅了、一定範囲の重力を変えることができます。発光は一瞬の強烈な輝きを放って目眩しをさせ、魅了はステージ内の動物達と仲良くなって言うことをきいてもらうことができます。重力に関しては息を止めている間に一定範囲の重力を減らせます。』


『香織も補佐寄りのスキルだから決めてとなる攻撃か連携を高める事をしていきたいわね。』


『最後に私だけどE-bookは『ロビンフッド』で弓を主体としたスキルで矢を放つ際に分散、爆発、状態異常などの特殊な力を矢に付与することができるわ。』


『遠距離支援というのは戦略的に優位に立つことができるから素晴らしいな。』


『次にスキルを見せ合いそこから気づける事を言い合ってみましょう。スキルの上達に繋がる事や弱点と思われる事、連携になるスキルの組み合わせなどどんどん挙げていきチーム戦力を向上させましょう。』


俺はスキルを見せてもアドバイスをもらえることもないので遠くで風遊桃【季】の素振りなどの剣技の練習をすることにした。奏と香と綾音と桜兎もスキルを披露させたりさせそれぞれのスキル強化と連携の取り方の話し合いを行っていく。


『だめだ。この刀振るう度に風を纏うから軽過ぎで全然振り抜けない。』


一通り自分の剣の型で素振りをしていたが改善の兆しがみえず皆の元に戻ってきた。


『あっ、つっ君お帰り♪』


『強風だけでも鬱陶しいのに元凶まで来たの。』


『まぁまぁ、綾音ちゃんも津倉くんを煙たがらないであげてくださいよ。』


『この間僕と戦った時は充分扱えていたと思いましたよ。』


『あの時は偶然風遊桃との相性が良い技を出しただけだ。普通に振るうと風を纏って勢いが強くなり過ぎて体も持っていかれそうになる。』


『つっ君が竹刀を握ってるいる時と同じだね。』


『貴方は力強く振っているけどその武器を全力で振らずに操れる程度の力加減で扱えばいいじゃない。あと振り下ろすのなら足で踏ん張りやすく体持っていかれたりしないでしょうから全力でもやっていいんじゃないかしら。』


『ん、手加減して扱うか...武士道精神というかあまり手加減というのは好かないな。しかし試す価値は確かにある。』


『なんか風を起こす刀とか半妖妖怪の物語思い出すね。こう、上段からの振り落しで風の刃を放つの!』


『あ〜それかっこいいね。津倉君試しにやってみてはどうですか?』


せっかくの案なので試しにやってみることにした。適当に振ると風遊桃に空気が集まっていくのが分かる。ある程度集まってくると上段の構えに入りそのまま一気に振り下ろす。切っ先が地面に触れる瞬間に強靭な風がおこり地面を大きな音を立てて壊していった。


『軽く集めただけでもポッカリと大きな穴が空きましたね。』


『すごい!すごい!つっ君普段専用の木刀でも強風起こしてたのに地面を壊す域に達しちゃった!』


『決め手になり得る技ができたみたいだし津倉君は手抜と今の技をもう少し扱えるようにしなさい。奏は私と一緒にレベル上げてからの新しい力の練習で香と亀梨君は連携を取れるように練習よ。』


各々は綾音の指示通りに別れて練習を開始する。


〈香&桜兎〉

『では私達はこの辺で練習をしましょう。』


『織部さん頑張りましょう。僕達が今のところできる連携は織部さんのグラビティーカットと僕の強化脚力での連携です。話し合ってみたように早速やってみましょう。』


『私もスキルのレベルが上がったので1/2まで重さを減らせるようになりました。それではいきます。』


香が息を止めると一気に重みが減り範囲内にいた亀梨も影響を受けたのか自分の体を確かめ近くにあった岩石を持ち上げる。


『なるほど両手で抱える必要がある重い岩も、ある程度の力で持ち上げることができますね。しかし範囲内にいる僕も影響を受けて体重の乗らない脚力になってしまいますね。』


桜兎は空を蹴り脚力の低下を確認する。


『織部さん一つよろしいでしょうか?』


『んーんんんんんん?(どーかしましたか?)』


『すみません、呼吸止めているのでしたね。ではそのままの状態グラビティーカットの範囲を狭める事はできませんか?できればスキルの範囲をこの岩石にだけに狭めるのです。』


香はコクリと頷くと集中力を高める。すると亀梨の体感の重さが戻り岩石は軽いままであった。


『慣れてないスキルの操作なのにあっさりできるとはさすがです。ではいきます!』


岩石から手を離しおもいきり蹴ると遠くへ吹っ飛んでいった。


『ふぅ、落下速度が遅い分普通の岩石よりは断然蹴りやすいですね。しかしグラビティーカットの効力範囲にある岩石を蹴ってもスキルの影響を受けてしまい蹴りの威力も半減しましたね。なので岩石に僕の足が触れる直前でスキルを解除する方針にしましょう。』


『はぁ、はぁ、スキル使用中からの強弱の操作は初めてで大きく変化させると少々疲労があります。』


『少し息を整えてからまたやりましょう。さっきみたくスキルの範囲を小さくしたり逆に大きくする練習、スキルを解いて連携を取るためのタイミングを計るなどしておきましょう。』


『はい、分かりました。』


〈奏&綾音〉

『私達は奏のスキルの向上をメインにやっていくわよ。その前に改めて貴女の出来る事を教えてもらえる?』


『私は手から糸を出すことができるよ。結構頑丈で引っ張っても千切れにくいけど刃物とかの鋭利な物には弱いの。次に新しくできる事は出せる糸の種類の追加と出せる糸の長さが増えた事とくっ付けたものを操る力と武器に待ち針と針刺しっていうクッションが追加されたよ。』


『一気にレベルが上がるとできることも多くなっていいわね。まずは武器について把握しておきましょう。針刺しを出してから待ち針が何本あるか数えましょう。』


『分かった!』


奏はソーイングセットに触れた後、両手を合わせる。そして一気に手を広げた瞬間手の中から大きなクッションが出てきた。


『出し方が手品みたいね。それに触り心地もいいわ。』


『私が念じてこうやって端の部分を引っ張ればサイズも大きくなるよ。』


実際に引っ張ってみると一回り大きくなった。

『待ち針っていうより人を駄目にするクッションって言った方が適切な気がするわ。』


『それじゃ、あるだけの針を出していくよ。』


手の平から大きな待ち針が現れると針山に刺していく。どんどん刺していくと針山には刺せる場所が無くなってしまう。


『この針は無限に生み出せるのかしらね。このクッション針だらけで丸まったハリネズミ又はたわしみたいになったわ。』


『終わりが見えないしこれの検証はもういいんじゃない?』


『仕方ないわね。じゃあこれらはしまって次に移行よ。』


刺した待ち針に触れるとポンっと消える。全ての待ち針を回収すると針山も同じように消した。


『随分と簡易に道具の出し入れが可能なのね。それでは次は糸の限界を把握しましょうか。出した糸は私がまとめていくからどんどん出していきなさい。』


『分かった。』


奏は一本の毛糸を手の平から出していき綾音がそれを巻き取っていく。


『なんかやってることがただの手芸みたいで修行でもなんでもないような気がするね。』


『貴女の能力を把握するためにやっているのだからこの毛糸玉を作る作業も必要な工程ではあるのよ。』


『分かってるけど、時間掛かりそうだしもっと早く出していい?。』


『早く出されても私が早く巻くことができないと思うから一定の速さでお願い。』


『は〜い。』


不貞腐れながらも奏は毛糸を出し綾音が巻きとる作業を行い淡々と時間がすぎていくと綾音の膝に乗り切れないサイズの毛糸玉が2個出来上がる。


『奏、一旦止めましょうか。』


『あっ、やっと終わり?』


『これも際限が分からないから主旨を変えましょう。』


再び奏に毛糸を出してもらい今度は形作っていく。三角形の物だったり楕円形の物だったりと複数用意する。


『綾音ちゃんこれは何を作ったの?』


『私がこれらを球体にあてるから奏は糸で繋げてちょうだい。』


綾音の指示通り繋いでいくととある形に出来上がった。


『あっ!クマさんだ♪綾音ちゃん上手だね♪』


『せっかく巻いたのだから何か作らないと勿体ない気がしてね。これは奏にあげるわ。』


『いいの?綾音ちゃんありがとう。この子は名前を付けて大事にするよ。』


『じゃあそのままその子を使ってもう少し貴女の力の開拓をしていきましょうか。』


『はい!』


こうしてそれぞれが修行に励んでいると時間が経ち全員が最初にいた場所に集まった。


『皆さん修行の成果はどうですか?僕と織部さんは結構連携が成り立ってきたところです。』


『もう少し私が力のコントロールをできていれば修行も捗った気がしました。』


『こちらは修行というより奏の力の把握にあったからそこまで修行といった事はしてないわ。』


『最初は少し退屈だったけど後半は楽しかったよ。』


『俺の方は手抜きならどうにか風遊桃を扱える。あと、上段の他に突きなら全力で振るう事ができるようになった。あと経験値が溜まってたからレベルも上げておいた。』


『みんな今回の修行でいい経験値を得たようね。もう外は薄暗い時間帯だろうから帰りましょうか。』


『じゃあみんなで脱出を押そう。』


全員で脱出をタップすると現実世界へと戻る。

『じゃあ、俺は奏を学生寮まで送っていく。』


『私は寄るところがあるから一人で帰るわ。亀梨君は香を送っていきなさい。』


『分かりました。織部さん参りましょう。』


『はい。みんなお疲れ様でした。』


『みんな気をつけて帰ってね♪』


別れの挨拶をすると各々は歩き始める。


〈土筆&奏〉

『学校に到着だな。今日も寮までついて行くからな。』


『ALTERが始まってから心配性になったね。さすがに学内なら安全だよ。』


『既にこの学園にはALTERのプレイヤーが5人もいるんだから他にいる可能性も考慮し警戒する必要がある。』


『でもALTERの資格って辛酸過去を持つ人間だしなかなかそういった経験を持つ人なんていないと思うけどね。そういえば私はつっ君の辛酸な過去って知らないや。』


『辛酸な体験の話なんて普通話たがる奴なんていないし聞こうとする奴もいないだろう。』


『そっか〜…私のReStartをつっ君知ってるから私もつっ君の知っておこうかと思ったけどやめた!聞いても空気が重くなるだけだし。』


『そうしてくれ。よし、寮に着いた。』


『いつもありがとね。バイバイ!』


土筆は奏と寮の前で別れそのまま帰路に向かう。


やはり奏は俺の過去に興味を持ってしまうか。しかし正直あいつにはバレたくはない。俺の家族に妹が存在していたこと。特にその姿を。


物思いにふけつつ歩いていると目に入るものがあった。


『ん?あれはスペースか?』


既に展開されていたスペースがあり周囲を警戒しつつ中にいるプレイヤー名を確認する。


『まさか!』


中にいる人物達を確認すると土筆もスペースの中に急いで入り一定時間暗闇が広がる。暫くして明るさと暑さを感じるようになり目が開けられると砂漠地帯が広がっていた。周囲を見回すと2人のプレイヤーが確認できた。


『どうやら乱入者は近くに来たみたいだべが...あれ?なんか見たことあるプレイヤーの1人だべ。』


『丁度ウチらが相手するやつじゃん。アイツを倒す任を受けた事忘れてるんじゃないじゃん。さっきのチビとまとめて片付けるじゃん!』


知らない二人組だが相手はこちらを知っているようであった。


『なぁ、今あんた達俺を見て倒す任って言ったけどどういう事だ?』


『大したことない話だべ。だからお主に話す必要性もないべ。』


『そうそうウチらの組織があっちコッチに団員を寄越してはALTERプレイヤーを狩ってるっていうのを言う必要はないじゃん!』


『だべ。』


ん?言ってね?


『じゃあ、あんた達は俺を倒した後は他のやつを倒しに行くのか?』


『それも語ることなかれだべ。』


『そうじゃん!この地域のウチらの担当はあんたとちっこい嬢ちゃんじゃん!あとの奴らは別の担当が既に向かっているなんて言うわけないじゃん!』


『だべ。』


コイツら漏れ漏れなのが分かってねぇ。てか今結構重要なこと言っていたぞ。後の奴らは別担当が既に向かっていると。さっさとコイツら倒して安否の確認をしなければならない。見るに少し疲労しているように思える。このフィールドの暑さともう1人のプレイヤーと戦いで疲弊の所為か?ならばチャンスだ。


土筆はE-bookを開き敵の情報を開示しランボを体内へ入れる。


『じゃあそろそろ戦おうか。『鹿になった猟師』の柿木田桔梗かききたききょう『ピノキオ』の反町切丸(そりまちきりまる)


『先手必勝じゃん!』


柿木田は砂に両手を押し付けると何か呪文のような言葉を発する。すると砂がどんどん形作られ2匹の子犬が出来上がる。


『ん〜2つだけじゃん。暑いのと疲れで集中できなくて妖精ちゃんがあんまり呼べなかったじゃん。』


『充分だべ。いつもの作戦でいくべ!』


柿木田は大きく息を吸い込むと口を開いた。


『反町は『イケメン!』で頭が『良い!』てスタイルが『抜群!』てそして女性に超『モテモテ』な男じゃん。』


柿木田の発した言葉に反町が部分的に言葉を重ねる。


『むっ!来たべ!力が溜まってきたべ!』


突然反町の体にオーラを纏うと鼻と腕に木目のような柄が浮かび鼻の先端には丸鋸が付いていた。


『オラは自分を褒めると体がピノキオって言う木の人形のように木になるべ。今は鼻と腕だけしか変化はしてねぇけどこれらだけでも危険な兵器になるべ。』


『相変わらず勘違いが激しいけど強いから馬鹿にできないじゃん。それじゃあ特攻じゃん!行け精霊たち!アルテミスの裁き!』


柿木田の出した犬が動き出しこっちの方へ駆け出す。


『おらも行くべ!秘技!嘘の代償!』


丸鋸が回転し始め反町の鼻が伸び犬を追い抜いぬく。


『試すか。』


それらを見てこちらは風遊桃を上段の構えを取る。


『風遊の上型―カラブラン!』


刀を振り下ろすと砂漠の砂が爆発したかのように高く舞い上がる程の風が発生し反町の鼻はどんどん切り刻まれていき、砂の犬は一瞬で飛散させた。


『うわぁぁぁぁ!』


『がああぁぁぁ!』


風はそのまま反町と柿木田のいる位置まで届き2人を巻き込む。風が去ると2人の身体は切り傷だらけになっていた。


『鍛錬の甲斐があったな。』


俺の剣術は元々風を起こせるほどの勢いだ。風遊桃は振り抜けばその風にきめの細かい風の刃を発生させることができ、風の刃は刀を振り抜く勢いが速ければ速いほど鋭くなり数も増し威力を上げる。俺が全力で振り抜けば前方数十メートルは形ある物は無くせる程だ。


『だから手加減の鍛錬をしておいて良かった。必要な情報を得るには相手を気絶しない程度までに抑えないといけないからな。』


『うぅぅ...おらの鼻がバラバラに...』


『妖精ちゃん達なんて跡形も...じゃん。』


2人がどうにか喋ることは出来るようなので土筆は一先ず安心する。


『さぁ、お前達の負けだ。このままやられたくなかったらお前達の組織の話を聞かせてもらおうか。』


『うぅ、オラ達の組織はリーダーとその側近によって集められた組織だが発足したばかりで名前は無いべ。組織間で幹部を決めるということでALTERの予選が終わるまでに多くのプレイヤーを倒すことになったべ。』


『この地域には倒せば幹部になれるというターゲットがいてそいつは特に強いと言っていたから仲間を連れてやってきたじゃん。名前は聞かされていないからこの地域にいるプレイヤーを調べ担当する相手を決めて全員倒すのが目的...なんて言うわけないじゃん。』


『組織内での格付けなんかの為に狙われているというのか...そんな事で奏まで狙っていると言うのか...気に入らない。』


土筆は風遊桃を鞘にしまい構える。


『風遊の中型の鞘―......』


『まだじゃん!』


柿木田の声に反応して反町は木になった手首を外し腕から投網を俺へ発射し捕まってしまった。すると近くの砂が盛り上がり砂でできた巨大な鹿が現れた。


『ピンチになるほどウチの言葉は妖精達に届いて集まってくれる。ウチの切り札じゃん...アクタイオン!暴れるじゃん!』


鹿が雄叫びを上げると角を土筆に向け突進し始めた。

『くっ!網で刀が抜かない!仕方ないか。』


覚悟を決め角を掴む体制を取ると急に日差しが強くなり焼けるような太陽光が降り注ぐ。


『ぐっ、ぐぁぁぁ...』


『あっ、ぁぁぁぁ...』


その太陽光を受けた柿木田と反町の体から蒸気が出てダメージを受け、砂の鹿も転んだかと思うとそのまま形を維持できず崩壊する。


『この現象...焼かれている!?焼けるような暑さの日差しとその暑さを受けた砂漠で横になっていることによって体の表面が焼かれているのか。』


次第に呻き声は小さくなっていき最後には聞こえなくった。スペースが現れ2人のプレイヤーを飲み込みそのまま消えていった。強かった日差しは弱まり心地よい風が体の体温を冷ます。


『暑さによる脱水症状で気を失ったか。これが多分あいつの能力なんだよな。さて、あとはもう1人だが...』


振り返ると1人の人物が駆け足でこちらに向かって来て土筆の目の前までやってきた。その人物を見て土筆は大きい溜息が出た。


『お前までALTERにいるとは...長門。』


そこにいたのは土筆にとって学友の1人である永神長門であった。


『はぁ、はぁ、助けたくれてありがとう。まさか土筆もALTERの参加者だったとは驚いたよ。』


『その台詞はこちらも言いたいやつだ。それより大丈夫だったか?少し傷ついてるようだが。』


『怪我は大したことないないから大丈夫だよ。』


『お前の安否が確認できれば充分だ。とりあえずここから急いででよう。俺には仲間がいてそいつらも他のプレイヤーに狙われているらしい。良かったら長門も来てくれ。』


『そうなんだ。じゃあ急いでここを出よう。』


2人はE- bookを操作しスペースから出ると状況を長門に話しながら2人は今1人でいるであろう越矢子の帰り道を駆けていく。


『話によるとさっきの2人みたいな人達が逆撫さん、と織部さんと越矢子さんと亀梨君を狙っているんだね。そうなると土筆は逆撫さんの事が気掛かりだろうね。』


『いや、さっきの奴らのターゲットは俺とちっこい嬢ちゃんって言っていたから奏は問題は...ない...はず...』


『そっかだから越矢子さんの自宅方向へ向かってるんだね。。とりあえず逆撫さんは今のところ標的にされてないみたいでよかったよ。』


いやっ...待てよ...


『ん?どうしたの土筆?急に止まって?』

俺は汗を滴らせると向きを変えて駆け出す

『おーい土筆そっちは学校だよ!』


『もしかしたら勘違いをしていたかもしれない!俺はあいつらは目的を聞いたが違う意味で解釈していた。』


この地域のウチらの担当はあんたとちっこい嬢ちゃんじゃん


『そうなると何故あいつらは長門を襲っていたかだが、ただALTERプレイヤーが1人でいたから強襲をかけたと思っていたがあいつらはもしかしたら長門の性別を女と思っていたかもしれない!長門は体は小さい方だし顔立ちも中性的で可愛らしい方だから一見しただけじゃ性別を見間違えてしまう可能性が大いにありえる!そうなると今奏を標的としているやつはまだ健在していて奏が危ない!』







E-bookまとめ

桃太郎更新

summon a monkey Level2 へ更新

40㎝以下のサル目の動物を呼び寄せる

お供スキル リンクパワー【2倍】

:召喚した時の主人のステータスをサル目に反映させ、ステータスの2倍の腕力を得る。


赤ずきん更新

狼退治のお裁縫術 Level4 へ更新

レベルが上げたため専用アイテム解放

・待ち針 糸と組み合わせて使うと操作性が早くなる。また武器としても使用可能。

・針山 柔らかくクッション性が高い。

出せる糸の種類も増加

・毛糸 糸よりも太くて柔らかい素材


かぐやひめ 更新

Gravity Cut Level:3 へ更新

息を止めている間、対象物の重力又は力を3/6をカットすることができる。



名前 津倉土筆 E- book: 桃太郎

スキル The Trio

イヌ(喇叭)Level4 : 40㎝以下のイヌ科

お供スキル 嗅覚 以心伝心

トリ(旋律)Level3 : 35㎝以下の鳥類

お供スキル 視点連結

サル(琴)Level2 :40㎝以下のサル目 更新

お供スキル リンクパワー【2倍】

使用道具

風遊桃【李】



名前 逆撫奏 E- book: 赤ずきん

スキル 狼退治のお裁縫術 Level4 更新

使用道具 更新

糸(糸.毛糸)・待ち針・針山

アイテム

熊のヌイグルミ【毛糸製】



名前 織部香 E-book かぐや姫

スキル Natural Gift

月光 Level:4

体全体から発光させることができる。

Gravity Cut Level:3 更新

息を止めている間、対象物の重力又は力を3/6をカット

魅了

生物を魅了し従える



名前 柿木田桔梗 E- book: 鹿になった猟師

スキル アルテミスのお供 Level3

妖精に呼びかける事により力を貸してもらう能力。思いの強さにより妖精が助けてくれる数も変動する。


妖精は下記の能力である

妖精は動物に変化して手助けしてくれて地形によって属性が決まる。

変化できる動物は妖精の数で決まる



名前 反町切丸 E- book: ピノキオ

スキル 嘘の破壊力 Level3

嘘をつく事により体が木になり鼻を伸ばせるようになる。さらに嘘を重ねる事により体のパーツに武器や刃物が搭載されていく。

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