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辛酸な過去を変えるため皆は電子書籍を更新する  作者: 彦音梟
3章亀毛兎角の罠
20/25

共闘


『どうかしら、私が紗倉ちゃんと仲よかった事を知った感想は?』


『越矢子が紗倉と仲が良かったというのは以外......でもないのかもな。』


『あら、驚く様を見れると思ったのに納得していそうな顔ね。』


『ああ、紗倉は俺が幼稚園を卒業するぐらいから言動が回りくどかったり語彙力が長けていたり、いつからかカリスマ性を見せてきて完璧な人間を装っていたその様が今のお前に似たものを感じる。疑問なのはどういった経緯で出会ったかが謎だな。』


『津倉くんとあの子は普段からずっとくっついていたのだからそれ以外の場所で可能性を考えてみなさい。』


となると離れている時間帯か...家で紗倉が自分の部屋にいる時か幼稚園にいる時くらいで...後は俺にべったりじゃね?


『ダメだ。全く分からん。』


『なんで気づけないのよ。私は紗倉ちゃんと貴方と同じ幼稚園でさらに貴方とは同じクラスだったし貴方の自宅にもお邪魔させてもらったこともあるのよ!』


『え!?そんなまさか!俺はお前の事なんて見た事ないぞ!』


『貴方はお絵かきの時間などの座ってする作業の時は誰と話しもせず、いの一番に終わらせてはよく眠っていたし、歌とかの立っている時なんてほとんど目を閉じていたわ。もしかしてあれって寝ている状態で、歌とか無意識下で歌っていたのかしらね。奏ちゃんの兄と知っていたから貴方を見てたけど目が開いていた時間が殆ど無かった気がするわ。毎日奏ちゃんの相手をしているから疲れていたのだと分かっていたけど、それでクラスの子を誰も覚えていないんじゃないかしら。』


『そんな事.......あるな。正直クラスメイトの大半の名前を覚えていない。』


『はぁ...紗倉ちゃんに振り回されてばかりの人生だったわね。』


『まぁそれは仕方ないことだ。妹っていうのは兄の事を大好きで仕方ないらしいからな。っていうかなんで眠たがって理由が奏のブラコンっぷりのせいだと思うんだ?』


『紗倉ちゃん本人からどんなことをして過ごしているか聞いていたからよ。あさから晩までご苦労様だったわね。』


『...あいつは越矢子に何か口走っていたのかよ。これ以上は思い出話すると嫌なことも知りそうだしもう帰ろう...墓参りも済んだことだし。』


『もう?せっかく紗倉ちゃんに会いに来たのだから、もう少し話をしてもいいじゃないの。それともお墓は苦手な場所かしら。』


クスクスとわらう綾音に対して土筆は口を開かずだんまりだった。


『いつもみたいにツッコミとか反論をしてこないと困るのだけれど...何かあった訳?』


『...紗倉が亡くなった事件は知っているか?』


『......知っているわ。それで?』


『......つい最近聞いた事なんだが紗倉が亡くなった幼稚園の火災の原因が...どうやら紗倉本人にあるらしくてその事を思うと俺の知る紗倉じゃないみたいで墓石から逃げたくなってしまっている。』


『...津倉君...貴方...』


土筆は悲痛そうな表情になっていく。


『俺の知っている紗倉は......良い子で大好きだった妹は実は偽りで...裏では罪深い事をしていた奴だったと思うと...俺は騙されたのかと思うと...ここには長くはいたくないんだ......』


俯いていると唐突な痛みを感じ目を開くと綾音が手錠とは逆の手で土筆の頬を抓っていた。


『お馬鹿さんね。誰に吹き込まれたか分からないけれど紗倉ちゃんが火災を引き起こそうと企てる訳ないでしょう。』


『しかし、紗倉が火災の原因である花火の許可を申し出たとか、もう1人の被害者の靴を持っていたとか、あの事件の真相を調べ尽くした奴からの情報なんだ!だったら信じるしか...』


『そんな第三者の断片的な情報の寄せ集めた考察を聞いて物事を決断するのは止めなさい。貴方は事件の全貌を知る者から聞いたわけではないのだから動揺していたとしても、もう少し情報に懐疑性を持ちなさい。 とりあえず津倉君の聞いた事件の内容を教えてもらえる?』


土筆は亀梨に聞いた事を綾音に話す。途中で目を細めたりして何か言いたそうであったが口を挟むことなく話をすることができた。


『今言ったことが事件の内容だが、間違っている点でもあるのか?』


『その聞き込みをした人物は聞く相手を間違っているわね。偽りの証言を聞かされたかもしくは曖昧な証言を聞いたかのどちらかね。』


『そ、そうなのか!しかし、何故越矢子にそんなことがわかるんだよ。』


『私は事件当時にお泊まりに参加していた小学生の女の子よ。火災の現場のにも立ち入った重要参考人になり得る者よ。』


『何!?』


『貴方の話は間違っている点もあるから、私が真相を教えてあげるわ。』


『あぁ、頼む。』


先程まで暗い表情をしていた土筆もこの時は明るみを見せていた。その表情を見て綾音も安堵する。


『火災の要因に繋がる光景を目撃したところから説明を...』

『津倉君、どうして君がこんな日に、こんなところにいるんですか?』


突然声が聞こえ振り向くとそこには亀梨桜兎がいた。


『君とバッティングしないように今まで彼女達の命日より早く墓参りをして気を使っていたというのにとうとう出会ってしまいましたね。』


亀梨は手桶に花と柄杓、線香や蝋燭を手に持っていた。


『俺はここの園長の計らいで紗倉の墓をここに作ってもらったがまさかお前の妹もここにいたのか。』


『ちょうど良い。この場にいるのですから詩音に見てもらいますよ。津倉君の野望を阻止する光景をね。』


『津倉君、あの人は同学年の亀梨君よね?なんか怖い顔してるしもう帰りましょうよ。』


グイグイと手錠に引っ張られるが土筆は動こうとしなかった。


『亀梨!越矢子はあの時の事件の被害者だった小学生で事件を一番近くで見ていたらしい。お前の調査と相違点があるらしいから彼女の証言を聞いてやってくれないか。』


『えっ!?』


『俺もこれから教えてもらおうとしていたところだったんだ。さぁ、越矢子頼む。』


『そうね、紫音ちゃんは亀梨君の関係者だったわね。じゃあ話させてもらうわ。』




〜回想〜お泊りの日

当時小学生になったばかりの私は奏ちゃんにお願いされてお泊まり会に参加した。ある時お手洗いに向かう為に廊下を歩いていると隅の方から女の子達がいて、紗倉ちゃん、智恵ちゃん、智恵ちゃん、智恵ちゃん、詩音ちゃんと分かり、つい隠れて聞き耳を立てる。


『残念だけど花火の許可はおりなかったわ。当園の催し物で用意しているプログラム...ようはお泊まり会の予定にない事はできないと断られてしまったわ。』


『え〜せっかく持ってきたのに残念ですぅ。』


『やれなくて悔しいのー。』


『し...仕方ないね』


『...』


『さすがに火を扱うのですから大人である先生についてもらわないといけませんから相談しましたがダメと言われた以上花火は実行できませんので諦めましょう。それでは私は教室へ戻りますので、これで。』


そのまま紗倉ちゃんはその場を立ち去る。紗倉ちゃんの幼稚園児っぽくない対応に私はおかしくて静かに笑っていると集っていた少女達の会話が再開された。


『あのですよ!だったら詩音達だけで花火やるですよ!』


『あっ!そうするといいですぅ。』


『いや、でも大人の人がいないと怖いのー。止めた方がいいのー。』


『わ…私も...智恵ともえちゃんと...同じで...怖いです!』


『どうやら邪な企ては決行しないみたいね。そうと分かれば用事を済まして教室へ戻りましょう。』


花火をしようと画策していたグループらしいが許可が降りなかったらしくこのまま解散する流れになりそうなのでお手洗いを済ませ、教室へ戻るといの一番に紗倉が抱きついて来る。


『お姉様!就寝前にたくさんお話しましょう!』


すると遅れて他の子達も寄って来ると遊んだりお話をした。ある程度時間が経つと4人の少女達も教室に戻って来る。ふと鼻に違和感を感じたが子供達に囲まれてしまい気がかりだった事はすぐに忘れてしまい次第に就寝時間が近づいてきた。


『そろそろ寝る時間だからお喋りは終わりね。』


『そうですね。お姉様と過ごす初めての夜なので時間を忘れてしまいました...後は布団の中でのお楽しみってことですね。』


『私を慕い模倣するのであればもう少し品のある言い方をしなさいよ。言葉の勉学に勤しむのはいいけれど余計な表現力まで培ってしまっているわよ。』


『確かにお姉様を目標に学んでいますがそこから自分の個性も伸ばしていこうかと思いるのです。だからこれからもお姉様をお手本にしていきたいので行く末を見守らせていただきますね。』


『基本的に見られても恥ずかしくない姿勢で過ごしているけれど宣言されるとプレシャーを感じるわね。うふふ。』


『そう感じさせない振る舞い...さすがです。』


就寝する際2人で1つの布団を使う決まりで紗倉は当然のように一緒の布団で寝付いていた。



『...んん...んっ...重い。』


目を覚ますと少し時間が経過していたが外はまだ暗く共寝していた者が乗っかっていた。


『そういえばこの子たまにお兄ちゃんの布団に入り込んで寝てるって言っていたけど添い寝したらこのスタイルになるかしら。』


どうにか紗倉ちゃんを降ろすとふと気づいたことがあった。


『なんか熱いわね?それに...何か...焦げ臭い...まさか!』


寝ぼけていたのが急に覚め急いで外に出て後方に向き直ると煙が高く立ち込めていて業火の炎は幼稚園の屋根全体に回り今にも建物全体を飲み込んでしまうかのようにも思える勢いだった。


『あの4人の子達ほんのり火薬臭いと思ったけどひっそりやっていて火の始末ができてなかったのね!いけない!中の人を!』


中に戻ってすぐさま先生達を起こし迅速な対応で避難作業が開始された。


『ふぅ、最後にいた子も脱出したみたいだしこれで避難は完了みたいね。大野おおの先生は警察、消防、の方に連絡を、中田なかだ先生と小畑こはた先生は人数の確認と生徒達が落ち着ちつくよう声を掛けるようお願いします。』


『分かったわ。』

『了解よ。』

『はい!』


やるべき事を指示してとりあえずひと息つくが休む暇もなく問題はやってくる。


『お姉様!智恵ちえちゃん、智恵ともえちゃん、智恵ちけいちゃん、詩音ちゃんの姿がありません。』


先生方が人数を数えると27人いて確かに4人がいないのが分かると先生達は室内や外を探しに生徒達の側を離れる。


『お姉様、こんな夜更けに出歩く理由なんてお手洗いくらいではないかと。』


『そうね、とりあえずはそこに向かうべきね。みんなは危険だからここで待っていなさい。お姉ちゃんは先生達と一緒に見当たらない子達を探して来るから。』


手洗い場まで行くと既に出入り口は崩れていて、その近くの教室から女の子達の泣き叫ぶ声が聞こえたのでハンカチで鼻と口を覆う。ドアを開けるとそこには女の子が3人が泣いていて1人小さい本棚の下敷きになっていた。


『貴方達もう大丈夫よ。まずはハンカチを使いなさい!』


『グスン...おトイレ...行こうとしたら...グスン...中から炎が出て怖くてここにきちゃったんですぅ。』


『そっ!そこの天井が本棚に落ちて本棚も倒れちゃったのー!うぇぇん!』


『わ...私達力入らなくて...そのうち中も燃えてきて...シクシク』


『そう、分かったわ。彼女は私が助けるからみんなはここから避難しなさい。』


どうにか宥めると3人の少女達は外へ出ていってくれた。すぐさま詩音ちゃんの方へ向き直り本棚に手を掛ける。


『この小さい本棚は前にも倒れたことがあって女の子1人でも持ち上げることができる筈なのだけどあの子達は恐怖で力が入らなかったみたいだしこの子の救助には役立たなかったでしょうからこれが最善ね。となると...紗倉ちゃん!ついてきてドア前に待機しているのは分かっているから来なさい!』


『お姉様、ご指示を。』


既にハンカチを装着した紗倉ちゃんが中へ駆け込んでやって来る。


『本当は避難して欲しいけど今は緊急事態よ。私がこの棚を持ち上げるから貴方は詩音ちゃんを助けなさい。』


『かしこまりました。詩音ちゃん今助けますから。』

『さ、紗倉ちゃん…ありが…とぅ...』


棚に手を掛け力を入れていくと棚は徐々に上がり充分な間隔が開き紗倉ちゃんは詩音ちゃんを棚の下から助け出す。その後、私が彼女を背負い避難の準備が完了する。


『詩音ちゃん靴が片方脱げてますね。』


『私が背負うから問題ないわ。それにしても臆せず救助をこなせていい子ね。外に出たら思いっきり褒めてあげるわ。』


『ありがとうございます。しかし、急がないとこの部屋も危ないです。』


『私は詩音ちゃんを背負っていて走れないから紗倉ちゃんは先生を呼んで来て欲しいの。』


『えっ...しかし...この場に置いていくのは...』


『走れないけど出口は目先だからすぐ出れるわ。それより外に出て安全を確保をできたらすぐ詩音ちゃんの対応をしてもらいたいから先生呼んで欲しいの...できるよね?』


『...はい!』


紗倉ちゃんは分かってくれたようで駆け足で外に出る。すると大きな音を出しながら部分的に天井崩れ落ちてしまい扉周辺も崩れ塞がってしまう。


『お姉様!?大丈夫ですか!?』


『大丈夫だから早くしなさい!』


『はっ、はいっ!』


『これで多分行ってくれたはずよね。さて次は脱出口までの移動ね。』


出口側へ行くには瓦礫が邪魔していてうねるように進む順路しかなく、さらに詩織ちゃんを運びながらの作業になる。


『はぁ、はぁ、本格的に急がないと建物の下敷きになってしまう!でも体重15キロ前後がこんなに重いなんて...それに加えて瓦礫を登れる力はないから避けて通るしかない。』


天井などの瓦礫を避けながら歩み進めどうにか部屋の出口側に辿り着く。すると詩織ちゃんを下ろし瓦礫の破片を持つと窓に放ってガラスを割る。窓枠に残っているガラスも淡々と割っていきガラスを全部取り除くと詩織ちゃんと共に部屋からの脱出ができたがその際に靴が片方脱げてしまった。


『はぁ、はぁ、はぁ、今世紀2度目の命の危機だったわ。』


『お姉様!ご無事でしたか!大野先生を連れてきました。』


『綾音ちゃん、よく見つけてくれたわ。』


『はぁ、はぁ、私より詩織ちゃんの方をお願いします。』


大野先生は頷くと詩織ちゃんを運び出しこの場を離れていった。


『お姉様!ここも安全とは言えませんから早く移動しましょう。』


『頼んだことは先生を呼ぶことであってあなた自身は戻って来る必要は無かったのよ。』


『お姉様がこのような状況で人を救おうと動くのであれば私も習って救うまでです。今のお姉様はお疲れでしょうからお助けします。』


『そう、それはありがたいわね。』


隠しきれない程の疲弊を感じ立ち上がろうとした瞬間それは起きる。


『お姉様危ない!』


紗倉の声が聞こえその方向を向こうとした途端に力強く押され抵抗もできず吹き飛ばされる。


『な、なにが起き...!?』


再び目を開けてみると頭部から出血をした紗倉がいて瓦礫が乗っかり下敷きになっていた。


『うそでしょ...』


ゆっくりと歩み寄り頬に触れると紗倉は目を開けてくれた。


『おねえ...さま...よかった...』


『なんでこんなこと...私を助けたりしたのよ...』


『...おねえさまは...わたしのあこがれ...そのしょうがいを...みていたかったから...』


『そんな怪我したら死んでしまうじゃない!今後のわたしの生き様を見たいと言っていたのだから貴方も生きていなきゃダメよ!』


『だから...みまもります......てんごくで...』


紗倉ちゃんは弱々しく言い笑顔を見せるとそのまま目を閉じた。そんな彼女の姿を見て私は一気に涙が溢れてくる。


『...そんな、末期まつごみたいなこと言わないで!』


紗倉ちゃんに乗る瓦礫を退け安全な位置まで運ぶと応急処置などを施すなどして救急車が来るまで鋭意努力、紗倉ちゃんの人命救助に力を注いだ。しばらく経ち救急車が来ると怪我人2人は救急車に乗せられ治療の為病院へ連れていかれたが紗倉ちゃんは手遅れらしく検死の為病院から警察へ運ばれることになった。


私の方は紗倉ちゃんが亡くなってしまったショックで記憶障害を起こし、事件の記憶に関して忘れてしまい警察の聞き込み捜査の時には協力ができず真相は誰にも知られることはなかった。



〜回想終了〜


『高校生になって私は当時の記憶を思い出したのだけど誰にもこの話をしていないわ。以上が私の知る真相になるわ。津倉君から聞いた話ではいくつか相違となる点があったはずよ。』


『そ、そんな...花火を行っていた者の中に詩音が含まれていたなんて...そういえば紗倉さんは詩音が履いていた青い靴を持っていたと聞いていますがそれはどういうことなんです?』


『紗倉ちゃんが持っていたのは私の靴よ。多分同じ青色の靴で手で覆うように持っていたから見えなかったんじゃないかしら。』


『...僕は聞き込みをすることによって誤った情報を得てしまい、しかも誤報を信じて津倉君を傷つけて野望を砕こうとしていたということですか。慙愧に堪えられません。』


亀梨は膝をつく。


『...津倉君、僕をALTERの世界で負かしてください。』


『何故だ?お前はもうを妹を助ける気は無いのか?』


『助けてはあげたいですが、詩音は火災の原因を作りさらに、逃げ遅れたのを助けてもらいましたが、それで紗倉さんは亡くなってしまったのですから津倉君にとって詩音は恨むべき対象であり僕のRSリスタートは防ぎたいはずです。なので僕はALTERからリタイアします。ライバルが減った方が津倉君の為になると思いますから。』


亀梨はE- bookを取り出し操作し始めた。


『亀梨君待ちなさい。負かすとか暴力行為がこの場で行われるなら見過ごせないわ。津倉君帰りましょう。』


綾音がその場を離れようとする。しかし土筆が彼女の腰に腕を回してきて去ることをさせずにいる。


『ちょっと津倉君!これはセクハラに値する行為だと思わない!?私の柔肌にベタベタ触りまくったって学校の噂にするわよ!』


『お前の考える事なんて起きないからジッとしておけ。あとこの手錠とか明らかな悪用だしここまで俺を連れてきたこともハラスメントのようなもんだから噂立ったら越矢子は拘束具を人に強要する人間と噂を広げるからな。』


『越矢子さんは心配する必要はありませんよ。貴方には影響受けない現象ですからね。』


操作したE-bookからスペースが出てきてこの場にいるものを飲み込む。土筆が目を開けると目の前には亀梨が立っていた。


『バトル用のスペースが展開されました。ステージは廃墟です。1分後にステージが生成が完了し戦闘が開始しますので準備をを整えてください。』


『時間がきたらフィールドが完成しますから一思いに切りつけてください。』


亀梨は近づいて来るとE-bookを土筆に渡してきた。

『ひとつ言っておくが俺は別に紗倉の事や襲って来た事については恨んではいない。』


『え?』


『詩音のグループが起こした火災が原因で紗倉は亡くなってしまったかもしれないが紗倉は元々他の生徒と一緒に避難はできていて一度助かっている。ただ越矢子が救助に出向いたから紗倉もその跡を追っていったという訳だから自分の所為だろ。理想の女性像である人物が救助に行こうとしているんだから自分もその背中を追いかけたくなったのだろう。結果的に亡くなってしまったかもしれないが紗倉本人が行動し起きてしまった結果なんだから俺は詩音達のことを恨む気はない。一度助かっても他の人を救う為にまた現場に向かうその正義と勇気に感動を...俺の知る紗倉がやはり良い子であった事が再確認できてとても嬉しい。再び紗倉の為にALTERを勝ち抜こうという気持ちを持つことができた。』


土筆は心から安堵した表情をしていた。


『ですが勘違いから始まったこととはいえ僕は津倉君を襲って倒そうとしました。』


『間違いなんて誰でもしてしまうことだしその件については俺はお前を憎んでいない。』


『そう、ですか...では、君は僕の事を許してくれるという事なんですね?』


『まぁ、許さないけどな。』


『えっ!』


ブゥゥゥーーー!

『試合を開始してください。』


試合開始の合図が鳴る響くと土筆はランボを発光体にして体に入れた。すると風遊桃が装備され、頭身を亀梨に向ける。


『紗倉達の事件に関して亀梨が俺にした事を許しただけだ。許していない案件もある。』


『な..なんでしょう?』


『小太里三の件だよ。織部を傷つけたことも許せない類だが勘違いから始まったことではあるしまだリタイアしていないからその件はとりあえず不問にしておくが小太のALTERをリタイアさせた件は許せない。俺の仲間の1人である者に対しての贖罪を今ここで果たさせてもらう。』


『織部さんに関しては本当に申し訳ないと感じています。ですが小太さんですけど確かにお話はしましたけど戦闘はしていません。』


『何っ?』


『小太さんと津倉君が戦闘後に睦じくしていたので僕は彼女に近づいて君の情報を得ようとしまいた。その日は人が周囲にいたので再度会うためにアポイントを取り付けて解散しました。ですが小太さんは会合の場には来てくれずにドタキャンされて終わりました。小太さんとはその一度しか会っておりません。』


『じゃああいつは..他の誰かに。』


『多分その説が正しいですね。』


小太を襲った犯人が亀梨じゃないと分かり刀を鞘に収める。


『有らぬ疑いをかけてすまない。そうなると俺はお前を憎む理由もなくなったってわけだ。』


『津倉君...よろしければ今後のALTERでは協力させてください。僕も同じ時代のReStartを望んでいますから協力関係になれるはずです。』


『アグリーメントだ。とりあえずここにいないで一旦脱出しよう。』


2人はE- bookを操作して脱出の操作をする。しかし転送は始まらずフィールドにも変化は起こっていなかった。


『どういう事だ?フィールド内の人物全員で脱出の信号を出せば出られるはずだが...』


『そういえばスペースに入る際に2名サイズのデュエル用ではなく多数サイズのバトル用のスペースを展開したって言っていたような気がします。』


『じゃあ、少なくても後1人この空間にいるってことになるから探してみよう。』


『見つけるって言ってもバトル用は広いですから難しいと思いますよ。』


『俺の持つ能力は戦闘よりこういう事向きなんだよ。』


土筆は自分の足元に魔法陣を出しバセットハウンドの喇叭とハチドリの旋律を呼び出す。


『まずは喇叭の嗅覚で俺と亀梨以外の匂いの探知後、旋律は喇叭から得た位置情報に向かい、3人目の発見を頼む。そして旋律の目を通して俺が琴を呼び出し捉える作戦だ。この作戦はこれからも使うと思うんで今後はプランAとする。』


喇叭は空気中に浮遊する匂いを嗅ぎ始めるとすぐに察知し土達に伝える。


『ここの出入り口か!』


旋律は土筆達のいる部屋を出てすぐに右を向くとそのまま数メートルの距離とる。


『そして旋律の目を通して俺も3人目の確認をして...って黒騎士じゃないか。 』


そこにいるのが黒騎士と分かりプランAを止め土筆は部屋から出て亀梨も後をついて来た。


『黒騎士!是非あの時の礼を伝えたかったんだよ。それにしてもすごいタイミングでスペースに入ってきたな。』


『...津倉君、あの時のタイミングではそうそう部外者が入れる状況ではないと思いますよ。とある方を除けば。』


亀梨の口振りは黒騎士の正体に気づいたようなものであった。


『え?それってどう...』


【やあ、助けが必要かと来てみたけどどうやら和解したみたいで良かったよ。それじゃあ僕はもう帰るね♪】


土筆の発言を遮りチャットの文言が現れ、黒騎士は前回の戦闘で使用したと思われるドアノブを取り出し使用する。


『くぅ〜ん』


しかしそのタイミングで喇叭が黒騎士に自分の前足をかけじっと見つめて構ってアピールをしてきた。


『きっ...きゃーーーーー!!!いぬぅぅぅぅ!!』


黒騎士が喋る際に出すチャットの画面は現れず本人であろう女性の悲鳴が響き渡りそのまま土筆に抱きついてきた。


『おっ、お前その声!』


『津倉君お願い!あの子をどうにかして!』


『えっ、あぁ...分かったよ。』


動物達を帰還させると黒騎士も落ち着いたようなので全員でE-bookを操作して脱出をすることにした。


『墓地に戻ったな。』


『スペースに黒騎士がいたことに驚きましたがその正体が彼女ならば納得です。それに津倉君に協力的だったこともね。』


『あぁ、確かに驚きはしたが、それ以上に今は感謝の気持ちの方が非常に大きいよ。』


土筆は共に親指に手錠をした1人の女性に頭を下げる。


『本当にありがとう。越矢子。』


『頭を下げるのはやめて。貴方を助けたのは紗倉ちゃんを事件に巻き込んだ罪滅ぼしのようなものよ。』


『越矢子さんは僕よりも強いはずです。なのに僕の攻撃を油断して受け、そのまま脱出したのは僕との戦闘も避けたかったからですか。』


『貴方も罪滅ぼしの対象よ。私がもう少し救うのが早ければ詩音ちゃんの命も助かったかもしれないから。』


『なら越矢子、今後はその事に関して罪悪感とか罪滅ぼしなど覚えるのは止めろ。』


『えっ...でも』


『聞いていたかもしれないが紗倉は越矢子を慕い憧れていたから救助という選択をしたんだ。その行動に対して遺憾などの否定的な感情を持つのはお前自身や紗倉の意思を否定を意味するようなものだ。俺は越矢子のそういった正義感で動ける行動力は好意をもてるしそれを否定して欲しくない。』


『こっ...好意......はっ!。』


少し呆けていたが綾音はすぐハッとするとそっぽを向く。


『し、詩音の事も大丈夫ですよ。原因は詩音とその友達にあるんですからね。』


『わっ、分かったわ。私は紗倉ちゃんと詩音ちゃんに対して疚しい気持ちは抱かないわ。』


『それを踏まえてALTERでも協力してもらいたいんだがどうだろうか。』


『私元々正体がバレないように陰で協力するつもりだったけど知られた以上は堂々と協力してあげるわ。』


『助かる。亀梨は俺を観察してたから知っている思うがここにいるメンバーとあと2人俺の仲間と仲間になり得る人物がいるから越矢子と亀梨には紹介したいんだが、ただ俺のReStartだけどその2人には隠してもらいたい。』


『それってどういうこと?』


『お前なら会えば察してくれると思う。』


『となると既に見知った人ってことね。分かった厳守することにするわ。』


『あと亀梨は小太の事も会話に出さないでほしい。小太の知人がいるから。』


『分かりました。』


『じゃあ紹介するから越矢子と亀梨は俺の家に向かってくれ。越矢子は俺の家を知ってるから案内を頼む。俺は仲間を集める為に少し到着が遅れる。』


2人を先に行かせると土筆は電話で織部香呼び出し待ち合わせをして共に津倉家へと向かった。先に到着していた越矢子達だったが案の定奏が土筆の部屋へ通していた。


『待たせて悪かったな。』


『つっ君お帰り...えっ!今度は香ちゃん!?つっ君また女の子を部屋に呼んでるよ!?』


『津倉君まさかここにいる全員が!?』


『ふえっ!なんで亀梨さんが!?』


『津倉君...きちんと説明してあげてから連れてきてあげましょうよ...』


『お前ら一旦落ち着いてくれよ...』


全員を一旦座らせ落ち着かせると話を進ませる。

ここにいる全員がALTERの参加者であること、香と亀梨の間で一時は交戦があったことなどを説明し、土筆、綾音は亀梨は戦闘することによって友情が芽生え、協力関係を結んだという設定で2人に伝える。


『俺はALTERで勝ち抜くには仲間を増やしていった方がいいと思って亀梨に協力関係を頼んだが織部にも俺らのグループに入ってもらいたいんだ。』


『奏ちゃんや綾音ちゃんがいるのなら是非入りたいけど...』


『亀梨の存在が懸念材料になっているのは分かる。だから奏と織部も意見があるならそれを優先したい。』


『私はつっ君が決めたことならなんでも受け入れるよ。それに亀梨君はもう香ちゃんをいじめたりしないよね。』


『それはお約束しますし、今後はお守りします。織部さんには津倉君を倒す為とはいえ本当に申し訳ない事をしてしまったと反省しております。お詫びになんでも申し付けてください。』


『えっ...急に...そんな...』


『そんなすぐには答えを出さなくていいのよ。ようは亀梨君に借りを作ったと考えればいいのよ。』


『...借り?』


『いつでもいうことを聞いてくれる召使いができた程度の認識でいいと思うわ。まぁ、できれば借りというのは使わないで残しておいた方が得だけれど。そうする事で負い目を感じた相手に対してずっと逆らえない状態でいてくれるから。まるで奴隷のようにね。』


『あれ?私の知ってる貸借りの関係と少し違うような。』


『越矢子の意見は限られた人間の認識だから気にしなくていいと思うと。それと越矢子が前文に言ってた召使いって訳じゃないがこれから共に協力するとして中で亀梨をこき使えばいい。それで織部が満足したら借りを返上ってことで亀梨の事を許していければいいんじゃないかと思う。』


『それで織部さんからの許しを得るのであればなんでもやらせてもらいますよ。お願いします。僕と一緒に津倉くんのチームに入ってください。』


亀梨はひざまずいた状態から額を床にすりつけて礼をする。


『亀梨さん!?そんな、頭を上げてください!』


『せめて今返事をいただきたいです。どんな答えでも受け入れますができれば僕は織部さんを守ってあげられればと思っています。』


『亀梨君の誠意が伝わったけど決めるのは香ちゃんだよね。』


『私の個人的意見だけど私達は手を組んだ方が良いと思うわ。私達なら普段から接しているから連携もしやすいし亀梨君は共に共闘すれば信頼性の向上になると思うの。』


『織部、亀梨とは対立はしたもののその根源は自分の妹を思いやる気持ちからだ。そして自分の妹と自分が間違っていたことを知った際自ら罰を...E-bookを差し出してきた。これはあいつの中の誠意そのものであり、今こうして頭を下げている行為は信じてやってもいいものだと思う。』


香はしばらく悩んだ顔をして亀梨を見ていたが次第にそれも解け口元が笑う。


『分かりました。私はみんなの意見や亀梨さんの誠意を信じて仲間に入ります。でも守られるだけじゃなく共に戦っていきましょう。』


『織部さん、本当にありがとうございます。』


香が亀梨へ手を伸ばして2人で握手を交わす。


『ふぅ、どうやら俺の家でずっと亀梨が脳天を床に擦り付ける行為は長くは続かないみたいで良かったよ。』


『せっかくいい雰囲気だったの何故に空気をぶち壊すのよ。貴方への好感度が一気にマイナス値まで下がったわ。』


『どうせお前の場合は最初からマイナス値だろ。』

『べっ...別に本気で言ったわけじゃ......』


『津倉君、君は炯眼な方でしょうからもう少し越矢子さんを見てあげてみてはどうでしょうか?』


『ちょっと!亀梨君あまり余計な発言は控えてくれないかしら!』


『あれ?綾音ちゃんの顔ちょっと赤いよ?』


『綾音ちゃんの照れた表情は更に可愛いですね。』


『あんな表情の越矢子さんは他クラスの人間で見たのは僕だけかもしれませんね。』


『あっ、でも私達でも最近見るようになった気がするよ。』


この場において自然に亀梨がとけ混んでいた事に気づき安心感が湧き、今後の共闘において不安が少しだけ軽減したような気がした。



ブゥーブゥーブゥーブゥー


突如アラームの音が鳴り響くと5人全員がE-bookを取り出す。


『なんだ?緊急速報みたいな音が鳴ってるぞ?』


『何かメールのようなものが来たみたいだよ。』



ALTERのお知らせ


現時点で300冊全てのE-bookが持ち主に行き渡りましたことをお知らせいたします。皆様は今後もALTER戦の予選を継続してください。


・予選期間

E- book総数100冊になるまで(現在総数193冊)


今後より一定数まで冊数が減るごとに通知のお知らせをお伝えいたします。


皆様のご活躍をお祈り申し上げます。



『以上が僕に送られたメールの内容ですが皆さんも一緒でしょうか?』


全員目線を向け頷く。


『もうE-bookを拾った時点で予選は開始されていたんですね。』


『予選が終わるまで後93人の脱落者が出なきゃいけないみたいだけど人数的にだいぶ日数を使いそうね。』


『それより今後の目標は生き残る事に重点を置く事にしよう。今日はもう遅いからこのまま解散とするが何かあった際は連絡をし合おう。皆と連絡できるよう通信アプリで5人のグループを作るから入ってくれ。』


皆バッグやポケットなどから取り出し奏がそれを取り出すとみんなの視線が集まってくる。


『ん?みんなどうしたの?』


『あの〜逆撫さんが持ってるのは携帯電話ですけど今回で言えばE-bookの方でグループチャット作った方がいいと思いますよ。』


『えっ!?これは通話機能も付いているの!?』


『奏は最後までE- bookの説明書を読まなかったの?』


『私きちんと全ページ読んだよ。つっ君に説明をしてもらいながら見たもん!』


『それでも機械系の全貌を把握できないのが奏だからな。』


『はっ、恥ずかしいから声に出さないでよ。それに女の子っていうのは機械に弱いものだと思うよ!』


『そんなことないと思われるけど。今時携帯の利用時間に関しては男の子より女の子の方が多く、細かい機能も若い世代の女性の方が詳しいらしいわ。』


『現代において端末機の操作に疎い方がおられるとは。どういった点に煩わしさを感じるのですか?』

『どういった?全部かな〜。』


『かなり不安を煽る発言がでてきたんですけど…』


『奏は携帯電話の電話やメール、アプリとかの操作とかもたまに聞いてくるほど機械に弱いからな。』


『奏ちゃんE-bookの方は一体どうしているの?』


『E-bookはメイジーから操作する度に聞いているから大丈夫だよ!』


『やはり他に頼っているんですか。』


『常に説明係がいるから操作し続ければ部分的に覚えていくだろ。それよりE-bookで連絡先の交換が可能っていうのなら早く交換しよう。』


『そんなに急かさなくても準備はできているわ。奏は私のE- bookの画面を人差し指で触れてくれる?』


綾音のE-bookの画面には幾重にも輪を描いて広がる波模様を作っている。その波紋の中心部に人差し指を置くと奏の指を認識し【逆撫奏】と表示された。


『これは最初の画面の”電信”をタップするとよくある通話アプリのようにE- bookで電話やメールのやり取りが可能な機能よ。電信のフレンドの追加は鑑定ボタンをタップして今みたいに相手の指紋認証をすればできるわ。そしてフレンドを自分で作ったグループに勧誘申請をしてお相手からの承認を受ければグループ間での会話が可能になるのよ。じゃあ奏以外の人もお願い。』


『どうして綾音ちゃんのE-bookは指紋だけで私だと認識できるんだろ?』


『ALTERは私達の情報を多く知っているわ。きっと指紋とかも把握されていてE- bookにそのデータも反映されているから個人を特定できるのかもしれないわ。』


『へぇ、この端末にそんな複雑な機能があるんだね。でも登録だけなら簡単そう。私でも覚えることができそうだよ。』


『いや〜これでも奏は危いと思う。』


『とりあえず皆さんも登録しましょう。』


綾音、香、土筆、亀梨、最後に奏という順で電信のリンクが完了させる。奏の番に回ると本人は初っ端から手が止まり結局土筆から説明を受けながら全員のリンクを完了させ終始土筆は嘲笑、綾音は戸惑う姿を見てニコニコの笑顔、香と亀梨は苦笑いが漏れていた。


『さて電信のグループも作ったし...』

『私がね。』


『...今日はもう解散だ。一応護衛の為に奏は俺、織部には亀梨と越矢子が付いてくれ。』


『なんで私も護衛する側なのよ。』


土筆は綾音の耳元で囁く


『織部と亀梨は紛糾していて2人きりにするには気まずいだろうからフォロー役を頼みたい。越矢子はそういう類が得意だし引き受けてもらえるとありがたい。』


『...そういう事なら受け入れるわ。さぁ、2人共帰るわよ。奏、津倉君、またね。』


『2人共さようならです。』


『後日再びよろしくお願いします。』


3人は歩き出し帰路へ向かった。


『奏も送るから行くぞ。』


『は〜い♪』


2人は夕焼け空の下、自然と手を繋いで歩き出す。奏の話すたわいもない会話を聞きながら送り届けて行く。


『つっ君は普段から私と手を繋いでくれるけど、今日は綾音ちゃんと手を繋いでどうだった?』


『どうだったって、それは決まっている。...かなり疲れたよ。』


『もっとこうシンプルに嬉しかったとか、もっと繋いでいたいとかは?』


『まったくをもって思わないし、今回は恐喝みたいなもんだから尚更だ。今後もそういった機会がある場合は辞退させてもらいたいよ。』


『そっか、綾音ちゃんは美人だから手を繋いでつっ君が意識したらどうしようかと思っていたの。』


『越矢子に対してか...そいつはとんだ笑い話になるな。さぁ、学校に着いたぞ。』


『つっ君ありがとう♪じゃあまた明日ね。』


奏を送り届け、真っ直ぐ家へ帰り就寝準備を済ませてベッドへ崩れるように倒れる。


『土筆様お疲れ様です。』


『ランボ1つ聞いておきたいことがある。ALTERの参加者が全員決まったみたいだが妙に顔馴染みが多い事に疑問がある。』


『参加の条件は辛酸な過去の記憶によって今でも苦しんでいる方々に限ります。土筆様のご友人達が参加者になっているのはお辛い人生を歩んできたからこそ選ばれたのです。』


『そいつらが偶々俺の友人達だったってことか。神のいたずらもここまでくると酷いな。』


『それにしても小太様の仇が別人だったとは驚きでしたね。』


『そうだな...その点においてまだその犯人が残っているのなら俺の刀をお見舞いしてやる。』


『でしたら早く風乗刀を扱えるようにならないとですね。』


『...あの刀って妙に軽くて普段通りに扱うと竹刀を使うみたいにバランスを崩してしまう。亀梨にくらわせた螺旋が偶然入ったからあの時はこけなかったけど次も成功するとは限らないから練習はするさ。さてそろそろ寝るよ。』


『期待しております。おやすみなさい。』


土筆は照明を消して横になるもやはりすぐには寝付くことはない。なので毎度お馴染みのように振り返る。


結局のところ今回女子達が企てた告白計画は失敗に終わった。しかし内容を見ると成就しなかった理由は本人同士に問題があるわけでなくALTERにあると断定できる。ALTERの参加者同士であった為関係性がこじれてしまったのだ。ならばそれを終わらせれば2人は自然と寄り添う間柄になるのでは…というのが考察であり、今後は関係の修復をさせつつ行く末を見届けていこうと思う。


それにしても仲間が増えた事は喜ばしい事ではあるが俺や奏にとって人数はマイナスされている。小太里三だが亀梨が倒していないということは他に敵がこの界隈にいるということになるだろう。 相手の正体が分からない今対策として俺自身が風遊刀を扱い慣れてないし仲間との連携もできていない状況なので今後はそのあたりの強化を進めて行くよう設定する。


今回の出来事はALTERや亀梨に振り回されている状況から【亀毛兎角の罠】と言う感じだろう。まさにALTERこそ当てはまりそうな言葉だし兎と亀もでてくるから丁度いいし、何より戦争の予感を感じる故相応しい言葉と言えよう。



今回の出来事の振り返りが終わるとそのまま寝付いた。




ブゥーブゥーブゥーブゥー

メールを受信しました。

ALTERのお知らせ

本日150冊まで切ったことを報告いたします。


現時点での冊数 140冊 予選終了まで40冊


今後も一定数まで冊数が減るごとに通知のお知らせをお伝えいたします。

皆様のご活躍をお祈り申し上げます。



*亀毛兎角

この世にありえないもの、実在するはずがない物事の例え。もとは戦争の起こる兆しを言う。



次の章に繋がる伏線を記載するの忘れていたので最後らへんに追加しました。

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