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辛酸な過去を変えるため皆は電子書籍を更新する  作者: 彦音梟
3章亀毛兎角の罠
15/25

絶望

『織部さん早速何ですけどとある相手を倒すための連携をとるため練習をしませんか?』


『その言い方ですともう目星の相手がいるような言い方ですね。』


『ええ僕は既に近くの地域で数人のプレイヤーの所在を把握しています。なんの物語を持ってどんなスキルを使うか見ていましたから。』


『でしたら対策を講じることができますね。まずはどんな方と対戦するのですか?』


『童話の桃太郎を持ちスキルで召喚を行使する男。童話の赤ずきんを持ちスキルで糸を操る女。名前は津倉土筆と逆撫奏。』


『えっ...』


思わぬ人物の名前が挙がり香は驚愕する。


『この2人は同じ学校の生徒でよくセットでの目撃が多いみたいです。なので同時に対峙すると思われます。ですがまだ充分にスキルを扱いきれていないようにも思えるので今のうちに倒すべきだと思います。』


しかし亀梨の言葉は香には届いておらず彼女は固まっていた。


えっ?

奏ちゃんと津倉君がALTERのプレイヤー?

嘘みたいな話だけど外からスペースを見る際名前と童話のタイトルが表示されるから間違えることはないと思う。

それで亀梨さんは2人を負かそうと言っているけど2人は私の友人だからそんなことしたくない!


『わ、私その2人と仲良くさせていただいています!私から話をつければ一緒に共闘してくれますよ!』


『織部さんはご友人でしたか。そうなると貴方には酷な件になりますがその提案は申し訳ないですけど諸事情により了承できません。彼等と仲良くすることはしたくないですし争わないという選択もないです。』


『そ...そんな...』


断られちゃった。だとすると対立することは確定だよね。

亀梨さんには2人の能力に関する情報があっておそらくは倒す術も考えているかもしれない。

たぶん私の共闘を踏まえてだ。


『織部さんは僕に協力をしてくれますよね。友人なんかよりも恋人を優先に考えてくれますよね。』


『私は...』


私は友人と呼べるような存在を作る事ができないでいた。幼い頃から交友を深めるチャンスは幾度もあった。


保育園も小学校も中学校も最初の頃はよく話し掛けられていたが人見知りで積極性のない性分だった為に相手の機嫌を損ねたり意思疎通の図れない会話をし全て棒に振る結果となってしまった。


高校入学時も同じ事を繰り返してんで成長をしないで高校の2年目に入ろうとした時E-bookを拾った。輝夜の説明によれば戦いに勝ち続ければ過去をやり直せるらしい。


過去には話し掛けられる事が多々ありその際に上手く対応していけば友人になれる望みがある。それを希望に戦いに参加した。


非常口を利用しつつ経験値を得たり時には勝利を収めたりしてレベルを上げ練習でスキルも強化をしていき着々と目的に近づいていったけど突然一つの転機を迎えるのでした。


2年生になりクラス替えが行われたのだが隣の席が奏ちゃんになって頻繁に声を掛けてくれるようになった。私のぎこちない会話に気分を害すこともなく純粋な笑顔を見せてくれました。


他者から受け取る反応で初めて嬉しさを感じた。そんな彼女の繋がりから綾音ちゃんと津倉君と永神君とも親睦を深めていくことができたので感謝しても仕切れないほどである。


そんな掛け替えのない友人である奏ちゃんと津倉君を倒したら2人は私を忘れてしまい今の楽しい環境が壊れてしまうし何より夫婦と言われる程の2人の関係も終わらせてしまい奏ちゃんの恋を閉ざしてしまう。


私は知り合ってから数ヶ月程度しか経ってないけどそれでも2人がお互いを思いやっているのは分かる。

奏ちゃんは幼い頃からの純粋な恋心を持って接していて、津倉君も大切な人に向ける優しい目で見ている。そんな思い合った2人の気持ちを壊すなんて私はしたくない!



『亀梨さん申し訳ないですけど私はあの2人......私の友達と争うことはしたくありません。ですが他の人達との対戦でしたら...』


『そうですか。でしたら今回は諦めましょう。』


『ほ、本当ですか!?ありがとうござ...』

『いいえ!諦めるというのは僕達の関係のことですよ。』


亀梨はバッグからE-bookを取り出し操作するとスペースを展開され亀梨と香を包んでいく。


目を開くとそこは高温多湿で常緑広葉樹が広がるステージであった。


『デュエル用のスペースが展開されました。ステージは熱帯雨林のジャングルです。1分後にステージの生成が完了し戦闘開始しますので準備を整えてください。』


『協力をしてくださらないうえに彼等と仲がよいとなると僕が彼等に敵対意識していることが知られる可能性がありますからここで貴女の記憶消させてもらいます。』


すると亀梨の背後から巨大な兎と亀が現れる。


『兎のクニー!亀のテスト!競闘し合う者達よ今こそ手を取り合い共闘して結束した力を僕に与えよ。』


ボン!と音が鳴り巨大な兎と亀が消え亀梨の周囲に煙を撒き散らすと煙は亀梨の体に入っていった。


『私にとってはあの2人は失いたくない人達なので貴方の野望を阻止します。来て!なよ竹のかぐや姫、輝夜!』


すると香の近くの地面が光りだしそこから光が上空へと伸びていく。次第に光が晴れるとそこには天へと伸びる一本の竹があった。香がその竹に触れると竹は切断され竹の上部は再び光り粒子となって散布していくと竹の中から高貴な衣装を纏う女の子が現れる


『この方が次の相手ですの?』


『そうですよ輝夜。さぁ、私と憑依を!』


『だ、だからお化けみたいな扱いされているように思えるから憑依って言わないでほしいですの!』


輝夜は指を畳んで手を合わせて組むと体が光だし球電のように空中にフワッと浮遊すると香の中に入っていった。


『行くよ!輝夜!』


輝夜の持つ力はかぐや姫の持つ天賦の才を使えるスキル"ナチュラルギフト"。亀梨さんは私の戦いを見たと言っていたけどきっと知られているスキルはそんなにないと思うしそれに知られていたとしても隙をつけば効果がある筈!。



『カウント10秒前』

『攻めようと考えず回避に専念する事をオススメしますよ。』

『それはこちらで判断するので大丈夫です。』

『カウント5秒前』

『4』

『3』

『2』

『1』

ブゥゥゥーー!

『戦闘開始してください。』


『先手必勝!』

ブンッ!


開始のブザーがなると亀梨は駆けだし香との距離を詰め回し蹴りを放つが彼女は姿勢を低くし回避する。


『むぅ!』


すると空を切った回し蹴りをそのまま香へ振り下ろすと香は後方へ大きく跳躍し距離をとるとそのままそれを追いかけるように亀梨も跳躍し飛び蹴りを繰り出すが香は飛び蹴りの軌道上から逃げこれを避けた。


『これはこれは...スキルの相性によってはこんな事も起こるんですね。』


『?。何のことですか?』


『いえ、こちらの事なのでお気になさらないで大丈夫です...よ!』


再び亀梨から攻撃が始まり攻めては避けるという状況を続けながらどんどんジャングルの奥へと進んでいく。




『このステージは野生動物もいるみたいですね。遠方にゴリラやナマケモノがいましたよ。』


『私はさっきジャガーを見ましたよ。肉食動物もいる危険なステージなんて早く出たいですね。』


『早く出たいというのには賛同ですよ。高めの気温と湿度で普段より早く疲れが出てきましたから。』


暫くすると攻勢に出ていた亀梨は動きを止める


『はぁはぁ。織部さん戦闘慣れしてるようですね。さっきから受け流されてばかりですから』


『そんなことないですよ。私は友達から護身術を教わった事があるだけですから。』


亀梨は呼吸の乱れが生じ香は平然としていた。


『亀梨さんお疲れのようですしもう私を倒す事を諦めてください。』


『はぁはぁ、いやまだですよ。やっと体が温まってきたところですよ。』


再び接近する亀梨に対し香も動く。亀梨が蹴りを繰り出そうとしたタイミングを狙い香は手を広げる。


『月光!!』


パチンッ!と猫だましをすると強烈な閃光を発する。


『っぐ!!』


目を眩ませた亀梨はバランスを崩し勢いよく転がっていった。


『私のスキルで知られているといったら目立つこの技でしょう。いくら私の技を知っていても呼吸が乱れた状態ですと思考が鈍って回避が遅れると思いましたが予想は当たったようですね。』


『うぅ...いたた...一応警戒はしていたつもりですが不意を突かれるとは...』


フラつきながら立ち上がり肩で息をしていた亀梨を見て香は戦略を練りはじめる。


いつもは閃光で目を眩ませた後は撤退して身を潜め対戦相手の出方を伺いスキルや戦略を把握したり時にはスペースの非常口を探して脱出する戦法を取るけど今回は『ウサギとカメ』を連想するに兎、亀の恩恵を授かると思う。


さっきの蹴りの攻撃の数々は結構素早かったから兎の力で脚力が強化したものだと思う。もう1つ亀がいたけど兎とは逆で防御面や水場で能力が発揮されると予想できる。


今の亀梨さんは目眩しによって目も使えないし疲労によって思考が鈍っているから今は見極めるよりは攻める事を優先するべきだ!


すかさず香は物音を立てず亀梨の背後に回り腰に挿していた金属性の扇子を手に持つとそれを振り下ろす。


ドゴッ!

『ぐふっ!』


攻撃をくらったのは香の方であった。亀梨は回し蹴りを放ち彼女にヒットさせていた。香は脇腹に受けた一撃の勢いを利用し距離をとった。


『貴方は今目を眩ませた状態にある筈です。それなのに何故背後に私がいると察知することができたんですか!』


『それは動物の持つ五感を働かせただけですよ。』


『五感......そうか!兎の耳ですね!』


『そうです。兎は耳が良いというのは知っていると思います。広域での音も拾い微かな物音でさえも聞き逃さないと言われています。』


『しかし兎は聴覚だけでなく嗅覚や味覚も発達しているんですよ。それらをフルに働かせれば目を使わなくてもある程度の範囲の相手の位置を特定したり汗を舐めることで嘘をついているかどうかも判別できるますよ。この味は嘘をついている味だぜ...てな感じでね。』


『あ、汗ですか...確かに状況によって出る汗の濃度に変動はあるみたいですけど...』


『もちろん冗談ですよ。そんな冒険心の必要なことは試した事はありません。あっ...目が見えてきた。』


『兎の恩恵だから足技に特化していると思いましたがそれだけでなく感覚器官にまで及ぶとは予想外でした。しかし先程の速さならば私でも対応できますし攻撃方法も考えれば発達した五感を使わせないようにもできます。私の方が有利と理解したと思うのでもう抵抗しないで倒されてください。』


すると亀梨は俯いてしまう。それを機に香も息を吸い込んでいく。


『織部さんあまり先走った予想はしない方がいいですよ...』


気がつくと目の前にいた亀梨の姿が消えている事に気付く。



『まだ僕の本気を見ていないのだから...』



背後から威圧感のある声が聞こえた


その瞬間に香は背後から強い衝撃をくらい勢いよく吹き飛ばされ巨木にぶつかる。


『っ!振り向きざまだったから腕に...』

すぐさま体制を整えようと起き上がるが左腕に強い痛みが走る。


『なんか鉛のような物が当った感触...それにしても折角スキルで自分の重さを軽減させたのにそれでもこんなダメージなんて...』


私の2つ目の力はかぐや姫の出身である月の重力を好きな対象に付与する力"グラビティーカット"。今の私のレベルでは息を止めている時間の間だけ対象に選んだものの重さから2/6の重さ、つまりは約30%の重さや強さをカットする事ができる。


あの一瞬亀梨さんが声を出していなくて背後にいる事を察知していなかったら、蹴りを主体とした技が多いと把握していなかったら私は亀梨さんの蹴りの重さを減らす事ができずにいたと思う。


『もし軽減してない力で受けたら骨が粉砕してたかも...』


『ここにおりましたか!』


遠いところから声が聞こえ頭を上げると木漏れ日から亀梨が突然出てきた。


『どうですか僕の本気の早さは?。』


『今までのスピードは...手を抜いていたという事ですか?』


『出せなかったと言うのが正しいですね。僕のパートナーの兎のクニーが"輝夜姫を攻撃できません"と言ってまして最初攻めようとした瞬間にクニーとのリンクが切れました。』


『最初に疑問符を浮かべてたのはそういう事ですか。』


『月の兎とも言いますから月の姫様には逆らえない設定みたいですね。こういった童話や伝承での関係性も相性に影響する事を知れて良かったです。』


『しかし先程背後に立った際の早さはスキルを使わなくては出せないスピードでしたよ...』


『なのでクニーの力を攻撃でなく移動として扱ったのです。織部さんの背後に移動だけでしたらスキルが働いてくれました。』


『となると攻撃する際に使用したのはそれですか?』


亀梨の膝を指すとそこには金属製のプロテクターを装備していた。


『その薄っすらと表面にある柄...亀甲模様の武器は亀さんのスキルでしょうか。』


『確かに亀のテストの力ですがこれは武器でなく防具なのです。先程織部さんに当てた膝蹴りのように扱えば防具であり武器にもなる装備ですね。』


『二種類の生き物の特性...しかも攻防に優れた力なんて無敵に近いじゃないですか...』


亀梨はスタートダッシュの体勢を構え始める。


『ではそろそろ終わりにしましょうか。』


『いえ、まだ抗いますよ。』


『ウホホッ!!』


茂みから勢いよく大型のゴリラが飛び出し亀梨目掛け拳を振るってきた。


『っ!』

ドゴッ!ズサーー!


ゴリラの拳がヒットし亀梨は地面を削りながら後退させられた。


『やれやれ、そのゴリラただの野生動物ではないみたいですね。』


土煙が晴れると亀梨はいつの間にかに出した鼈甲のような色彩の盾で防いでいた。


『さらに攻撃後すぐに織部さんの元に駆け寄るところを見ると操作系の力もあるみたいですね。』


『輝夜の力"魅了チャーム"は生物を魅了し従えることができるスキルです。』


『魅了...そういえば輝夜姫のシナリオは多数の異性に求婚を申し込まれた場面がありましたね。なるほど...操作ではなく服従ですか。となると先ほどそこのゴリラが殴りかかる際に拳にオーラのようなものを纏っていましたがそれは織部さんによる分与の力でなくその霊長類自身の身につけている力という事ですね。』


『普通のゴリラほどならテストの力の盾で受けきることができますが防ぎ切れないで衝撃で吹き飛ばされました。おそらくですが物理強化系の力を備えているのかもしれません』


『まだいますよ。』


指を指した方を見るとジャガーがのしのしと歩きながら香に寄ってきた。


『私は貴方に乗れる?』


するとジャガーの全身からオーラが滲みだすと乗れと言わんばかりに背を向けていたので跨るように乗った。


『ジャガーさんありがとうね。あとゴリラさんも。』


『大型動物を操ってしまうなんて凄い力ですね。』


『では行きますよ!』


香を乗せたジャガーは人を乗せていないかのように軽々と木々を伝い亀梨から距離を離していった。


『ウホーーー!!』


ゴリラがオーラを纏いながら亀梨に突進するが彼はそれを華麗に避ける。


『なるほどゴリラを囮に。無駄な事を...』





《香サイド》

『ダメだ。今までは相手はビギナーばかりだったから倒せていたけど亀梨さんはベテランで私のスキルが通用しない。しかも私の使うスキルは攻撃よりも支援に向いたものばかりだから攻撃に優れたスキルを持つ亀梨さんには不利だ。ゴリラさんが時間を稼いでる間にスペースの脱出口を見つけないと!』


少し走ると非常口のマークが視界に入る。


『やった!ありがとうジャガーさんこれで私は奏ちゃんと津倉君に亀梨さんの注意喚起をする事ができるよ。』


ジャガーの頭を撫でながらどんどん出口との距離を縮めていったが急に足を止める。


『あれ?どうしたの?』



ドーーーン!!



大きくて黒い塊が空から降ってきて香の進行方向に落下音と衝撃が響き土煙りを漂わせていた。


『なっ!何!?このステージのエフェクトか何か!?』


恐る恐る近寄ると土煙りも晴れ落下物の正体が現れる。


『ゴ、ゴリラさん!?えっ?さっきまで亀梨さんと...』


『ゴリラじゃ時間稼ぎにはならなかったってことですよ』


『きゃっ!』


すると急にジャガーが乱暴に高くジャンプをしたかのように飛び上がり思わず香はジャガーから手を放してしまい上空に放り出されてしまった。


『ジャガーさんどうして...えっ!』


宙に浮いた状態で香は目を見開くとか顎を潰されたジャガーが目に入り反射的に自分のいた位置へ視線を向けると亀梨が足を高く上げている姿がそこにあった。


『!?。あれ!?消え...』


視認した瞬間亀梨の姿が消え、周囲に目を向けると少し離れた位置で宙にいるジャガーとさっきまで地上にいた亀梨がそこにいた。


『あの位置から一瞬で!?』


亀梨が高速で旋回するとジャガーの顔が急に陥没し高速で吹き飛んでくる。


ドーーーーン

『くはっ!』


飛んで来たジャガーが香を巻き込み勢いよく地に叩きつけられ、直接蹴られたジャガーはさらに奥の方へ飛んで行き香はその場で止まる。


『直接的でなければかぐや姫にもクニーのスキルは使えるみたいですね。』


『はぁ、はぁ、今のは兎さんの力ですよね?』


『察しの通りクニーの能力で脚力が強化されています。ちなみに兎ってどれくらい速く動けるか分かりますか?』


『はぁ、小学校で飼育されてた兎が追いかけられてのを見たことがあります。はぁ、大した速さで走ってはいませんでしたが。』


『そんな狭い範囲で飼育された兎は碌にスピード出せませんよ。山などの大自然に住む野うさぎは大型のもので55㎝近くあり時速70キロほどだせるようですよ。』


『それが何です...』


『例えば野うさぎと僕の体格差は3倍近くあるのですがその延長として出せるスピードも3倍になるとしたらすごいと思いませんか?』


『200キロ超えの速さってことですか...そんな車並みの速さに対抗する手段は私にはないですよ...』


香は俯いてしまい戦闘前にはあった覇気が失せていく。


『さぁ、そろそろ終わりにしますのでE-bookを出してください。輝夜姫も月に帰郷してからは地球に住む者には自分の事を早く忘れてもらいたかったと思いますから。』


しかし香は動こうとせずにじっとしていた。それに見兼ねると亀梨はやれやれという態度で香の羽織っていたブレザーを脱がしポケットなどを探し始める。


『自ら差し出していただければ良いのですが...異性の衣類を弄るなど野蛮な行為は好きではないので...あっ、ありましたよ織部さん。ほらほら。』


E-bookを見つけだすと香に聞こえるように告げると香は自分の悔いを改める。




私はここでリタイヤになるんだろうな



きっと記憶の消えた私はあのいつものグループには近づかないと思う。



私が負かした人に共闘していたと思われる人が接触した際にとっていた行動が警戒からの逃走だった。



確証はないのだけれど敗北者はALTERによって消えた記憶に関与する人物に対して嫌悪感や拒絶感などの感情が付加されているのではないかと考えられる。



ALTER参加者の奏ちゃんと津倉君がいるあのグループにはもう戻れない。



2人は最近になってALTERに参戦したって亀梨さんは言っていたからこんな事になるんだったら奏ちゃん達と友達になれた日にアルターを棄権していればよかった...



そうすれば消去らされる記憶の中に2人は混ざる事はなかったのに...



私の求めるものは友を作る事なんだからそれはもう叶っていた。さらに過去でも友を得ようなんて傲りだった...



過去の私なら関係ないと気にかけることもなかったけど今は友が存在する事の有り難みを知ってそれはが離れてしまうとなったらもう絶望でしかない。



また1人になるのは嫌だよ...




『恋人になってもらって早々のですがもう僕らもう関わることはないでしょう。』


亀梨は香のE-bookを軽く投げると利き足を一歩引く。


『さようなら...』


離別の言葉を言うと引いていた足を思い切り前方へ突き出す。






E-bookまとめ

名前 織部香 E-book かぐや姫

スキル Natural Gift

詳細

月光

Level:4 体全体から発光させることができる。光度の調整も一定以上まで自分で調節可能。


Gravity Cut

Level:3 息を止めている間対象物の重力又は力を2/6をカットすることができる。


魅了:生物を魅了し従えることができる。



名前 亀梨桜兎 E-book ウサギとカメ

スキル Wild Ecology

詳細

兎の生態 Level:3

五感:神経を集中させることにより兎の特化した5つの感覚を得る。

脚力:兎の特化した脚力を人間サイズで行える。レベルに応じて出せる力が変わる。


亀の生態 Level3

甲羅の装甲

盾または体に装備できる防具に変形することができる。レベルに応じて硬さも変化する。





パートナーの相性によってスキルの対象にすることができない。


各フィールドにいる生物も生態における能力が特化している。


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