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辛酸な過去を変えるため皆は電子書籍を更新する  作者: 彦音梟
3章亀毛兎角の罠
14/25

追詰


『ありがとうございます。織部さんの気持ちを伝えてもらえせて嬉しいです。』


『嬉しい...ってことは...返事は...』


『ですがお付き合いをするのであれば条件を課せていただきたいです。』


『じょ...条件ですか...学生の行動における範疇に背かないことでしたら大丈夫ですけど。』


『安心してください。範疇は超えますが織部さんにも利益になることですから。』


えっ?えぇー!?学生の範疇を超える!?


だって私達今年で17歳を迎える若人であってもう身体つきは大人と言ってもいいようなものだけど学生だからこそ色々制限が付いているんですよ!?


それなのに条例に対して謀反を起こそうとしているなんて...まさか...この展開って...


R-18!?


授業じゃ学べない知識を得たりたいけんすることによって1段階人間として成長するというのが利益だと考えるべきなの!?


確かに新しい知識を得ることは楽しいし嬉しいけど世人的に考えると...まだ...



『亀梨さん...如何わしいことはちょっと...まだ早いですよ...』


『あっ!いえいえ!勿論猥褻な類ではないですからね。僕はそんなふしだらな強要をしたりしませんよ!』


『そ、そうですか...すみません少し思考が飛躍してしまいました...』


香は顔から火が出るような感覚になり涙目になっていく。


『学生の範疇を超えるというのは異能な力だからです。貴方がALTERのプレイヤーとして知っていてのお願いを頼みたいです。』


その一言を聞いた香は涙は収まったものの表情は固くなり緊張感も萎え冷静を取り戻す。


『ええと...その口ぶりですと亀梨さんもプレイヤー なんですよね...何で私がALTERのプレイヤーだとご存知なんですか?』


『知っていた理由ですが前にこの近辺でスペースが展開されていてその中で織部さんが戦闘をしていたのを偶然見つけたからです。』


『理由はわかりました。それで条件というのはやはりALTERのライバルを減らす事。私が敗北する代わりに彼女にしてもらえるということでしょうか?』


『いいえ違います。僕が課す条件というのはALTER戦での共闘です。』


『徒党を組むことにより戦場での生存率を高めることができますから共に手を取り合いたい訳です。』


『共闘ですか...確かに一人で戦うよりは組んだ方がいいのは分かりますが私自身は弱いです。他の方と組むのを勧めますよ。』


『人と言うのは相手を想うことにより何倍もの力を発揮するんです。とくに大切な人や恋人に対して危機的状況に陥ったりした時などですかね。』


『ALTERではリスキーな事態になりやすいですし恋人になった織部さんと組んだ際には僕は100%以上の力を発揮し続ける自信がありますよ。』


『それだけ相手を強く思えるのは素晴らしいですね。しかも条件を呑めばその御加護が私に贈呈されるのは魅力的です。でも私はもうALTERに執着する必要はないのですよ。』


『執着がないというと辛酸だった過去を清算されているというとことでしょうか?』


『そうですね。ALTERに参加した切っ掛けについてはもう解決しました。なのでいつでもリタイアしてもいいんです。』


『それは良かったですね。おめでとうございます。でもできたら僕の為に織部さんの力を貸していただきたいです。』


『分かりました。協力して勝ち続けましょう。』


協力する事でよりいっそう私のことを懇親的に見てくれるはずだよね。


『ありがとうございます。今日から僕達は恋人であり協力する関係です。これからよろしくお願いします。』


香の手を取り亀梨は微笑むと香は頬を染めつつ取られた手を握り微笑む。


『はい、こちらこそよろしくお願いします。』


お互いに言葉を交わすこともなく暫くは見つめ合いが続いていった。




土筆サイド


土筆は皆と別れた後体育館内部に備えられた倉庫へとやってきた。


『さて今朝下駄箱に入れた手紙で球縫珠貴は来るだろうか。後1時間で手紙の指示通りに従ってればこの体育倉庫にやって来る筈だ。』


『ここに来た場合は奴は油断をしているはず、気構えが整わないうちにスペースを展開させて勝負の片をつけてやる。』


そう意気込み体育倉庫の扉に手を掛ける。


ん?人の気配!


微かだが中から人の声が聞こえたので覗ける程度ドアを開き聞き耳をたてることにした。


『女の子に呼び出されるのなんて初めてだからお昼食べてすぐに待ち合わせ場所に来てしまった。しかし紳士として女性より早く待ち合わせ場所にいるのはマナーだと思うしまぁいいか。一応もう一度手紙を確認しておこうかな。』



【貴方に会って話したいことがあります。本日放課後14時に体育倉庫にきてください。あやね。】


『あやねっていったら越矢子綾音さんしか知っている人はいないんだよな。元々女の子の知り合いなんてあんまりしやはり越矢子さんの可能性が大だな。』


球縫珠貴と思われる人物が既に中にいた。


『見た目は普通の青年っぽいな。凡庸な顔立ちだし少し周囲に聞き込みをしたがコレといった噂とかもたたない無個性なタイプ。』


『しかしあいつが小太を倒したんだよな...能ある鷹は爪を隠すとはいうが奴は流石だと思う。口で言っているのは所詮は建前だろう。』


『本当は事前に罠などの危険物の発見や処理又は設置を防ぐ為に早々と来ているのであろう。普通はあんな手紙でほいほいやって来る奴はステータスもしくはスキルに長けた自信のある者か何も考えてない能天気な馬鹿ぐらいだろう。』


『こんなに早く来るって事は珠縫は前者だろう。警戒心を高めもう少し様子を伺ってもいいだろう。』


『越屋根さんとは何回か話したいことあるからな。もしかしてその際に意識してくれていたのかもしれないな。確かあれは俺が二年生の時だっけ...』



回想

中学校の後輩が俺の通う高校に入学し数日経った頃、後輩がクラスにとけこめないでいたから昼休み彼の教室のドア前でよく立ち話をしていたんだ。そして昼休み終了の予鈴前に事は起きる。


『申し訳ありませんがそこの貴方少しよろしいかしら。』


落ち着きのある女性の声が聞こえ振り返ると美しいという言葉の似合う女生徒が立っており思わず見惚れてしまった。


『そろそろ休み時間が終わるので教室に戻りたいのですが道を空けてもらえませんか?』


『えっ?あっ!す、すみません。』


ぺこぺこ頭を下げつつ道を譲るとその女生徒も一つ会釈をし教室に入って行った。


後輩に話を聞くと彼女の名前は越矢子綾音、その美貌により入学して早々に告白ラッシュを受け、たった1週間で全校生徒のうち1/10の生徒が地に膝をつき涙を見せたという伝説も生まれているらしい。


そんな噂により多くの者は越矢子綾音にアプローチをしなくなったがそれでも俺は彼女に対して興味を無くす事はできないでいた。


次の日も後輩の教室前にやって来て話をしていた。今回は後輩に用があった訳でなく越矢子さんの姿を見たかったからである


『申し訳ありませんがそこの貴方少しよろしいかしら。』


振り返ると越矢子綾音が背後に立っていた。


『そろそろ休み時間が終わるので教室に戻りたいのですが道を空けてもらえませんか?』


『あっ...ごめんなさい。また注意されてしまったね。ははは。』


『また?またとはいったい......あぁ...昨日の昼休みの方よね。』


『そうだよ。2年の球縫珠貴です。』


『はぁ...しかも先輩...わざわざ下級生の教室前へ...』


『あぁ、こいつが中学の頃の後輩でね。昔から可愛がっていたやつだから相手してやりたくてな!』


『後輩思いの優しい方ですね。』


『いやぁ〜それほどでも!』


『しかし私に昨日と同じ注意をさせたことについては感心しませんよ。後上級生が下級生の教室前で長々と居続けるのも。上級生の方がいるだけで私達下級生は寛ぎにくい環境になりますから。』


『あぁ...確かにそれは申し訳ないことをしていたな。ごめん今日はもう戻るよ。』


『では私も失礼します。』


そう言って彼女は教室へ入って行った。


『昨日よりもお話できたし順調に仲良くなってきているんじゃないか。これは明日も来ないとな。彼女もあまり来るなというフリを言ってたし。』


その次の日も後輩の教室前に来ていた。


『申し訳ありませんがそこの貴方少しよろしいかしら。』


振り返りとやはり越矢子さんがそこに立ちテンプレートを読み上げるように口を開く。


『そろそろ休み時間が終わるので教室に戻りたいのですが道を空けてもらえませんか?』


『その台詞お馴染みって感じになってるね越矢子さん。』


『?。何をおっしゃっているのかしら。その発言では私が毎度同じ...あぁ...貴方ですか。』


『あっ...越矢子さん...せっ、先輩!もう戻られてはどうですか!僕は次の授業の準備をするので失礼します!』


越矢子さんが現れると後輩は焦りだし早足にその場を去る。


『またこちらの教室へ来たのですね...本当に後輩に対して温情を持った方であることで。』


『お、温情...?』


『思いやりを持った優しい心って意味です。』


『越矢子さんにそう思ってもらえてるなんて嬉しいな。』


『あら?何を喜んでいるの?ただの皮肉よ?』


『えっ?』


『あら?まだわからないの?貴方は一昨日の私と昨日の私に同じ言葉を今日の私にも注意されているのよ。』


『くだけた言い方をすれば"邪魔だ退け"と貴方を邪険に捉えた言葉を浴びせているのがわからないの?普通は今後気をつけようと思案すると思うのだけれど。1人の後輩に優しくできてもその他の者達に同じ様に気を配らないようでは貴方のような人間に温情ではなくろくでなしという方がお似合いよ。』


『今後この教室に来るのをやめなさい。貴方のような理解力のない霊長類が私と同じ学び舎で自由に徘徊していると思うと不快でしょうがないのでせめて私の視界に入らないよう心掛けなさい。分かったかしら?』


『は...はい...』


そして越矢子さんは脇目も振らず教室へ入って行った。


『うぅ...罵倒を浴びされてしまった。しかし何だろう?罵られたと言うのに何故か高揚感を憶えているぞ。』


『特に股間が暑くなってきているし不思議な現象が身体に起きているみたいだ。こんな体験初めてだ!もう一度越矢子さんとお話しがしたい...』




『しかしそれ以降俺は越矢子さんとは接触できずただ遠くから見る事しかてきないでいるんだよな。』


注意する言葉が一言一句変わってないのは越矢子らしいな。てか反応的に全然球縫の事覚えてないよな。口聞いて初めて思い出してるし。


そして脈無しになったと同情してやりたいが異色な進化を遂げてしまった奴に俺は近づくことすら嫌になったぞ。


『そして彼女を見ていた結果俺には敵が現れてしまったんだよな...津倉土筆という男が。』


『ん?何故かあいつは俺を敵視している?まぁ小太の件もあるし一矢を報いる為に俺は球縫を倒してやる。』


土筆はE-bookを起動し体育倉庫を包み込むサイズのデュエル用のスペースを展開させた。


『さて!相手方は今頃急に戦闘が始まって面食らっているだろうし、さっさと珠縫を探して......っ!たっ!珠縫!お前っ!』


スペースの展開が完了すると思わぬ光景が土筆を待ち受けていた。



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