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辛酸な過去を変えるため皆は電子書籍を更新する  作者: 彦音梟
3章亀毛兎角の罠
13/25

告白


『意気揚々と向かわせてやったのは良いが...いきなり躓いてるじゃないか...』


香は外に出る前に教室の時計を見て約束の時間ピッタリに校門前着くよう向かって行ったつもりが教室の時計が進んでいて約束の時間よりに前に到着してしまい校門前で暫く待機していた。


『あんな送られ方されて教室に戻りにくいだろうから外で待ってんだろうな。』


2階の教室から香を観察していると教室の扉が開く音が聞こえる。


『つっ君お待たせ!香ちゃんの様子どうなってる?』


『上から織部見てたけど校門に到着したとき携帯電話開いて凝視してたぞ。多分正規時間を確認して目を丸くしていたんだと思う。』


『それはそうでしょう。だって時間通りに校門に着くつもりで教室を出たのに結構余裕が出来てしまったんですもの。常人なら疑問に思うでしょう。』


『まぁ正規の時間ならあと数分くらいで約束の時間になるし亀梨も近々来るだろう。というか時計進めたのお前達だろ。尾行する際学生服じゃすぐバレると予感して私服を用意し着替える時間を稼ぐ為に時間を進めたろ。』


『そういえば帰りのホームルームを終えたあと僕達はすぐに織部さんの席に集まったけど越矢子さんは少し遅れてから来たよね。』


『やはり犯人はお前か。』


『丁度都合のいい壁が香の前にあったからチャンスだと思ったのよ。』


『時計を遮った......織部の前にあった壁......って俺かよ。』


『ちなみに服に関しても私が持ってきたのよ。本当は津倉君のも含めた4人分持ってきたけれど1人分不必要になったわね。』


『あのキャリーケースは衣類入れてたのか。』


『メイク道具と各々に合うコーデを私なりに見繕ってきたのよ。どうかしら?』


『奏も越矢子もナチュラルメイクが似合っているな。それに良いコーデだと思うし3人共素材が良いから絵になる感じがするな。』


土筆達が話していると約束の時間になり亀梨も到着した。2人は会釈をした後そのまま校門を後にした。


『あの2人無事に合流したみたいだよ。私達も行こっか!』


『そうね。』


『なんかこういうのドギドキするよね。』


『じゃあな。周囲に気をつけろよ。』


土筆を1人学校に残し皆は教室から飛び出して行った。


香サイド


『すみません。急にデートの日程を決めてしまいまして。』


『いえ、大丈夫ですよ。私も早く親睦を深めたいと思っていたので。』


『そう言ってもらえると有難いです。さて今日ですが織部さんが行きたいお店があるならそちらに寄りたいと思いますがどこか行きたい場所はありますか?。』


『はいあります。最近見つけたカフェなんですけど私のお気に入りのお店なので亀梨さんと一緒に行きたいです。それで道すがらウィンドショッピングとかできたら私は満足です。』


『いいですね、ではそうしましょう。』


香と亀梨のデートは順調に進んで行く。ショーウィンドウを指差しては笑い合い、お店の中に入っては試着や観覧で楽しく過ごし、地域のマスコットキャラがいたので一緒に写真を撮ったりと順風満帆に時が流れて行く。


『なんか心配する必要はない感じがするね。』


『噂通りの顔良し性格良しスタイル良しの伊達男と言われるのも確かね...』


『越矢子さん浮かない表情だけど何かあったの?』


『ん...伊達男と言われているけどそんな人間本当に存在しているのかつい疑ってしまうのよ。』


『でも亀梨君は良い評判ばかりだし実際に見てても愛想の良い美男子に思えるよ。』


『あのようなタイプには裏の顔というのができやすいのよ。伊達男ってレッテルを貼られ続ける方の身になれば分かるわ。皆の期待に応えるために愛想を振りまくのも疲れるしストレスになるものよ。そしてストレスを溜め込んだ人は性格やら身体に異変が起こるものよ。』


『だからそうなる前に私は亀梨さんのような周囲への振る舞いはやめたわ。今は貴方達を含めた4人と一緒にいるのがとっても楽しいわ。』


『前々から気になっていたけど越矢子さんみたいなモテそうな人が何故交友関係を広げたがらないのか疑問だったけどそういう理由があったからなんだね。』


『それにしても綾音ちゃんの経験則に基づいての持論は結構当たるんだよね...でも今回だけは外れてほしいな。』


『あくまでも持論よ。私の場合は愛想を振りまき続ける行為が自分に合わなかったのよ。彼自身が今の生活を苦と思っていると決まってないし、もしかしたら性に合っているかもしれないし。もし伊達男な行動が苦行であっても1人でも素を見せれる相手がいれば少しは救われる筈よ。』


『その役が香ちゃんになれば亀梨君の将来性も安泰だし香ちゃんもお付き合いできていい事づくしだね!』


『あっ!あの2人気づいたらもうカフェの前に着いたみたいだよ。ほら入店してった。僕達も入ろうよ。』


店内に入ると落ち着きのあるBGMが流れており懐古的な雰囲気を漂わせ来客者の緊張感を和らげてくれそうな内装をしていた。奥の方のテーブルに目を向けると香と亀梨が座っていたので3人は近くの席に座って観察する。


『ねぇねぇ結構近い位置に座っちゃったけど大丈夫かな?』


『さっきまでの外での2人のやり取りを見て気掛かりが緩和したから別にもう見つかっても構わないわ。そして私のメイクなどの変装技術が香にバレていないかも検証したいのよ。だからこのまま続行よ。』


香達に気にかけながらも3人はカフェを満喫することにする。


『このお店のオススメはパンケーキなんですよ。ソフトクリームとか小倉とかのトッピングを多めにのせてくれるんですよ。』


『へぇ、それは素晴らしいサービスですね。ではその織部さんのオススメと珈琲を頂こうかと思います。男子ですから普段はこういうのは注文し難いのでお店のパンケーキは食べたことないんですよ。』


『是非このお店のパンケーキを味わってください。』


パンケーキを食しながらも談笑を進めていく。その間に香が鼻頭に蜂蜜が付いてそれを亀梨に拭いてもらうというフラグ回収も行った。食べ終わる頃には香は多くの亀梨の情報を取得し自分の情報を提供していった。


『そういえばさっきのマスコットキャラって休日の過ごし方とか家族構成もあるくらい細い設定が定められているらしいですよ。』


『マスコットに家族構成とはまたユニークですね。まぁキャラとして引き立たせるのなら設定は多く大胆な動きを加えたアピールをするのがいいらしいですからね。』


『家族といえば亀梨さんはご兄弟とかはいるのですか?イメージ的には下にいそうですけど。』


『妹が1人だね。織部さんは?』


『私は兄さんがいます。上京して今は一人暮らししてます。』


『僕が兄で織部さんが妹ならば相性はいいかもしれませんね。妹というのは兄に甘えてきてもいい立ち位置ですからね。ふふふ。』


『えっ!?あっ!そっ、そうかもですね。俗説的には。えへへ。』


『すみません、ちょっとお手洗い行かせてもらいますね。』


『はい、分かりました。』


亀梨が席から離れると香は大きく息をはいた。


『はぁ〜みんなからの応援があったからここまでは自然体でいけたけど問題はこの後に迫る...こ...告白...ぅぅ緊張してきちゃった。時間が刻一刻と迫ってきてるよ〜。』


携帯電話を取り出し時間を確認しようとするとロック画面にメッセージの通知が表示されていることに気付く。


『何だろ?心配してくれてるのかな?』


内容を確認してから返信をしていると亀梨が戻ってきた。


『織部さん。お待たせしました。他には寄りたい場所などはありますか?』


『そっ!そうですね。では後一箇所だけいいですか!』


『ええ...僕は構わないですが...どうかしましたか?なんか少し語気が妙に力強かったりしていますが...』


『そっ!そんなことありませんよ!ではお店を出ましょう!』


『はい。では行きましょう。』


香と亀梨はお店を出てドアのベルが鳴り響いた。


『2人共外出ちゃったみたいだけど僕達はどうする?』


『追いかけなきゃダメだよ!早くしないと見失なっちゃうよ!』


『さっきの香だけど緊張していたみたいだしきっと告白するつもりよ。告白する場所はもう決めているのだから見失う事はないわ。それに私はすぐ告白しても成功しそうな雰囲気に見えたから私は香からの朗報を待つことにするわ。』


『じゃあ、僕も待つ方にするよ。告白を見られるのってちょっと恥ずかしいと思うから。』


『え〜私は見届けてあげたい。私達が背中を押してあげて今回恋の試練に挑戦させたんだし最後まで見届けるよ。』


『行ってもいいけどせめて自分で頼んだ物は食べて行きなさい。』


『えっ?私はもうたべ終え...』


『お待たせしました。ジャンボチョコレートパフェでございます。』


『あっ!そういえばデザート頼んでたの忘れてた。綾音ちゃん手伝って!』


『ダメよ。私は普段から余分なカロリーの摂取は控えているから。』


『じゃあ神ちゃんは?』


『少しは手伝えるけどさっきも食べてたし僕は少食だからあまり期待に応えられないよ。』


『急いで食べたりしちゃダメよ。太りやすくなったり気持ち悪くなったりして体によくない症状が起こるから。』


『は〜い...』


ブゥゥゥゥ、ブゥゥゥゥ

『あらっ電話だわ。』


携帯電話のバイブがなり綾音は手に取って画面を覗くと顔がほころぶとゴメンと一言添え席を離れていく。


奏は自分で蒔いた種により足止めをくらっている頃、香はどんどん進んで行き亀梨はその後をついて行く。大通りから離れて小道を通り勾配のある道のりを登って行く。


『織部さんこの先には何があるんですか?』


『え〜と...イ...イベントが待ってます。』


『イベント?どんな催し物が行われているのですか?』


『え〜と...とあるものを回収します。』


『ふむぅ。それでとある物を手に入れるとどうなりますか?』


『し...しあわせ...ですかね...』


『幸せが手に入るんですか。それは楽しみですね。』


何とか誤魔化しを効かせながら進んで行った。


『うっ!眩しい...』


亀梨が夕暮れの強い日差しを受け手で遮光しながら立ち止まる。


『あっ!眩しいですよね!わっ、私が誘導しますから足元を見ながらついて来てください。こっ、こっちですよ。』


『はい、ありがとうございます。』


香は恥ずかしそうにしながら手を取り亀梨は足元を確認しながら目的地へと向かって行く。


この時さりげなく手を繋いだり足元に目を向かせることで香の綺麗な脚線美を見せつけるなどのアピール作戦が行われていた。とくに脚線美に関しては普段よりスカートを少し短く履いてすらっとした足を見やすくするという抜け目なさも加算している。


勿論このような色香を利用するような策略は織部香ではなく知将の越矢子綾音の立てた戦術である。


『うふふ。そろそろ亀梨さんは香の美脚を拝む頃かしらね。特にあの辺は勾配が強かったり階段もぼちぼちあるから登るたびにチラつく筈よ。いくら彼が伊達男と言われていようと思春期の少年には変わらないのだから理性は欲に負けて見てしまう筈よ。』


『そんなPEAが分泌しそうなドキドキした状況の後で告白なんてされたら断るはずがないわ。私が心理的に思考を巡らせた策略なのだから安心して香の吉報を待てるわ。うふふ。』


綾音が自分の立てた策に浮かれている頃香は自分の脚部に視線を向けられているかどうかなんて頭にはもう残っていなかった。それどころか告白の台詞でさえも緊張で吹き飛んでしまいてんやわんやになりながら目的地へ着き歩みを止める。


『...亀梨さん着きましたよ。見てください。』


亀梨は顔を上げると桜の木が並んでおり零れ桜の美しさに浪漫的な雰囲気漂わせ、朱と金の入り交り強い煌めきを放つ夕焼け、それに作用され赤く染められ情熱的な町並みの景色が広がっている。

それらは全て香を引き立てる背景となりドラマチックな演出を醸し出していた。


『...とっても綺麗ですね...少し感激に浸ってしまいましたよ...』


亀梨が感動を受けて喜びに満ち溢れ香は心が落ち着いてきていた。


『ここは私が友人達と一緒に見つけた場所でお気に入りの場所なんです。』


『ここに来るまでそれなりに体力使いますし相当親しくしている友人達なんでしょうね。』


『そうですね。私にとっては大切な人達です。そしてここならみんなとの絆を感じれて勇気が湧いてきます。』


香は亀梨との距離を歩みながら縮め目の前に立ち見つめ合う体制となった。


『貴方の評判はよく耳にします。良い噂が流れるばかりなので少し気になるようになりました。そしてこの間私がハンカチを落とした際に拾っていただいたのをきっかけに意識から好意に変わりました。』


香は目を思いっきり瞑り一気に見開く。


『私は亀梨桜兎さんが好きです!付き合って下さい!』




告白する場所に向かう所の会話

イベント=告白イベント

とあるものを回収=フラグ

幸せ=ハッピーエンド

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