再来怒濤
今回総合評価200オーバーも兼ねてちょっと閑話増量デス。
あの人は今!みたいな感じですねー。
状況が状況でなかったら、皆が皆ほっこりとしていたかもしれない。
実魔物の群と集められた冒険者のうち、交戦していなかった休憩していた者や、様子をうかがっていた者は視線がお互いから逸れている。
その先にいたのは・・・
アリスとクロエである。
2匹は仔ねこが狩りを学ぶように、転がって互いの身を上にし下にして場所をころころと換えながらねこパンチの応酬を繰り広げていた。
2匹は仔ねこというには大きく、成ねこというには小さい。3ヶ月以上半年未満に見える。しかし最も活発に動き回る時期といってもいいだろう。外から見ている分には微笑まかわいい。間違いない。
しかしながら、当の本ねことしてはたまったものではない。
いや、アリスにとってはが正しい。見た目とは裏腹に一方的に押し込まれているからだ。
まぁるいお手手はその見かけとは裏腹に凶悪である。
爪がでているから、それもあるが、純粋にその力、早さはただねこのソレとは大違いだからである。
初めの頃に振り降ろされたお手手こと右前足をすんでのところでかわしたのだが、その時の空気を切る音は並々ならず、地面の破壊と大きな亀裂によって証明される。
回避の際からとっさに、自分を中心に外に向かって風の流れを操作して疑似的な斥力のように扱うことで前足も土くれもなんとか回避した。
だが、それでもってギリギリである。
スペックが違いすぎる、ズルい!
それはもちろん間違いないが、1番大きな点としてアリスには喧嘩とか暴力といったものから迂遠であったことである。
前世においても特にケンカしたということはないおとなしかったし、こちらの世界に来てからも争いとは大分遠ざかった人・・・ねこ生である。
ーーー膨大なアルルカナンを身にまとうアリスを襲おうという魔物はもとより野生生物もいなかったので。
まず押さえ込まれたときに黒いのことクロエの目を見てアリスはすくんでしまった。
何もかもを焼き尽くしてしまう炎のように爛々と輝きながらも見る者を凍てつかせる瞳。
そういえば、紅蓮と言えば炎の印象があるが、地獄においては極寒であったろうか、などと関係ないことを思う。
その目に照らされて自然と身体が固くなってしまったのは仕方のないところだったのだろう。
なんとか持てる力を振り絞って回避に回避を続けながら、時に手を出している。実際健気である。
が、気づいたら、組倒された自分は荒々しく息を吐いており、相手は全く息を乱していなかった。
相手がガッカリしたような表情で、無慈悲に前足を振り降ろす。
思わず頭を抱えて目を瞑った私であったが、一向にくる様子がない。
恐る恐る目を開けてみると・・・
「一体いつまでそうやってるのよ!」
それほど間は空いていないはずだが懐かしい声がした。
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余談 魔物と戦う冒険者サイド
「俺様参上!かつてこの地では仲間がお世話になったからな。ギルド経由で助けを求められちゃあ放ってはおけないってもんさ。俺たちがきたからには泥船に乗ったつもりでいてくれていいぜ!」
はぁ、とため息をつく女性。
「あのね、あんたが道に迷ったりしたせいで10日以上も遅れたんでしょうが!だいたい泥船って何よ!沈むんなら自分だけで沈みなさいよ」
「いや、あのそのだな、そう!俺の泥船はちゃんと焼いてあるからさ、そう陶器だよ陶器。あははは」
「・・・誰も・・・聞いてないよ?」
空気も読まず言い争っているところに第3者の声が響く。
「あ、いた。ほら、あのねこだよ。リーナを助けてくれたの。」
そういった女性の指さす先には退いたクロエから解放されて体勢を整えたアリス。
「あれ?リーナ、ああいうかわいいの好きじゃなかったっけ?いつもなら空気も読まずに近寄って頬ずりくらいしてそうなのに。」
予想とは違い躊躇う?困惑のリーナを見て訝しがる。
「ん。あの仔、かわいいのは間違いないけど、なんとなく近づきがたい、というか畏れ多い?」
「いや、わからん。なんで疑問系なんだ?」
リーナと呼ばれた女性は自分自身戸惑っているのかしきりに首を振っていた。
「ハイハイ、遊びにきたんじゃないんだから、そろそろ準備して!」
アインは自分のことは省みず、キメ顔でそう言った。
「了解!」
「・・・了解。でもなんか納得がいかない。」
肘を曲げて指先は自身の頭部に向けるように、いわゆる敬礼のポーズで答え、装備を確認したロイドとリーナ。
かつて低級の迷宮でピンチだった時にアリスに偶然助けられたロイド、アイン、リーナのパーティ「万年初心者」のメンバーがギルドのヘルプを見て、颯爽と現れた
かったが、
そこは当然遅刻して登場、現状誰にも気づかれていないという奇跡のような連中である。
尚、パーティ名の由来はいつまでも初心を忘れずに堅実にいこうという反省からである。一人を除いて流石にその名前は恥ずかしいと思っているが、由来を思うと強く反対できずにいる。
かつてこの地を離れたときよりはちょっと、だが確実に強くなった中の下パーティ。この後、悲鳴をあげながら、増え続ける魔物の群と戦うことになる。
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