対峙
倒れているエイファさんは頭から血を流しており、意識もない。
とっさに飛び出した私だったのだけれど、頭はもうパニック全開ですよねぇみさえ!
私には回復の魔法は使えないのでなんとかマーニ君を呼びたいところなのだけれど、ってうぉい!なんかマッチョい2足歩行の牛とにらみあってるんですけど!
なんとか足下まで行ければ、ズボンの裾を噛みながらエイファさんのことを伝えられるかもしれない。
そう思ってそちらに向かおうとすると、黒いのが私を遮ろうと立ちはだかる。
「ちょっとどいてよ!」
全身の毛を逆立てながらフーっと威嚇してみるが、どうやら退く気はないようだ。
ケンカとかあんまり得意じゃニャいんだけど戦うしかニャい!
私は黒いのに飛びかかった。
一方そのころ、町の広場の一角でマーニは苦戦していた。
2足牛は筋骨たくましく、でかさとは裏腹に動きも早く、攻撃を回避するので精一杯だったのだ。
いや、正確には回避すらうまくいってない。
持ち前の不思議な回復力に任せて致命傷を避けているだけだった。
それで死なない限りは回復が追いつくのだが、痛いものは痛いのである。
ノミタウロスと一緒にきた魔物たちはゴプリンやすかーウルフなどとは異なり、一緒にいた冒険者たちにとっても強い相手で、マーニを助けるどころか自分たちが生き残るのに精一杯であり、状況はかなり絶望的である。
マーニがなんとかノミタウロスを足止めできているのがかなりの僥倖であった。
ノミタウロスが自由に動けた場合、ギルドの厚い壁ですら易々と砕かれることは明白で、ほかの冒険者のところに向かわれればそこから壊滅せざるを得ない。
上級の迷宮中層、という出現地帯の強さは伊達ではないことをその場の誰もが思い知っっていた。
唯一の救いはその武器で、実は素手のほうが厄介なのではないだろうか。その形状故ほぼ突きしかしてこないのだから。
リーチも短く、かろうじて死なずに済んでいる。
こちらの攻撃はというと、相手の攻撃を食らうわけにいかないという事実が踏み込みを鈍らせ、刃が通らない。
いや、必死覚悟で踏み込んだとしても傷一つつけられないかもしれない。
マーニにとってこの戦いは事態が改善するまで心折れずに足止めすることであった。
例え、事態が好転する兆しが感じられずとも。




