ギルド 3 / 主人公は遅れて登場するもんさ(聞いてないっての!)
「ひとまずは、助かったと言っていいのかしらね」
何かが扉にぶつかってくる音がひっきりなしに響いているが今のところ
壊されそうな様子はない。
とはいえこのまま閉じこもっていられるわけでもない。
万が一に備えて食料なども備蓄してあるが、それとて無限ではないからだ。
村のご婦人方を集めて食事の準備をしてもらう。
携帯食のまま食べるのが普通だが、味気ないし何よりふさぎがちな気分を一時的にでも盛り上げる必要があると思ったからだ。
それには暖かい食事の方がいいだろう。
男たちには門扉の閂をかけさせたり、窓などから進入されないよう板を打ちつけてもらったりしている。
彼ら自身何かをしていないと落ち着かない様子だったので任せることにした。
諸々を任せてエイファはギルドの上の階を目指す。
危険がないのを確認して、手元の玉に火をつけて外へと放った。
これは「狼煙玉」といい、村の危機を伝えるもので、同時に事態を知らない冒険者たちに注意を喚起する意味もある。
不用意に村に踏み込んで魔物に取り囲まれたりするのを避けるためだ。
できるなら自身が飛び出していって魔物を駆逐したいのだが、それはできない。
魔物を統括していると思われるものの存在だ。
とっさの時にギルド内の避難民を動かせないのは危険だ。
辺りからは村の建物を破壊して回る音が聞こえる。
今はまだ余裕がある、焦るところではない。
そう考えながら1階へと戻る。
エイファの静かな長い戦いの時間が続いていた。
構造上音がでにくいはずだが、急いでいるためか、それともこちらに気づかせるためか、スーカの森のノワーロが音を立ててこちらへと突っ込んでくる。
「アリス様!大変ですぞ!」
しっぽを枕に丸くなっていた私は、
普段ゆっくりと落ち着いた賢者然としたノワーロの、めずらしく、焦った様子の声に一気に意識が覚醒した
「魔物の群が人間の集落を襲撃したようです。森の加護を優先させておりましたので遅くなりました。」
「ふぁっ!?」
え?何?この急激な展開。私空気読めてない子じゃん、これ。
「人間は建物の一カ所に集まっている模様。迷宮などから現在も魔物が随時進行中です!」
避難しているのか。だとしたらエイファさんがギルドに匿っているのだろう。
村の人にあまりいい感情を抱いてはいないが、エイファさんや助けてもらったお医者さん(名前を覚えてないけど)のことは気になる。
「冒険者らは近郊で各個探索・撃破していましたが、ギルドからの緊急事態の印があがり、各帰還しているようです。冒険者らが戻れば今集落で暴れている魔物に関しては問題ないでしょうが・・・、迷宮のある方向から1体、いえ、2体?強力な魔物の反応があるように思えます」
その報告を聞いて、全身の毛を逆立てた私はもっそい、スピードではじかれたように飛び出した。
今朝も仕事に行くと行って出ていったマーニ君。
きっと冒険者たちと警戒活動などに参加していたのであろう。
朝食時、普段よりピリピリしていたのを感じながらもそこまで気にとめていなかったのが悔やまれる。
慌てて飛び出していったアリスの異常なスピードを見て呆然としていたノワーロは予測ではあるが、アリスに伝えるべき内容を伝える前に飛んでいったことに歯噛みした。
躊躇っていたのはほんのわずか、自分の森の動物たちに集合をかけ、指示を出し始めた。




