ギルド
展開上しかたないとは言え、
アリスのねこらしい姿を書きたいのに書けない。
アイヤァ、ナンデ?
「銀色のねこ型の魔物を発見した」
1人の冒険者がギルドにて報告をしている。
「捕まえたの?」
「いや、森の方に逃げ込まれたのだが追いかけようとしたら方向がわからなくなって、入り口のほうに戻される呪いがかかっていた。
森のあたりでは魔物の反応はなかったが、追いかけようがなく、ひとまず報告を優先することにした。」
「そう。」
「これは私見ですが、森の中は、魔の気配よりむしろ清浄な気配に包まれているような気がします。魔物の気配が感じられなかったのはそのためではないかと。そのようなところに逃げ込んだのが魔物だとは考えにくいのではないかと思います」
「ありがとう、参考にさせてもらうわ」
エイファとしては冷や汗がとまらない状況である。
アリスがいるのは知っているが、森の呪いのことなんかはさっぱりわからない。何をやっているのか問いつめたいところである。
これは最近殺気だっている人間に対し、森の主ノワーロが森の守護とアリスへの手助けのために独自でやっていることで、実の所アリスは怒られ損に近い。
「村を中心に森と反対側には、確かにこの辺で出るはずのないレベルの魔物が出ているな。先ほどもほら、スプリングガンが」
スプリングガンは木の精霊に似ているが、枝根をバネ状にし、飛びかかってくる魔物だ。中級の迷宮の森林状の階層で見られる魔物でこの辺で見られたことはほとんどない。
例外の唯一は、かつて強力な魔物がこの当たりを根城にしようとしてきたときだ。かつては王国の派兵と冒険者の動員をもって対処したはずである。
厭な予感がする。
現在ギルド本部はこの現状を軽視している。
国への連絡すらまだ行っていないかもしれない。
眉間に皺を寄せてしまう。
まだ若い、と自分でいうのは躊躇われる年だが、それでも無駄に皺を増やしたくはない。悩ましい限りだ。
「これ、ギルドで買い取ってくれるんだろう?エイファさん」
そういってスプリングガンの素材を持ち上げる。
何もこの危機を利用して稼いでやろうというのではない。
恐らくこの場の空気を変えようという軽口のたぐいだ。
「ええ、こんな事態だもの。色をつけるわよ期待して」
ウインク片目に私もその空気にのっかる。
証拠を集めてギルド本部に文句を言う証拠集めである。
最終的には弱みを握って高く買い取らせてやろう。
「それじゃ、俺たちはもう一回りしてきます。この機会に稼がないといけませんからね。」
普通冒険者はこれほど頻繁に仕事をすることはない。
命がけの仕事であるから、休みをとるのも重要なのである。
こちらに気兼ねをさせないためにそう言ってくれているのだ。
こういうときはギルドでのやり取りも悪くないなぁと思う。
「お気をつけて。無事のお帰りをお待ちしています」
心からの言葉で送り出した。




