エマージェンシー
押し寄せる魔物は増えるばかりだった。
その対策として冒険者らが呼び寄せ、何パーティーかベネトルニアの村に常駐している。
その冒険者らがギルドに集められている。
「皆さん、お呼び立てしてすみません。」
ギルドマスターのエイファさんが集まった人々の前で一礼する。
そこにアリスを前にしてデレデレの時の面影はなく、凛々しさと威厳に満ちている。
「今回の異常事態を鑑み、王都のギルド本部に調査依頼を出しましたが、多少の生態異常は見られるものの、それほどの重大事とは思われず、当ギルドにて対処せよ、とのこと。皆様のお力をお貸しいただきたく存じます」
前回送った依頼に対する回答に先んじてギルド本部にいた頃の後輩からメッセージが届いた。
「すいませんエイファ先輩、私には無理でした(T人T)」
それを受けて即座に自分達での対応を決めたエイファはかつてのコネらを駆使してできるだけのツテを頼った。
その結果が目の前の冒険者らである。
「あなた達には調査を優先して頂きます。ついでに魔物の排除もしていただけれたら助かりますが、まずは調査を優先してください」
村付近へと近づくことが禁止されたことで、行き先が制限されたアリスは退屈を極めていた。
まっ昼間から温泉に浸かり、銀露と悶零の実を搾って作った特製ジュースを呷っている。
「てやんでぃ、ばーろーぅ。ひっく」
無論アルコールなど入っていない。マタタビ成分もない。
耳の間には布っ切れが畳まれてのっている。
お猪口を持って呑めないのが風情が感じられず少し残念だろうか。
平皿のジュースをチロチロと舐めている。
濡れすぼった尻尾がぺちぺちと湯面を叩いている。
縁にかけられた前足も普段より細く見える。
…ヌルイ。
このジュースをもっと冷やせないだろうか。
水を使って果実を冷やしたりはできるが、氷の作り方はまだわかってない。熱を加えることはできるのだが奪いかたがわからニャい。
まぁ、水冷くらいの冷やしぶりも悪くニャいのだけれど。
うにゃぁん♪
時勢に関わらず、悠々自適のアリスである。




