出禁!?
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
ふぁあ、と欠伸をし、ぐしぐしと前足で顔をこすって、う~んと伸びをうつ。
こんなねこしぐさもすっかり慣れたなぁ、なんて苦笑していたのを、起きたのに気づいたのかエイファさんが椅子から立ち上がりこっちへ来ると、私を抱えあげて口角を上げる。
お、お手柔らかに・・・。
てっきりまた撫で回されるのかと思った私は遠い目をして祈ったが、その時は一向に訪れず、真剣な顔つきのエイファさんは言った。
「ここに、いえ、ギルドにしばらく顔を見せちゃだめよ」
ふぁ?なに?
予想だにしなかった言葉に視界が限界まで広げられた。
それをあなたが言いますか!
会わない期間が続いた後のエイファさんの洗礼を受けるこちらの身にもなって!
「何か失礼なことを考えられている気がするわ・・・」
ふるふるふるっと頭を左右に振っておく。
「まぁ、とにかくちょっと今、村が荒れてるから。アリスちゃん巻き込まれたら危険だからね」
そういうと名残惜しそうに私を撫でた後、いつもより慎重に辺りを見回したて私を地面へと下ろした。
「そんなに長い間続かないと思うけど、元気でいるのよ」
余所の冒険者でも流れ込んで来たのかなぁ?
Σミφェφミあっ!温泉の使用権利の取引について相談にきたのに、眠り込んですっかり忘れてた。
どうやって説明するつもりなのかも考えていなかったが、ションボリとして山道をトボトボ歩くねこの姿があった。
尻尾を落として帰る、哀愁漂うアリスちゃんを見送って、ごめんねと思うのと裏腹に私としばらく会えないと思ってくれてるのかな、とちょっと嬉しさを覚える自分がいる。罪深い私をお許しください。
最近、村の周りで妙に強い、ううん、決して強い個体ではないけれどこの辺りで遭遇しなかったはずの魔物が散見されている。
私としてはお隣ギルドに連絡して冒険者を派遣してもらい、早期解決を続けていた自負がある。
けれど、こうも頻出していれば村人たちが不安に刈られるのは仕方ないだろう。
今は単体での出現が続いているけれど、群れで来ることも想定しておかなければならない。
ギルド本部宛の報告書を書いていた手を止める。
確かにそれらも問題ではある。
しかし、今日の日中、不安を覚えた村人が揃ってギルドに訪れ、最近の魔物の出現について相談にきた。
そのとき一人の男が、
「前に村の中で銀色のねこみたいな魔物を見たぞっ!アイツが魔物を呼んでいるか、アイツをさがしている親がこの辺のボスで、手下に探させているに違いねぇっ!「」
と言ってしまった。
姿を見せたアリスちゃんに言いたいこともあるが、それはさておき、みんなの前で言われてしまったのは困った。
他にも見た人はいたかもしれないが、この一言で皆が「ねこ型の魔物=今回の騒動の原因」と認識してしまった可能性がある。
「魔物の生態についてはっきりしたことはわかっておりませんし、勝手な推測で物事を決めつけられては困ります。」
とりあえず牽制がわりにそう言っておいたが、思いこんでしまった人にはあまり効果はないだろう。
思わずため息をついて、ペンを手に取る。
もうちょっとモフモフを味わっておけばよかったなぁ。
よし!さっさとこの問題を解決するぞ!
村周辺の調査依頼の要求、と書いた。




