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私はねこになる!?  作者: 夢辺 流離
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初めての職場見学!

 あえなくダイエット作戦は破れた。

自らの体型をもって判断するしかなくなった以上、日々その恐怖に怯えながら生きるしかないのである。



 そういえばマーニ君のお仕事って何してるんだろうねぇ?

見た感じお子さまでしかない以上、いわゆる丁稚奉公が関の山っていうか気がするんだけど、などと失礼なことを考えながらも、ちょっぴり運動がてら見学にいってやるか、と上から目線のアリスであった。



 ーー翌日。

マーニ君お手製のマズいごはん(もうこれは本人が食事とはこういうものだと思いこんでいるのではないかと恐怖を抱きつつ)を食べて家主に手をフリフリして見送る。

そして後ろ姿が小さくなったあたりでガッツポーズをした私は彼の後をつけ始めたのだった。


 村の方向へと向かう彼の後を、時に木を抱えるようにしながら顔だけを出し、時に枝から枝へと跳ぶようにしながらつけていく。

一向に怪しむ気配はない。

普通に距離をおいていっても問題無さそうである。

そうしないのはただの意地というかそのほうが面白そうだからである。

あまりにも何事もないので、そうでもしなければ持続させるのが難しかったとかそんなんではない。絶対にないんだからぁ!


 村に着き、見慣れた建物つまりギルドへと入っていくマーニ君を見ながら本当に冒険者やってるの?と思う。

真に失礼なおねこ様であるが、これはアリスが前世での考え方にとらわれているからで、この世界ではくいつめた幼子が冒険者として生きることはよくある。

とはいえ、マーニの年齢は冒険者としては最も若い部類であり、やはり異常な風景であることにかわりないのだが。


 しばらく見張っていると、マーニ君がギルドから出てきた。

そして村から出るとそのまま迷宮のほうへと向かう。

しかし迷宮には入らず、周囲を警戒しながら見回っているように見える。

ヒューマの姉のように木の陰からその様子を見守っている私である。

何をしているんだろう?と首を傾げていたら空気が緊張したのを感じた。

スリームが4匹出てきたようだ。

なるほど、迷宮から出てくるモンスターを倒してるんだな。


いけっ!そこだっ!!くぬっ!!

2足立ちをしながらシュッシュッと両手を交互に突き出す。

といってもボクシングを見たこともないアリスなので、そこは雰囲気だけで、実際は山形の、いわゆるねこパンチであった。

顔をマーニ達の方に向けながら横へと身体を向けて器用にパンチしている。

          ビタン、ジュッ。


 え?と思ってぱんちの先を見ると、そこにはスリームのボディにストレート?が決まっていた。

―――ダメージを受けたのはアリスだったが。


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