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私はねこになる!?  作者: 夢辺 流離
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何故挑むのか?そこに山があるからさ。

 久々の更新ですが再び閑話のような話です。

え?いつも閑話だろう?

……。

 この世界での季節感がどうなっているのかいまいちわからない。

寒くなる頃に備えて家の改修を急いでいたのに今更だが、もしかしたら今の温暖な気候が実は冬でしたー、とか言われるんじゃなかろうな?


 ともかくである、旬がいつかわからんのであるが、この家に住み込むようになったときに植えたお芋がどうも収穫して良さげなのだ。

毎日の習慣だった草むしり?を、お泊まりによって日があいたのもあって、ちょこちょこまばらに雑草が散見されたので、面倒だなぁと思い普段より多めのアルルカナンを使って一気にやってまえ!と怠け心を出したところ植えていたお芋までが根を地面と接続を絶たれ、クテっとしてしまったのだ。。

幸い、十分に大きくなっていたのでこの機会に芋掘りじゃー!

温泉を先に発掘できていて良かった、と内心で安堵しつつ、今日の予定が唐突にきまったのであった。



 そうは言ってもだ、大地の束縛から逃れたお芋を掘るのなんて楽勝!

イージーサブミッションだぜなんて思ってた時代が私にもありました。

とりあえず目に付いた茎を掴んで後ろ足で力強く身体を支えながら綱引きの要領でグイグイとひっぱる。

まだこれほどの抵抗を見せるか!敵ながらあっぱれよホレっホレっと妙なテンションになっていたら急に手応えがなくなりスポンと表層に見えていた部分だけが手元に残っていた。

おのれこしゃくなっ!我が爪を味わうが良いわっ!

予想外の展開にムキになった私はおかしなテンションのまま採掘を始めるのだった。

お芋の姿を目の前にして、にまぁっと悪い笑みを浮かべたアリスは傷つけないように周りの土を掻きだしていく。

なんか最近こんなことばっかりしてるなーと、半ば思考放棄して手だけを水面下の白鳥のように動かしている。

ーー氷山の一角。

そんな言葉を思い浮かべるほどその芋はでかかった。

砂浜でトンネルを掘ってつなげるときのように、腕を無理矢理押し込んでは掘る。

もしかしたら、両腕で抱えきれないんじゃないかと思いつつ15分ほど必死に土を掻きだして、ようやく掘り出したのだった。

腕を組んで満足そうにうんうんとうなずくと、土に”お願い”して、土以外のものを避けて地中に向かうようにさせる。

それは結果的に地表へと浮かび上がらせる結果となるのであった。

ふぃーと一息つく。

せっかく育てたので、とりあえず掘り出して成果を楽しもうと思ったら予想以上に育っていて苦労した。こんなことなら最初から魔法でどうにかすれば良かった、と思いながらも、掘り出したお芋を見れば達成したという充実感がある。ちょっとだけ爪の跡が残ってるけど。

一緒に出てきた石ころを”シェイプシフト”して簡易の建物を造ると、地面を変形させて坂道のようにしてあたりに転がるお芋たちを建築物へと納める。

なるべく重ならないよう建物の床いっぱいにまんべんなく、アリスはお芋をコロコロ転がした。

端から見たらんこが遊んでいるようにしか見えないが、お芋の保存のために、太陽の光は当たらないように、風に当てて感想するようにと、必要な作業なのである。

こんなもんかな、と額の汗を拭うと傷付きの、あまり日持ちしなさそうなやつを選んで、鞄に入れる。

川辺へと移動したアリスは石ころをあつめて台座を作ると、同時にほどほどの大きさの鍋も作り鞄からお芋を出し放り込む。

そして火をつけるのだった。

あれっ?沸騰してからだっけ?まぁいいか。

本能に負けたのか大雑把なアリスであった。

まだかなまだかな、とそわそわするねこが一匹。

近づいては熱くなっている鍋にうっとなり、離れる。

きれいに洗った石の棒(魔法製調理器具)で突っつくことしばらくどうやらもう良さそうだ。

と思ったところでどうやって取ろう?と思い、ええいっとお湯を魔法で川へとぶちまける。

石製の鍋はなかなか冷めない。

棒にプスっと刺して一個取り出して葉っぱの上に乗せると、両手で押さえて牙で皮をむきつつ食べる。

はふっはふはふ。あっつ!はむ。あつあつ、ウマー。

鞄から塩をとりだしちょいちょいっとつけつつかじる。

ウマウマ♪

のどが渇くのが困りものだがこれはウミャい!

ズルせず自分の手で掘り出したでかい奴を石の棒で刺し、ヨロヨロとしながらも取り出すと挑むようにして食べ始める。

熱いフカフカっとしたのがのどにくっつくと地べたを転がり悶絶するも。水を飲みながら夢中になって食べ続けた。


            ケフッ。


 若干かわいらしいながらも、元女子高生としてはちょっと恥ずかしいゲップをしながら完食で~す。バターかマヨネーズが欲しいなー。

卵はともかく酢とかあるのかなー。バターなら牛乳を攪拌すればできるんだっけ?と考えながら食休みをするアリスだった。





 今日帰宅してみると、いつものように新鮮な魚がおいてあった。

いつもと違うのはそれのほかに丸い・・・何かが置いてあった。

恐る恐る触ってみると熱い!横には白い粉の山がある。


           塩か!


 わずかとはいえ貴重な塩が置かれており、何かいいことが村であってそのお裾分けだろうか?と思いつつ、丸いのに塩をつけて食べる。

おお!うまい。冷静になったのは丸い奴が一個手から消えた後のことだった。

いつもはごはん時になると寄ってくるアリスが今日はジッと動く気配がない。

もしかして先にいっぱい食べたな!とまぁ当たりなのだがそもそもアリスが収穫したものとは思っていないマーニは、

「家の前を荒らしちゃだめだぞ」

 と、苦言を呈したのであった。




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