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私はねこになる!?  作者: 夢辺 流離
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足るに「満」が付くようにしたい

 メリークリスマスですはい。

スペシャルな話ではないです。

 衣食(住)足りて礼節を知る

すなわち、人は生命の基盤が安定してようやく文化的な思考を持つことができる・・・ということだ。


 そんな私はねこ?である。

本能・反射のままに好き勝手生きているなどと思われるのははニャはニャ心外である。

なぜならば、私は前世が人間であり、なおかつそのときの知識・経験を受け継いでいるからだ。


 それは必ずしもいいことばかりではない。

ねこならば、人に飼われ、飲むところ、寝るところに食うところがあれば怯えることなくゴロンとしていればいいのだが、人間には"欲"があり、より良いものをもとめて満足することがない。

奇妙に聞こえるかもしれないが、それは悪いことではない。

ただ、私に関しては少し不具合がある、ということである。


    魚もおいしいけど、味が足りないよ!


 前世において、化学調味料はともかくとして、マヨネーズやソース、なにより醤油といった多彩な調味料があり、それ以上に色彩鮮やかな味の料理があったことを知る私には焼き魚そのままだったり、申し訳程度に塩を入れたスープなんかは、ジュールメイトやサプリメントといった栄養機能食品なんかと同等かそれ以下の最低限体を保つためのものでしかない。

いかん、マヨネーズとか考えただけで口の中が潤うではニャいか。

まぁ、いきなり日本の調味料を作る!とかは言わないにしても、塩くらいは十分使えるようにしたい・・・。

とはいえ、この辺の地理もそこまで詳しいわけではないので、お勉強をしにギルドへと赴くのだった。


 ギルドの主である、エイファさんにシュピっと挨拶して(決まったと本ねこは思っているがエイファはへにゃっとした手がかわいいと思っている)すりりんと体を裾にこすりつけると、前足で足を掴んで”こっちこっち”とおいでをする。

その間にギルドに用があってきた冒険者が声をかけようとすると、笑ってない笑顔で「ちょっと待って(ないなら覚悟し)てね」という剣先の視線を浴びせられる。

 ギルド資料室へとエイファさんを伴って入ると、ところどころ見上げてお望みの本を探す。この近辺の本である。

塩湖、それでなくとも海が近くにあれば後はどうとでもする。

ちょっと高めの棚にあったので、エイファさんの足をタシタシとさわって抱えてもらうと"これとって"とばかりにエイファさんの顔を見上げながら目的の本を指し示す。

とってもらった地図の本を見るが、


   うん、自分の居所がどこにあたるのかわかんないね・・・。


 スーカの森もノワーロさん曰く自称らしいですしね、見つかりませんでしたよ。

 しょんぼりと小さい背中をさらに小さくしている私を慰めるようにエイファさんが撫でている。

「アリスちゃん、毛並みいいね。うふふ。でも一緒にお風呂入れなくてちょっと残念・・・。」

 とちょっとお顔が陰ってしまったので、"お風呂入ろう"と足をカリカリして、おつきあいしました。

やっぱり美人の女性は華やかなほうがいいもんね!

石鹸も魅力的だし・・・。


 ギルドの受付では一人の男がずっと待ちぼうけを食らわされていたのだった。


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